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羊と鋼の森(映画)

2018年07月30日 | 映画

ピアノの調律師の青年の成長を描いた、宮下奈都さんの本屋大賞受賞作を、山崎賢人さん主演で映画化。三浦友和さん、鈴木亮平さんが共演しています。

羊と鋼の森

高校の体育館で、板鳥(三浦友和)が調律するピアノの音色に魅せられた外村(山崎賢人)は、調律師となることを決意します。専門学校で調律を学び、板鳥のいる楽器店に就職した外村は、先輩調律師の柳(鈴木亮平)をはじめ、調律の仕事を通じて出会うさまざまな人たちとの関わりの中で、悩み、成長していきます...。

原作は読んでいたものの、映画は見なくてもいいかな?と思っていましたが、息子から”感動した”と聞いて、見てみたくなりました。(原作の感想はコチラ

実は原作を読んだ時に、これから社会に出る若者たちにぴったりの小説だと思ったのですが、息子に勧めたことはなかったので、思いがけずに気持ちが届いたことが、ちょっとうれしくもありました。

そして、映画はといえば... 自分でも驚くくらい何度も泣いてしまいました。特に音楽に感動しました。小説を読んだ時には、ふつうにいいお話だな~と思ったし、コンサートでもそんなに泣くことはないのですが、これはやはりストーリーと音楽の相乗効果なのだと思います。小説に息が吹き込まれるというのはこういうことなんだな...と実感しました。

そして音楽にも、物語によって息が吹き込まれたのを感じました。たどたどしい”子犬のワルツ”にこんなに泣かされるなんて。また、2人姉妹の個性が、演奏によってみごとに描き分けられているのも楽しかった。小説という2次元の世界が、映像という3次元の世界に、さらに音楽が加わって4次元の世界にまで高められているのを感じました。

そして、小説を読んだだけでは想像が及ばなかったことが、映像によって新しい世界を与えられたとも思いました。たとえば、外村たちが働いている楽器店。小説を読んだ時にはごくふつうの楽器店を想像していたので、レンガ造りの趣のある空間に、それだけで物語が感じられてワクワクしました。

それから、北海道のどこまでもまっ白な銀世界と、深い森。空撮で見る広大な原生林には、日本にこんな場所があるなんて...と目を見張りました。あとから原作者の宮下奈都さんが北海道に住んでいたことがあると知りましたが、宮下さんの北海道愛が映像世界にも表れているように感じました。

外村の成長物語に関しては... 彼の生真面目さに時にイラッとしつつも^^ まっすぐな情熱に心が洗われました。”僕のせいだ、わ~っ”というのは、社会経験のある人なら、新人時代に誰もが通った道ではないでしょうか。そんな懐かしさも感じながら、いつしかエールを送っていました。

【関連記事】羊と鋼の森(原作) (2018-01-04)

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