【北京=栗原守】中国の国家発展改革委員会が日米欧の自動車関連企業を独占禁止法違反(カルテル)の疑いで調査している問題で、同委員会は20日、日本の部品メーカー12社について違法行為を認定し、うち10社に対して計12億3540万元(約210億円)の罰金処分を決めたと発表した。
発表によると、罰金処分となったのは、三菱電機、デンソー、日本精工、NTN、住友電気工業など10社。不二越など2社は、違法行為はあったが、調査に協力的だったことから罰金処分は免除された。
12社は、2000年から10年以上にわたり、部品の価格設定にあたり事前に協議し、自社が有利になるような値段にするカルテル行為をしていたという。部品は中国で発売される日系ブランドの車両を中心に使われていた。
中国、自らの首を絞める? 日本2社に48億円の制裁金、中国企業に悪影響の可能性- NewSphere(2014年8月20日17時45分)
自動車用ベアリング(軸受け)大手の日本精工とNTNは19日、中国の独占禁止法当局から制裁金の支払いを命じられたと発表した。中国国家発展改革委員会(NDRC)は、2社に独占禁止法に違反する行為があったとして、それぞれ約29億円と19億円の罰金を科した。
【独禁法違反初めての厳しい処罰】
価格の監視をするNDRCは8月、日本企業12社の調査を完了。違反企業には罰金を科すと予告していた。
日本精工は、違反については自社による内部調査に続き、NDRCによる価格操作容疑の調査に全面的に協力した、としている。「株主の皆様、お客様をはじめ、関係者の皆様には多大なご心配をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます」と謝罪をした。同社は、支払いが年間の事業見通しに影響するかは、まだわからないとしている。
日本精工は、ベアリングの製造で世界最大の企業のひとつだ。同社の2013年度の中国での利益は、新型車の発売と自動車製造業の堅実な成長のおかげで1672億円と、前年の914億円から83%も増加した(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
日本精工への罰金は、中国国内の日本企業としては初めてとなる、独禁法違反による厳しい処罰だ。5月には、ニコンが制裁金支払いを命じられているが、金額は170万人民元(約2855万円)だった。
【海外企業を締め出そうとしているではないか】
中国は、独禁法違反について監視を強化していて、今のところ少なくとも海外の自動車企業7社に、価格を下げるよう圧力がかかっているようだ、とブルームバーグは報じている。NDRCは、自動車部品メーカーに加え、自動車本体を製造する海外企業の製品価格、アフターケア、交換部品についても目を光らせている。このような環境の中、フォルクスワーゲン、ダイムラー、トヨタが7月から中国での価格を下げると発表した。違反調査に、中国国内の海外企業の緊張は高まっているようだ。
中国商務省の沈丹陽報道官は18日、一連の調査は「外国企業排斥ではない」と述べた。当局は、市場の要求に従って調査を行い、消費者の利益を守ることを目的としていると説明している(ブルームバーグ)。
しかし、フィナンシャル・タイムズ紙によると、一部のアナリストは、NDRCの調査により車と部品の価格が抑えられることで、本当に中国の利益になるのか疑問に思っているようだ。自動車およびパーツの値段が下がることによって消費者は恩恵を受ける一方、輸入車や海外企業との合弁会社に国内の市場シェアで遅れをとっている中国の自動車企業は、さらに苦しい立場に立たされるからだ。
招商証券のアナリスト、ワン・リュウシェン(Wang Liusheng)氏は、「輸入車や合弁企業の車は、高い利益率を享受している。しかし、独禁法の調査は、販売価格を引き下げ中国国内の自動車企業により圧力をかけることになるだろう」(フィナンシャル・タイムズ紙)とみている。
【違反は中国国内だけではない】
中国の独禁法では、当局が企業に年間収益の10%ほどの罰金を科することができる。日本精工への罰金は2%以下で、独禁法の内容からすると比較的軽度だ、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
コンサルティング会社オートモティブ・フォーサイトのエール・チャン(Yale Zhang)氏は、2%であっても大きな金額だとし、制裁金の割合は、それぞれの企業がどのように当局と交渉するかによるだろうとみている。「自動車メーカーが問題に誠実に対処していると中国当局がみなせば、罰金はわずかで済むだろう」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)
また、今回の日本精工への罰金は、最近、世界各国の規制当局が同社に対して行っている一連の処罰のひとつだ、と同紙はみている。欧州委員会は3月、6240万ユーロの罰金を科した。1月にはカナダが450万カナダドル、アメリカは2013年9月に、6820万ドルの制裁金支払いを求めた。なお、日本精工は2013年、日本でも独禁法違反で制裁金の支払いを命じられている。
中国在住日本人、13年は前年比10%減- AFPBB News(2014年8月20日21時07分)
【AFP=時事】外務省が15日に発表した統計で、2013年に中国に住んでいた日本人の人口は前年に比べ10%減少していたことが分かった。
外務省によると、2013年10月までの1年間に中国に住んでいた日本人は、前年比約10%減の計13万5078人だった。
日本総研(Japan Research Institute)の中国経済専門家は、減少の原因の一部は、外交関係の悪化によって中国の学生やビジネス関係者たちの間で日本のイメージが悪化したことがあると指摘する。また、中国の大都市を度々襲う危険なレベルの大気汚染をはじめ、中国での生活条件が悪化していることも挙げられるという。
日中関係は2012年9月に、東シナ海(East China Sea)の尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)を日本政府が国有化して以降、急速に悪化している。中国全土では時に暴徒化する反日デモも起きた。
反日デモが鎮静化した後も領有権をめぐる対立は続き、主権を強調するために両国の沿岸警備艇が周辺海域を巡視しており、衝突を引き起こしかねない状況だとの懸念もある。
多くの評論家たちはこうした懸念は誇張だとみなしているが、安倍晋三(Shinzo Abe)首相と習近平(Xi Jinping)国家主席は、就任後18か月以上が経った今も首脳会談を行っていない。
香港メディアの阿思達克通訊社は18日、中国商務部が同日行った記者会見での発表として、2014年1-7月の中国東部地域における直接投資は前年同期比1.1%減となったと報じた。特に日本、米国、欧州(EU)からの直接投資が減少し続けているという。
記事は、1-7月の中国への直接投資額は前年同期比0.35%減の711億4000万米ドル(約7兆2800億円)で、7月単月の直接投資額は前年同月比16.95%減の78億1000万米ドル(約8000億円)だったことを伝えた。
さらに、日本の対中直接投資は前年同期比45.4%減と大きく減少したと紹介、また米国からは同17.4%減、EU28カ国からは同17.5%減、ASEANからは同12.7%減になったと伝えた。
一方、中国商務部の沈丹陽報道官は日米欧などからの直接投資が減少していることは「市場独占に関する調査とは無関係」と指摘、あくまでも正常な範囲での変動に過ぎないとの見解を示した。(編集担当:村山健二)(写真はイメージ。「CNSPHOTO」提供)