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”免疫学の最高峰” 安保徹教授に聞く ”癌” 対策/最終回 再発したくないなら、検査を受け過ぎないこと

2020年07月11日 06時17分02秒 | 
週刊がん もっといい日より
2016年05月12日 

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”免疫学の最高峰” 安保徹教授に聞く ”癌” 対策/其の壱

”免疫学の最高峰” 安保徹教授に聞く ”癌” 対策/其の弐

に続いて、今回で最終回である

がん患者さんのための『免疫とがん』講座
第3回「再発を防ぐための生活術」
                  
がん 患者さんのための「免疫とがん」
第2回では、三大療法をどこまで受けるべきか、がんを治すために不可欠な免疫力アップの方法(がんを治す4か条)についてお伝えしました。

今回は、再びがんにならないための生活術、つまり副交感神経を優位にして免疫力を高めるための具体的な方法について、新潟大学大学院医歯学総合研究科の安保徹教授にお聞きします。


安保 徹(あぼ とおる)教授
新潟大学院歯学部総合研究所名誉教授
1947年、青森県生まれ。89年に胸腺外分化T細胞の存在を発見し、
96年に白血球の自律神経支配のメカニズムを解明。
その後も国際的な場で研究成果を発表し、免疫学の最前線で活躍を続ける。
著書に『免疫革命』(講談社インターナショナル)『医療が病いをつくる』(岩波書店)など多数。
がん患者向けの講演でも全国を飛び回っている。

                              
■取材・文:
 メディカルライター・内山 遥(うちやま はるか)乳がん闘病中


取材協力
新潟大学大学院医歯学総合研究科
安保 徹教授


体によい物を食べて腸管を刺激する●

 私は、がんになる前、一人で食事をすることが多かったせいか、食事の内容が偏っていることが多く、短時間で食事を済ませていました。
ひどいときには、アルコールとおつまみだけで、夕食を済ませてしまうこともありました。


   「働きすぎたり悩みすぎたりしている人は、甘いお菓子やお酒がほしくなります。
砂糖やアルコールは、副交感神経を優位にする食物なのですが、ストレス過多で交感神経が緊張しているときには、体が自分を守ろうとして副交感神経を優位にするものを食べて、バランスを取ろうとする
のです」
(安保先生)


  毎日、お酒が飲みたい、甘いものがほしいという人は、偏った味覚をストレスから来る危険サインと考え、無理な生き方を見直す必要があると言えそうです。

   免疫力を高めるには、副交感神経を積極的に刺激することが大切です。
とくに腸管は、副交感神経によって支配されているので、体によいものを食べて適度に消化管を刺激してやると、リンパが増えて免疫力がアップする
のです。


安保先生が、がんの患者さんに勧めるのは玄米菜食です。
玄米は、ほとんどの栄養素を含み、とくに食物繊維がたっぷり含まれているのが優れている点だと言います。

 「体調が悪いと便が黒っぽくなるのですが、玄米に、おから切干し大根ごぼう海藻きのこなど、
食物繊維の豊富なおかずを日常的に食べていると、便の状態が明らかに変わり、黄金色になります。
黄金色の便がでているときは、腸のなかでビフィズス菌が増えて酸性になり、腐敗菌が少なくなるので、腐敗臭もな くなるのです
(安保先生)


 玄米菜食だと、たんぱく質が不足しないかと考えがちですが、野菜にも玄米にも、たんぱく質は含まれています
たとえば玄米には6.8%、キノコ類は90% 以上が水分にもかかわらず、2~4%ほどのたんぱく質が含まれています。
だから、意識してたんぱく質をたくさん摂らなくても大丈夫。
肉類を多く食べると、 かえって腸内環境が悪化しやすく、便の状態も黒っぽくなる
ので、
たんぱく質を摂るなら豆類や大豆製品がおすすめです。

 20年ほど前、旧厚生省から「健康のために1日30品目食べましょう」というスローガンが発表されました。
今でこそ健康指針から外れていますが、毎日いろいろなものをバランスよく食べなければいけないと、思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。


   「そもそも多くの動物は、1種類のものを食べて生きてきました。
コアラはユーカリしか食べないし、パンダは笹しか食べません。
なのに、筋肉隆々でしょ。
腸内環境がよくなって、よい腸内細菌がすみつくと、人間だっていろいろなものを食べなくても生きられるようになるのです


実際に水や青汁だけで生きている人は、日本に20人もいるそうですよ。
腸内細菌を利用して生きているという感覚を持てば、いろいろな物をバランスよく食べなくちゃいけないという呪縛から逃れられてラクだし、自然に少食になります。
ただし急に少食にすると、空腹を感じて、それがストレスになるので、少しずつ慣らしたほうがよいですね」(安保 先生)

  ちなみに安保先生の毎日の食事は、玄米と野菜がメイン。
たまに肉料理を食べる程度だということですが、100歳を過ぎたら、水分だけで生きることに挑戦しようと考えておられるそうです。

