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ゲティ家の身代金

2018年07月10日 | 映画

1973年に起こったアメリカの大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された事件を、リドリー・スコット監督が映画化。ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグが共演しています。

ゲティ家の身代金 (All the Money in the World)

1973年、ローマ。フォーチュン誌の世界一の大富豪にも選ばれた、石油王ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の孫ポールが誘拐され、1700万ドルの身代金が要求されます。しかし類まれなる吝嗇家のゲティは支払いを拒否。母ゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は息子を救うため、犯人のみならずゲティとも交渉することとなりますが...。

卑劣な誘拐犯に対して一歩も引かない...というとかっこいいですが、本作でのゲティの常軌を逸したケチぶりはまるでコメディのようでした。理不尽なことにお金を使いたくない気持ちはわかりますが、彼はただのケチではなく、自分の好きな美術品には湯水のごとくお金を使っているのです。

命がかかっているというのに、孫を救うためになぜ使えないのか? 彼はお金の儲け方は知っていても、お金の使い方は知らないんだな...と思わずにはいられませんでした。本作は主に母ゲイルの視点でこの事件が描かれていて、彼女の焦燥と怒りが我がことのように伝わってきました。ラストでゲイルがゲティの胸像を睨みつける眼差しが印象的でした。

事件やゲティ氏のことは、この映画を見るまで知りませんでした。ゲティ石油はのちにテキサコに買収され、今は名前が残っていませんが、誘拐されたポールの弟が、画像素材や今では報道写真コンクールでも常連の Getty Images の創業者と知って、へ~!となりました。Wikipediaで知るゲティ氏の逸話もなかなかに興味深かったです。^^

誘拐されたポールを取り戻すために、ゲティが雇ったCIAのエージェントにマーク・ウォールバーグ。本作ではあくまでゲイルを支える役どころで、いつものアクションも控えめですが、最後の犯人のマフィアとの攻防戦では存在感がありました。

ポールを誘拐したマフィアの一員で、ポールの見張り役として常に行動を共にしていたチンクアンタが、だんだんポールに情が移っていくところもおもしろかったです。色が浅黒く、わざと汚らしくしていたので、演じていたのが(”タイピスト!"の)ロマン・デュリスだとは最後まで気がつきませんでした。

本作はゲティ役をケビン・スペイシーが演じることになっていましたが、ほぼ完成していたところにスペイシーのセクハラ・スキャンダルが発覚して突如降板が決定。急遽クリストファー・プラマーが演じることになり、わずか数週間で撮り直し、完成させたことも話題となりました。

年齢といい、大富豪らしい堂々とした佇まいといい、今となってはプラマー以上のキャスティングが思い浮かびませんが、スペイシーが演じるアクが強くて不気味なゲティもちょっと見てみたい気がします。^^

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