愛詩tel by shig

プロカメラマン、詩人、小説家
shig による
写真、詩、小説、エッセイ、料理、政治、経済etc..

歩道橋の上で

2018年06月17日 07時39分20秒 | 

歩道橋の上から道路を見ていた

車、トラック、オートバイなどが走り去っていく

この風景は、二度と同じものを見ることはないんだな、と思いながら眺めていた


今日は12月11日
張りつめた空気が肌を刺す

僕は歩道橋の上に立っている
約束だからだ

去年の今日 僕はここである女性とぶつかった
二人とも転びはしなかった


大丈夫ですか?


大丈夫、でも・・


彼女のバッグが地に落ち 化粧品などが散らばっていた
詫びながら一緒に拾っているとき 彼女の横顔が見えた

どきっとした
素敵な女性だった

僕はおそるおそる言った


お詫びにコーヒーでもご馳走したいんだけど


彼女は僕の顔をじっと見つめ、何かを考えている風だった


そうね、来年同じ日、同じ時間、この歩道橋で会いましょう
いいでしょ?


そう言うなり、彼女は階段を下っていった


1年後の今日

まさか来るとは思ってなかった僕は、背中を叩かれ、びっくりした


おまたせ、1年お待たせね


まさか来るとは・・


とんでもない、
私は何を置いてもここに来ることを、この一年1日たりと忘れなかったわ


どうして1年先だったんだい


それはね、あの時つきあってる人がいたの
その人に別れをわかって貰うのに1年必要だったってわけ


僕を選んだ?


当然でしょ、顔見た途端にピンときたわ
この人こそ私が待ち望んでいた人だって


僕がこないことは考えなかったの?


勿論考えたわ
でもね、信じた
運命の二人は、いつでも、どこでも逢えるものだってね


これから どうしようか?


しばらくここにいましょう
私ね、歩道橋から下を見るの好きなの


あれ?僕もだ
似てるね


だから運命の二人なの


僕らはそれから1時間近く道路を見つめていた
お陰で体が芯から冷えてしまった


君は言った

 

じゃあ お詫びのコーヒーご馳走になろうかしら

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