夕陽が落ちたばかり
静かに風がそよいでる
肌では わからない
少女の吹く シャボン玉が流れることで
風の存在を知る
珊瑚礁に守られて 干潮の海は凪ぎ
湖面のように 静まりかえっている
地平線に落ちた太陽は まだ 雲を照らしてる
その雲が 海に映っている
海に 小魚の群が 小さな さざ波を作り出す
少女は シャボン玉を吹いている
完璧な球が 風に運ばれ やがて はじける
その時 少女の中の無意識が 大気に溶ける
この瞬間 すべてが調和している
太陽 空 風 雲 海 魚 空気 そして 少女
はるか昔 こんな光景が 当たり前だった
それを 壊してしまったのは ひと
今 楽園は 姿を消そうとしている
助けを求めている
ひとにではなく 地球に
地球は告げる
人間達よ 目覚めなさい
私との和解を求めなさい
手遅れに ならないうちに
少女は シャボン玉を吹き続ける
まるで すべてを なだめるように