十勝の活性化を考える会

     
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大和言葉

2021-06-08 05:00:00 | 投稿

2021518日付け北海道新聞夕刊(1面)の「今日話題」欄に、大和言葉に関する次の記事が載っていた。

 『(前略)大和言葉は、日本の風土を踏まえ、長い年月をかけて祖先たちが創り出したわが国固有の言葉だ。一方、中国語から取り入れたのが漢語。「山地」「河川」など音読みで発音される。「人流」は和製漢語の部類に入るのだろうか。

著者は「うさぎ追いし彼の山・・・」で始まる唱歌「ふるさと」を挙げて、歌詞が心に染み入るのはすべて大和言葉であるからと説く。

漢語は単語全体を一つのまとまりとして認知する。それに対し、大和言葉は、一音一音に祖先のたちの感性が投影されているという。著者の言う通りに歌詞のふるさとを故郷(こきょう)に置き換えてみると、確かに響き方が違う。

なるほどと思いつつ、新聞記事も首相の演説も大和言葉だけで表現するのは難しい。大事なのは、思いがより伝わる言葉を意識して使うことなのだろう。

(石井群也)』

絵文字とか横文字が多く使われる時代であるが、この記事を読んで美しい大和言葉を忘れてはいけないと思った。作家三島由紀夫は、東京都市ヶ谷にある自衛隊駐屯地のバルコニーで辞世の句を読んで割腹自殺したが(享年45歳)、言葉には“言霊”があるという。

言霊とは、古代日本で言葉に宿っていると信じられていた不思議なで、彼が書いた小説には、言霊が宿っているから美しいのだろう。彼は、約1,000人の東大全共闘の人たちを前にして、人を動かすためにはアジるのではなく自分の言葉で語れと言った。“自分の言葉に酔う”とは、自分の発言などに酔ってうっとりする状態のことをいい、学生運動が激しかった頃、全共闘の人たちが使っていた独特の話し方があったが、言葉に酔っていたかも知れない。

三島由紀夫は、学習院高等科を首席で卒業、推薦で東大法学部に入学し大蔵省に入省している。16歳の時に書いた『花ざかりの森』で作家デビューし、31歳の時に書いた長編小説『金閣寺』は、近代日本文学を代表する傑作の一つで海外での評価も高い。名実ともに日本文学の代表的作家の地位を築いた作品であるが、彼の友人が特攻隊員で死んだからであろうか、三島の作品には常に自殺を意識して書いていたフシが感じられる。

ノーベル賞を受賞した川端康成が、三島氏の葬儀委員長を行なった二年後にガス自殺している。享年72歳であった。三島由紀夫もノーベル文学賞の候補であったが、二人とも“憂国”による自殺であったかもしれない。三島由紀夫の名言に、「人間は何のために生きるのか分からない。だから、生きられるのかもしれない」とあるが、生きる意味が分かったからこそ自殺したのかも知れない。

「十勝の活性化を考える会」会員T

注) 言霊

言霊とは、一般的には日本において言葉に宿ると信じられた霊的な力のこと。言魂とも書く。に出した言葉が、現実事象に対して何らかの影響を与えると信じられ、良い言葉を発すると良いことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こるとされた。そのため、祝詞を奏上する時には絶対に誤読がないように注意された。

万葉時代に言霊信仰が生まれたのは、中国の文字文化(漢字)に触れるようになり、大和言葉を自覚し、精神的基盤が求められたこととも無縁ではないという指摘がある。

(出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)