この日の天覧山平日岩トレは何よりもF沢さんが来てくれたことが最大のイベントでした。木曜日でしたから、声掛けはしたのですが、初心者ばかりのYYDの岩トレに来てくれる可能性はほぼゼロだと思っていました。それがトラバース岩に着いてみると、見慣れた姿がトラバースしているじゃあありませんか! 来てくれたんですね。 感謝です。「何往復したの?」と聞くと、「13往復」との返答。トラバース終了したF沢さんに「片道でいいから二人に見せてあげて」と頼んで、軽々と移動する様子を見てもらいました。HTさんと哲さんも近いうちにここの本格的トラバースにチャレンジするでしょうから参考になったと思います。「このトラバース、5.7くらいかな?」と僕が聞くと、「それくらいでしょうね」と同意してくれました。
皆で最下部岩場に降りて、のんびりと準備をし始めました。
2022年11月17日(木) 天覧山平日岩トレ№6
▲11:12。哲さんが僕とF沢さんとのツーショットを撮ってくれました。(撮影:哲)
▲11:02。HTさんはまだ最下部岩場のトラバース中でしたが、小ハング4級+にトップロープをセットすることに。F沢さんがリードして、上でセットして、クライムダウンして来ます。彼女の登る姿を見学するだけで、HTさんや哲さんにとって凄くいい勉強になります。勢いではなくて、静かに登る姿が印象的です。一瞬一瞬、どの瞬間も完璧にバランスが取れているからこその静けさなんですね。
▲11:05。HTさんのこの日最初の課題は最下部岩場のトラバース10往復です。1往復目、2往復目こそまだ調子が出ていないようでしたけれど、最初は5分ペースだった1往復が、次第に4分に近づき、さらに4分を切るペースになってきました。
哲さんもHTさんの移動の合間を見ながらトラバース練習します。でも、ほぼ最初から完璧に出来てしまっていました。HTさんをよけながら、1往復成功! あまりにも簡単に成功してしまって、拍子抜けですね。哲さんは天覧山2回目ですが、1回目は雨後の日で、岩場はびしょ濡れ、クライミング練習は出来ずにカラビナの掛け替えなどの練習しかしていません。実質、天覧山初見参なのに凄いですね。
▲11:23。F沢さんがセットしてくれた小ハングルート4級+を、哲さんはトップロープとは言え楽勝で登ってしまいました。後で登ったHTさんもこれまででは一番綺麗に登って行きました。これぞF沢効果でしょうね。
▲11:39。最下部岩場10往復を終了させたHTさんです。
▲11:40。最終のタイムは40分12秒32でしたね。1往復が約4分1秒ですね。HTさんが「何分くらいで10往復できればいいですか?」と聞きます。この10往復トラバースは筋持久力を高めるための練習なので、タイムを目指している訳ではありません。でも、強いて言えば、30分あたりを目指したらいいと思いますね。ちなみに僕の最高記録は1年前の21分34秒91です。
▲11:47。続いて、フェースルート4級+も同様にF沢さんリードでトップロープをセットしてもらいました。
▲12:05。哲さんも問題なく登りました。
▲12:17。HTさんも比較的綺麗に登って行きました。
▲12:55。その後、僕は獅子岩の三段ハングにトップロープをセットしました。
僕にとって何年ぶりでしょう? 獅子岩3段ハングを登るのは! 30年ぶりくらいかな? F沢さんに僕たち初心者の世話ばかりさせたのでは申し訳ありません。今は5.12クライマーになっているF沢さんですけれど、ハング系が苦手なんだそうです。自分の弱点克服のため、この三段ハングにトライしたいということなんです。三段ハングのノーマルルートは5.11bだったと思います。でも、3段目のガバホールドが欠けてなくなってしまいましたから、5.11dになったと聞いています。僕も30代のころはこの三段ハングをトップロープですがノーテンションで登っていました。S子もノーテンションで登れていました。天覧山の主・M田さんが言うには「この三段ハングを完登している女性の中ではS子が最も小柄だ」と言ってました。身長が低いと、使うホールドもかなり違うんです。
▲13:18。F沢さんがトライし始めました。矢印で示したノーマルルート(ダイレクトルート)はハングのいちばん出っ張っている箇所を繋げるルートですが、F沢さんはとりあえずそれには拘らずに登ろうとしています。手は勿論ですが、足も自在に動きます。探しながら試しながら登っていることが分かります。この三段ハングは簡単にグレード表現すると、1段目が5.9、2段目が5.10、3段目が5.11というように次第に困難になるんです。見ている僕たちには真似できるレベルではありませんが、見ていると自分にも出来そうな気になって来ますよね。F沢さんにも最も出張っている3段目は容易に登ることは出来ませんでした。
▲13:18。このあたりは楽そうに登って行くF沢さんです。僕たちにとっては困難極まりないんでしょうけれど。
▲13:28。様々なルートからの登攀可能性を探っているようです。
▲13:28。確保者は僕です。後ろの木からセルフビレイもしっかりと取っています。
▲13:30。3段目を右端から登って行きましたね。いろんなルートを試せるだけでも凄いことです!
