羽生市ムジナモ保存会

食虫植物ムジナモの国内最後の自生地で、国の天然記念物の羽生市宝蔵寺沼ムジナモ自生地の復元には自然環境保全が不可欠である。

埼玉・群馬両県における地下水汲み上げ問題

2019-04-19 16:03:27 | 水の循環
要旨 埼玉・群馬両県は水道水の水源に十分な表流水の確保がなされぬまま、不足分を地下水に依存し汲み続けている。その結果地下水位は地表から5~30mと低下したまま回復することはない。地下水位の低下は地表の乾燥化を進行させ、野生動植物は乾燥に強いものが生き残り、乾燥に弱いものは衰退の一途をたどっている。埼玉・群馬両県の平野部の地表の乾燥化は、生物・自然環境にとって極めて深刻であり、かつての自然を取り戻すため、水道・農業・工業用の地下水汲み上げを全面停止し、期限を定め表流への水切り替えを図る必要がある。

1埼玉・群馬両県の地下水の汲み上げ状況
 埼玉・群馬両県は昭和30年代後半から人口増加に伴う水需要に対応するため、環境影響評価不十分のまま、水道水用の水源に安価で簡便な地下水に依存し続け今日に及んでいる。都市部の人口増と共に過大な地下水汲み上げは地盤沈下が拡大したため、その後表流水に転換しつつあるが、地下水への依存は継続している。


           表1  埼玉県・群馬県の地下水揚水量の推移
 
       埼玉県の1日の地下水の揚水量 万㎥         群馬県の1日の地下水の揚水量 万㎥
        1974年(S.49)       127 
        2004年(H.16)       72.5          2007年(H.19)       42.3
        2015年(H.27)   47.9          2016年(H.28)      35.4

2011年の埼玉県の日量は47.9万㎥で毎分333㎥汲み続けている。これは1分間に25mプール一杯分の相当量である。2016年の群馬県の日量は35.4万㎥で毎分245㎥である。埼玉県では昭和49年のピーク時から比較すると削減されつつあるが、毎分333㎥で、群馬県は毎分245㎥揚水し続けている。

 
2水道水の地下水比率
 埼玉県:表流水79 %   地下水 21 %  (平成27年度実績)
 群馬県:表流水72.3%   地下水 28.7%  (平成28年度実績)


3埼玉・群馬両県の地下水位の状況

表2 平成28年度の埼玉県の地下水位の状況
    地 点    深 度 m     地 点  深 度 m     地 点     深 度 m
   川口3号井     6       岩槻井   20       鷲宮2号井    20
   越谷井     5       大宮井   12         鷲宮3号井        5
   越谷東2号井    8       所沢 1号井  58         北川辺1号井  15
   春日部中央1号井  8     川島 2号井 7          大利根1号井  17
   春日部中央2号井 16     庄和井   20      栗橋井       12

 埼玉県の地下水位は5mから最大58mで、15地点の平均は15mである。

表3 平成27年度の群馬県の地下水位の状況
地 点 深 度 m 地 点 深 度 m 地 点 深 度 m
藤岡   38 館林2号   16 明和西1号 18
太田1号   26 千代田     4 明和西3号   8
群馬県の地下水位何れも4mから最大38mで6地点での平均は18mである。

4地下水揚水による弊害
1地下水位の低下:地下水は雨水や河川水が地下に浸透することにより供給されている。継続する地
下水の揚水は、当初地表近くにあった地下水位は次第に低下していく。
2地盤の沈下:過剰な地下水の揚水は、地下水位が低下し粘土層の水がしぼり取られ、収縮により地表面が下がり地盤が沈下する。
3湧水の途絶:継続する地下水の揚水により、両県平野部の各地の湧水は途絶してしまった。
4地下インフラの損壊:地盤沈下は水道・ガス配管を損傷、道路の沈下など埋設インフラに影響。
5小河川の汚濁の進行:地下水位が地表付近にあったころは、地下水が自然に浸みだし自然の流れがあったが、現行は雨水と雑配水のみとなり必然的に汚濁が進行している。
6ヒートアイランド現象:地下水位の低下は地表の乾燥化を招き、両県平野部の全域に及び、ヒートアイランド現象は夏の暑さ加速している。
7地表の乾燥化:地下水の揚水による地表の乾燥化は野生動植物の衰退・絶滅を招いている。
8生活環境の悪化:地下水の揚水は自然環境を破壊し全ての生物及び人の生活環境の悪化を招いている。
9地下水の水質:埼玉県の地下水の水質は鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、シリカ(Si)、蒸発残留物が多く水質は表流水(東京都)に比較して良くない。群馬県も同様である。
両県平野部の地下水位の低下は、昭和30年代に始まり既に60年以上経過している。地下水を揚水し続けている限り、地下水位はかつてのように地表近くまで回復することはない。本来あるべき水の循環を断ち切る地下水の揚水は多大な弊害をもたらしている。

5水の循環を回復し、かつての自然を取り戻す
水の循環を断ち切る地下水の揚水による弊害は多大であり、かつての自然を取り戻すためには、水道・農業・工業用水の地下水の汲み上げを停止し、期限を定め表流水に完全移行を決断すべきである。
地下水の汲み上げを、完全に停止することが、かつての自然を取り戻す埼玉・群馬両県の唯一の手段と考える。
昭和30年頃は埼玉県平野部の多く地点では地表の50㎝程掘れば水が湧き出し、地域の水路・河川には自然の流れがありメダカ、蛍等も各地に生育しており豊かな自然があった。
現行の破壊された自然環境からの脱却を図り、かつての県土(国土)を回復させるためには、地下水の揚水の全面停止が不可欠である。次世代に先送りすることなく決断が急務と考えられる。