十勝の活性化を考える会

     
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難病

2022-10-28 05:00:00 | 投稿

元会社のOB会報に、同期入社(28名)の方が、“難病のことを投稿していた。病名は、“筋痛性脳脊髄炎“という聞きなれない脳の病気である。6年前に罹患し闘病中で、国内に数万人の罹患者がいるという。脳の免疫異常による炎症が原因といわれるが、まだはっきり分からないそうである。

難病ではないが、私も10年前の61歳の時に小脳出血を患った。出血量が35ccであったから死んでもおかしくない量である。その後遺症で右半身にマヒが残っているが、風呂に入ったりするなどの日常生活に支障はない。

彼に電話すると、今まで健康で病気ひとつしなかったので、病気の苦しさを初めて分かったという。私は自費出版本に、「同じ境遇に置かれなければ、その人の本当の気持ちは分からない」と書いたが、彼の言葉がまさにそれを物がたっている。

当初は“要介護3”でベッド生活が長く続き、首の筋力を失ったために頭を支える補助具をつけていた。私の罹患を知った会社の友人は、半年にわたり毎日のように見舞いに来てくれた。障害を克服できたのも彼のおかげだと思い感謝している。

また、水泳選手の池江璃花子選手(22)が白血病からの回復を果たし、東京オリンピックにも出場、多くの人に勇気と感動を与えた。彼女は、「努力は人を裏切らない!」という言葉を残しているが、まさに驚くほかはない。

一方、私と同じ小脳出血を罹患した人が、倒れてはじめて人間というものが分かったという。彼の書いた「何故一歩を踏み出せないのか?」の文章は次のとおりで、とても分かりやすい。

【自己紹介】

20057月、50歳のとき脳出血を罹患。言語障害(失語症)、右片麻痺の後遺症が残っている。急性期病院の医師から「社会復帰は望めない」と言われ絶望感に襲われた。25メートル泳げたという自信が、その後「勇気・希望」がもて「変容」につながり、新しい自分(居場所)を発見した。

 現在、障害を持ったからこそ果たせる役割があると公益活動に従事しながら、大学で障害者福祉をゼロから学んでいる。

【はじめに】

多くの人は中途障害を抱えると、回復の停滞感や減速感から徐々に落ち込み、情緒が不安定になり、引きこもりになる場合も多い。私も4年間にわたり希望を失い、どん底の毎日を経験した。

しかし、ちょっとした「きっかけ」(出会い)から「動機づけ」(変容)の変わり、新しい自分(居場所)を発見した。

【存在意義の否定】

 私は救命されたものの、医師からの心ない言葉で失意のどん底に陥った。さらに仕事の仲間からは「三嶋は終った」と囁かれ、人間不信にもなった。こうなると、どんどんモチベーションが下がっていった。

自分が知らぬ間に「社会的弱者」と思うようになり、障害の有無にかかわらず、人間にとって最も避けたい存在意義を失った。これではいけないと思っていても、なかなか行動に移せない、一歩が踏み出せない日々が続いた。

【モチベーション(動機づけ)を上げるためには】

一番怖かったのは、目指す絶対的な価値観がなくなり、どこを目指したら良いのか分からず、空回りが続いた。それに加えて過去の自分と比較し、それが足かせになった。

心理学者のE.デシは、「自分がやりたいことをやった時、一番能力が発揮できる」と説いている。モチベーションを上げるためには、「これだったら、自分もできるかも知れない」ことを、一つ見つけることが大切。自分ができるところから、自分のペースでゆっくりやればいい。「自分で決めたこと」をやれば高いモチベーションが保てる。

【克服へのきっかけ(出会い)】

2009年、リハビリの一環として水中リハをはじめ、一年後に25メートルを泳ぐことができた。その時の水中映像で、麻痺側下肢がしっかり動いている自分の姿を見て、それまで「動かない」と思い込んでいたことにハッとした。

 泳げたという「自信」と脳の可能性を信じる「希望」。そこから克服のチャレンジがはじまった(心のスイッチが入った)。当初、泳ぐことに躊躇していたが、指導員から背中を押してもらったことも、「きっかけ」になった。

【きっかけ(出会い)から動機づけ(変容)】

 とはいっても、どうやったら「心のスイッチ」が入るのか? それには自分を信じることと、自分ができることからはじめる。私の場合は、泳げたという「自信」と麻痺側下肢がしっかり動いている姿を見て「希望」がでてきた。

しかし、それだけではスイッチは入らない。どうやったら、きれいに泳げるのか。そのための目標を、自発的に取り組むことで「これだったら、できるかも」と納得し、意欲も湧いてきた。この過程が、きっかけ(出会い)から動機づけ(変容)に変わった(スイッチが入った)。

【動機づけとは何か】

「きっかけ」は、自分以外の持つ力、助力によるものが多い。動機づけは一般に「モチベーション」と訳され、自分が納得し意慾をもって作り上げるもの。人は何か「自信」や「希望」を持つとたとえ障害があっても、人の価値は変わらないことに気が付く(価値観の転換)。そして「意欲」は、心の持ちよう次第ですぐに湧いてくる。「動機づけ」は、心の心理的な原動力である。

【新しい自分(居場所)の発見】

人には必ず「役割」があると思う。ここでいう役割とは、お金や時間には代えられない「生きる喜び」のことである。

私は一時仕事を失ったが、私を必要としている人とめぐり合い、「まだまだ人の役に立つ」と感じるようになった。そして私は、一人で希望が持てるようになったのではなく、支える他者と共にいることで立ち直ることができた。

「十勝の活性化を考える会」会員