▲13:47。せっかくなので、哲さんにもトライしてもらいます。哲さんも1段目の乗っ越しで精一杯。
▲14:02。僕もトライしましたが、昔の面影は失せ、1段目突破が精一杯でした。写真は落下し、空中浮遊中の僕。
▲14:07。3段ハングのノーマルルート(ダイレクトルート)に挑戦するF沢さん。1段目を乗り越え、2段目に手を掛けたところです。
▲14:07。2段目を突破し、3段目にかかる直前ですね。ダイレクトルートはザイルの方向なんですが、そこは最難ルートのはず。右の方が易しいのかと。
▲14:23。HTさんが1段目を乗っ越そうと奮戦中。
▲14:27。何とか1段目は乗り越えたと思いますけれど、HTさんも空中遊泳。
▲14:32。哲さんも再度トライ。少しの進歩はありましたけれど、まだ2段目の乗っ越しは出来ませんでした。
F沢さんも天覧山に課題が残ったので、またいつか来てくれるかもしれませんね。三段ハングをしている途中で、仕事を済ませてから合流することになっていたN村さんが来ました。F沢さんも用事があってそろそろ帰らなければなりません。僕は鏡岩にトップロープをセットしに行きます。鏡岩の上から僕はF沢さんと別れの挨拶を交わしました。
4人が鏡岩に集まります。鏡岩は5.7。細かなホールドとスタンスを繋げて登る4mほどのルートです。鏡のようにツルツルの岩場で、岩の傾斜は80~85度くらいだと思います。腰を岩にくっつけるように寄せて、体重を足に乗せる姿勢を保たなくてはいけません。それが出来ないと、腕に強烈な力がかかってしまって、腕が持ちません。小さなホールドを保持する能力と、体全体でのバランスが要求されるルートです。クライミングにおいて大切なことが学べる良いルートだと思っています。
僕は30代のころは得意なルートだったのですが、最近はまるで駄目でした。去年、F沢さんと鏡岩を久し振りに登ると、F沢さんはすぐに登れるようになったのに、僕は全然登れなかったんです。ですから、F沢さんに「先日の日曜日、鏡岩がちゃんと登れたよ」と報告すると、「やったじゃん、進歩してるね」と喜んでくれました。僕が鏡岩を登れなかったことを、覚えてくれていたんですね。
さっそく、哲さんがトライ。最初のホールドやスタンスは教えてあげてはいたのですが、スイスイと登って行きます。あっけないくらいに簡単に上まで到達してしまいました。鏡岩を初トライでこれほど問題なく完登した人を僕は初めて見ました。
▲15:29。続いて、HTさん。彼女も苦労はしましたが、ザイルにもぶら下がりましたが、上まで行くことが出来ました。素晴らしい!
▲15:34。完登直前のHTさん。
▲15:54。哲さんが再度トライしました。腕にかなり来ていると言いながらも、先ほど同様とってもスムーズに上まで行きました。バランスがいいですね。腰が岩に吸い付いています。僕も登ることが出来ました。嬉しい!
▲15:55。最上部のプチガバに手が掛かって、ほぼ終了直前の哲さんです。
▲16:11。N村さんはこの日クライミングシューズを忘れたので、無理でしたね。小さなスタンスが続くので、運動靴や沢靴では難しいです。
▲16:14。それでも頑張って登ります。哲さんが的確な指示を出してくれます。哲さんは今日初めての鏡岩なのに、教え方が上手いですね。
▲16:18。その哲さんが登ります。
▲16:19。イェ~イ! ってな感じですね。
日没時刻になって、この日の練習も終えることにしました。
YYDでも最下部岩場の10往復や小ハングやフェースの4級+ルートを達成するメンバーが多くなって来ました。鏡岩も上まで到達できたメンバーが3人になりました。今後は蛇岩やハイキング道沿いのトラバース岩での練習にも進出していけるかもしれませんね。
僕は古いクライミング様式に馴れ親しんでいる人間なので、この日もF沢さんに数多くのお小言をもらいました。確保器のルベルソ5を購入して使っていることは誉めてもらえました。8環からATCなどへの変換期には当時一緒に登攀していた若者たちに叱られ、教えてもらいました。今また、若者たちに指導されています。F沢さん、Y山さん、N村さん、哲さん、皆、最新の技術をしっかりと学んで最高の安全を確保しようとしています。皆から見ると、僕が持っている道具は骨董品のように見えるのかもしれませんね。それでも、僕はヌンチャクを使うようになり、ATCを使うようになり、今はルベルソ5を使っています。
新しい道具や技術は若い人に学ぶのが一番ですね。トップロープで確保していても、全く関係ないと思われるザイルの末端も結んでおくようにと、F沢さんから教わりました。天覧山最下部岩場では実質的には意味がないことはF沢さんも重々承知なんですが、習慣化しておくことが大切なんだと言われました。教わることが多いです。N村さんも哲さんもすごく勉強熱心ですから、僕の知らないことをたくさん知っています。少しずつでもいろいろと教わりたいと思っています。