クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

コロラドから来た男-5(カレン族の話)

2014-05-06 16:35:22 | 日記

ネパール旅行から帰ってきたご主人様が、興奮して話していたことがもう一つある。

ミャンマーの少数民族・カレン族の孤児院のことだ。

 

ネパールからの帰路、ご主人様は殿に同行して、タイ西部のミャンマー国境近くにある孤児院を訪れた。この孤児院は、国内紛争の際にミャンマーから逃げてきて難民となったカレン族の孤児達を受け入れ、生活支援するための施設である。殿が3年前に建設した。

 

タイの首都バンコクから車で約5時間、ミャンマー国境近くの森の中に15人ほどの孤児達が暮らす、その孤児院はあった。ちなみに、映画「戦場に架ける橋」で有名になtったその橋は、孤児院から1時間ほどのところにある。

 

孤児院敷地内にはバナナの木がたくさん植えられており、自給用の広い畑や、魚を飼う池もある。そして放し飼いのニワトリも数羽見える。

居住施設は広い回廊式テラスで囲まれており、南国特有の開放感にあふれていた。

殿が車から降りると、小学生の子供達が駆け寄ってきた。

「おー、みんな元気か! ケンカしないで仲良くやってたか!」

そう言う殿の腕に、子供達が嬉しそうにまとわりつく。

 

長い回廊テラスの奥の方から、一人の男が両腕だけで這い、急いでこっちに向かって来るのが見えた。

その男は孤児院管理を殿から任されているビレイ牧師であった。彼は小児麻痺のため両足が不自由で、両手だけで移動し、生活しているという。その彼が、包み込むような優しい笑顔で我々を出迎えてくれた。

 

広いテラスにみんなが集まると、殿は用意してきたプレゼントを子供達一人ひとりに渡していった。

「お前、学校であまりケンカをするんじゃないぞ」

「いつもおいしい料理を作ってくれてありがとうね」

「どうだい、勉強はおもしろいかい?」

子供達にそんな言葉をかけながら、殿はプレゼントを渡してゆく。それはまるで、久しぶりに里帰りした父親のようであった。

子供達は殿から受け取ったプレゼントを大事そうに胸に抱えていた。

 

バナナ林のかなたに夕日が沈む頃、テラスの方から、子供達の歌声が聞こえてきた。ビレイ牧師が奏でるギターにあわせて、子供達が「アメージング・グレース」という素敵なアメリカの歌を唄っているのだ。子供達の高く澄んだその歌声が、夕闇の森に響き渡って行く。

 

 ゲスト用寝室で休んでいた拙者のご主人様は、その歌声を聞きながら思った。

「わしは今、夢を見ているにちがいない・・・・・・」

 

続く・・・・・・ 

 

 

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