十勝の活性化を考える会

     
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“樺太アイヌ民族誌”の本

2023-04-13 05:00:00 | 投稿

 

ウィスコンシン大学教授 大貫恵美子著“樺太アイヌ民族誌を読んだ。大貫恵美子氏は、1934年神戸市生まれの米国籍の文化人類学者で、この本は両親に捧げたものでもあった。

本には樺太アイヌなどの生活や世界観などが書かれていたが、人生の大半をアメリカでの生活で送っていただけに、ユニークな本の一冊と言えよう。

ところで、北海道上士幌町で発見された嶋木遺跡は、1967年に発見された旧石器時代(約2万年前)の遺跡である。1989年の日ソ共同調査を経たのち、2010年から、首都大学東京の出穂雅美准教授を中心としたチームによって、調査が行われている。

出穂教授は、約20万年前にアフリカで発生したと見られる現生人類(ホモ・サピエンス)が、どのように世界中へ拡散したのかを調べている。この嶋木遺跡での調査が、北東アジアにおける人類の動きを知る一つの手がかりになるそうである。

人類の生きた最古の時代である旧石器時代に、日本における人口推定値が、研究者によって違いがあるものの発表されている。旧石器時代前期(400万〜20万年前)12万5千人、同中期(20万〜4万年前)100〜120万人、同後期(4万〜1万3千年前)220〜300万人とみられている。

日本列島に人が住み始めたのは、約3万5千年前の旧石器時代以降と言われている。日本列島には、最終氷河期の最寒冷期にシベリアからマンモスハンターと呼ばれる人びとがきた。

また、氷河期末期の気候温暖化と共に東南アジア方面から“黒潮の民”と呼ばれる人びとが日本列島に辿り着き、列島内で長い時間をかけて交流を重ねることで、やがて豊かで独自の狩猟採集の縄文文化を形成した。そうした縄文文化の担い手が、日本人の原型とも言える “縄文人”と呼ばれる人々である。

原生人類と樺太アイヌが、どのように関係あるのだろうか。樺太アイヌがツングース族(女真族)と混血している可能性があるからである。ツングース系民族は、満洲からシベリア極東にかけての北東アジア地域に住み、ツングース語を母語とする諸民族である。

また、日本人とブリヤート人がそっくりなのである。ブリヤート人とは、モンゴル、中国に住んでいるモンゴル系民族で、横綱になった白鳳などのモンゴル出身の相撲力士を見ればわかるが、モンゴル人は、日本人と大変似ているのである。

モンゴル族の先祖は、バイカル湖の周辺で定着し始めてから、モンゴルなどの草原地帯へ進行した。そして、樺太アイヌの一部がツングース族(女真族)と混血していたという。

ツングース系民族は、満洲からシベリア極東にかけての北東アジア地域に住み、ツングース語族に属する言語を母語とする諸民族のことである。モンゴル系民族の先祖は、バイカル湖の周辺で定着し始めてから草原地帯へ進行したという。なお、アイヌはベーリング海峡を渡って、イヌイットとも混血したらしい。

イヌイットとはカナダ北部などの氷雪地帯に住む先住民族のエスキモー系諸民族のひとつである。人種的には日本人と同じモンゴロイドで、エスキモー最大の民族である。

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