  食事と並んで大切なのは、入浴と運動です
入浴と運動によって体温が上昇し、免疫力が上がるからです。
入浴は、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがコツ。

 ただし体力が落ちている人は、負担が大きくなるので、入浴を控え、足湯や湯たんぽで体を温めるようにしましょう。
  運動は、特別なスポーツをしなくても、ウォーキングや軽い体操などで十分。
ただし必ず毎日意識して、体を動かすようにしましょう
激しく運動してしまうと、肉体的なストレスで交感神経が優位になってしまうので、疲れない程度にとどめておくことが大切です。

再発したくないなら、検査を受け過ぎないこと●

 がんの治療を、ひとまず終えた方の多くは、3~4か月に1回とか、6か月に1回のペースで、検査を受けていることでしょう。
検査を受け、結果を待っている間、「再発していないだろうか」という不安にかられることはありませんか?

   「検査の結果、異常なしといわれるとほっとしますよね。
ほっとするということは、その間、ものすごい不安を感じているということなんです。
検査をひんぱんにすればするほど、怯える回数が増えて交感神経過緊張になるから、かえって再発しやすくなってしまうのです。
康な人だって、年に何回も検査したらがんになりますよ
ましてや治療後、体が弱っている人は、たびたび検査を受けてはいけないのです

(安保先生)


 安保先生も、若い頃は丹念に、いろいろな検査を受けていたそうです。
けれども、偏った生き方ががんを発生させるとわかってからは、まったく検査を受けなくなったと言います。

   「生き方を変え、体にいいことをして、検査を受けずに自分で治そうと決意した人は、再発しない傾向があります
どうしても不安な人は、免疫療法を行っている医師を探して、ときどきリンパ球比率などを調べてもらうのもいいでしょう。
もし、比率が落ちているようなら、もっとしっかり玄米菜食や体操などをやろうなどと、日頃の生活を見直すきっかけにすればいいのです」(安保先生)

 それと大事なことは、笑うこと
笑うと気分がリラックスして副交感神経が刺激されますし、リンパ球の一種のナチュラルキラー細胞が増えて、
がん細胞を攻撃する力がアップすることが明らかになっています。

 安保先生は、
がんの再発を防ぎたい人は、1日2回、鏡を見て笑うようにしましょう。

鏡を見ることによって、笑っている自分を意識できますから」と勧めます。

   また、「生き方を変えるいい機会になった」と病気に感謝している患者さんは、よくなる傾向が強いそうです。
「感謝」は、怒りや恐怖の対極であり、副交感神経優位の状態。
免疫力も、上がりやすくなるわけです。

どうしても感謝の気持ちをもてないという人は、深呼吸をしたり音楽を聴くなど、意識してリラックス状態をつくるようにすると、副交感神経を刺激することができます

 「私は、がんの患者さんをたくさん見てきましたが、治った人はみな、何か一つだけに頼るのではなく、運動して体を温め、玄米菜食をして、仕事のやり方も見直すなど、生活を変えています」(安保先生)

 これまでの人生を見直し、生き方を変える。
生活全般を見直し、体によいと感じたことは、何でも取り入れてみる。
遠回りのようですが、案外がんを治す近道なのかもしれません。


毎日の生活で心がけたいこと

 ○ 睡眠時間を十分とる(疲れたときは8~9時間)
○ 食事の基本は玄米菜食
○ 適度に体を動かして体を温める
 ○ 感謝して笑う

<安保先生のお話を聞いて>

   放射線治療を終えて3か月。
この間、玄米、手づくりのニンジンジュースなど、体によさそうなことをはじめました。
ゆったりと入浴し、毎日少なくとも30分は体を動かすようにしています。

仕事も再開しましたが、無理をしない、夜は仕事をしない、この二つを守っています。
抗がん剤治療で抜け落ちてしまった髪もようやく伸びて、“自毛デビュー”も済ませました。

 先日、久しぶりに病院に行って血液検査を受けました。
その結果、白血球数は3300と少なめでしたが、リンパ球率は32.3%と
まずまずでした。

主治医からは、4月に超音波検査を受けるように言われたので、もう少したってから受けたいと答えたのですが、
有無を言わさず予約を取るように言い渡されてしまいました。

 「わかりました」と軽やかに返事をしたものの、予約は取らずに帰宅。
多分、もう主治医にお会いすることはないでしょう
けれども、医師に頼らない道を選んだ以上、これからは自分の健康は自分で守らなければなりません
毎日、鏡で笑顔をチェックしながら、前向きに生きていこうと、思いを新たにしました。

取材・文:内山 遥(うちやま はるか)
   女性誌や医療関係の雑誌に執筆するメディカルライター。
2006年2月、入浴中に左胸のしこりを見つける。
検査の結果、クラス5、ステージⅡの乳がんとの診断。

4月に乳房温存手術を受け、リンパ節に転移があったため、
抗がん剤治療を6クール受ける。
さらに放射線治療を受けて、現在はホルモン剤を服用中。

連載終わり




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