魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。⑤

2017年07月08日 | 民俗学探究
「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。④ のつづき

「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。①②③④ にて
古典から性別を確認してきましたが、

天照大神を皇祖神とし主祭神としている、伊勢神宮において、
女性神か?男性神か?確認できる情報がないか確認を進めてみました。


伊勢神宮は、天照大御神をお祭りする皇大神宮(内宮)と
豊受大御神をお祭りする豊受大神宮(外宮)を御正宮として、
十四の別宮と百九の摂社、末社、所管社、合わせて百二十五の宮社から成り立っています。 

このように神宮には多くの神々がお祭りされていますが、

内宮入口の案内表記では、
「皇大神宮(内宮)御祭神 天照大御神 御鎮座 垂仁天皇二十六年」と御祭神と記され、
天照大御神の御神名しか記されていません。


ただし、皇大神宮(内宮)に関する儀式・行事を撰録した書である
『皇大神宮儀式帳』京都大学附属図書館所蔵  平松文庫 『皇太神宮儀式帳』[1/76]
(804年(延暦23)、宮司大中臣真継・禰宜荒木田公成らが
神祇官に提出した解文(げぶみ)で、年中行事を初めとする諸事項を詳述。
『止由気宮(とゆけぐう)儀式帳』と合わせて『伊勢大神宮儀式帳』『延暦儀式帳』といわれる。)

によれば、御祭神として

【原文】
 天照坐皇大神 所称 天照意保比流賣命
 同殿坐神二柱、左方天手力男神、靈御形弓坐
 右方萬幡豐秋津姫命、此皇孫之母、靈御形劔坐

【読み下し文】
 天照坐皇太神(アマテラシマススメオオミカミ)
 所称 天照意保比流賣命(アマテラス オホヒルメノミコト)

 正殿内で天照大神の左右に坐すご神体として
 左に天手力男命弓(タチカラオ)、霊(たま)のみ形、弓にてまします。
 右に万幡豊秋津師姫命(ヨロズハタトヨアキツシヒメ)、これ皇孫(スメミマ)の母、
 霊(たま)のみ形、劔にてまします。

とあり

天照坐皇太神 の神名では性別を確認する事はできませんが
所称 天照意保比流賣命 の神名では明らかに女性を表しています。



「アマテラス」は太陽を象徴とする神ですが、太陽そのものに性別はありません、
その存在を受けて、表現する側の意思・思惑によって性別が表現されている為、
女性・男性と表現されていると言えます。

性別を表現させる理由・背景を考える事で、
その時代に人々の生きた証を感じることが出来るのではないでしょうか?


“何事のおはしますかは知らねども、かたじけなさに涙こぼるる”

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「アマテラス」は女性神か?男性神か?『古事記』を通じて考える。     (ちょいと寄り道)

2017年07月08日 | 民俗学探究
ちょいと寄り道。
「アマテラス」は女性神か?男性神か?を調べて行く中で、

『延喜式』平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則)では
自然神として神社などに祀られた場合の「天照」は「アマテル」と称されている。

天岩戸の神隠れで有名であり、記紀によれば太陽を神格化した神であり
皇室の祖神(皇祖神)とされ神社としては伊勢神宮が特に有名。(Wikipediaより抜粋)

とあり、「アマテル」はその名称の如く、
天地を照らすという太陽神らしい神の名に冠する名称であり、
自然の太陽をそのまま神格化した神と言えるのですが、

7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた、
日本に現存する最古の和歌集である『万葉集』で「アマテル」を使用した和歌として、

「久方乃天照月者神代尓加(久方の天照る月は神代にか)」(7-1080)
「久方天光月隠去(久方の あまてる月の隠れなば)」(11-2463)
「比左可多能安麻弖流月波見都礼杼母(久方の あまてる月は見つれども)」(15-3650)

との様に、久方の天を照らすのは、月であると表現され詠まれています。

「アマテル」は太陽だけに限定するのは考え違いなのか???

新たな課題が生まれてしまった、、、、、、、、、、。


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