秋の冷たい風の中を歩いていると
宮沢賢治の詩を読んでみたくなります。
純粋で透明で美しい彼の言葉が好きです。
私たちは氷砂糖をほしいくらいもたないでも
きれいにすきとおった風をたべ
桃色のうつくしい日光をのむことができます
また畑や森の中でひどいぼろぼろのきものが
いちばんすばらしいびろうどや羅紗や
宝石入りの着物にかわっているのを
たびたび見ました。
わたくしはそういうきれいなたべものをすきです。
☆
これらのちいさなものがたりの幾きれかが
あなたのすきとおったほんとうの
たべものになることを
どんなにねがうかわかりません。
注文の多い料理店(序)より