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狩猟採集民族とは

2025-01-04 11:26:00 | 世界史

【狩猟採集民族】


 人類は、その全歴史の99%以上を狩猟採集民族として生活してきました。その時代を旧石器時代と言います。ちなみに農耕が開始されたのは、新石器時代からです。狩猟採集は、牧畜や農業が開始されるまでの原初的な生活様式とされています。食物は「果物」「動物」「魚」などと多様でした。栄養バランスが良かったので、成人男性の平均身長が、1777cmと比較的高かったとされています。これと同じレベルになったのは、20世紀に入ってからです。ただし、現代人でもアジア系の人は、そこまで背が高くありません。

 狩猟採集民族の社会は、基本的にみな平等でした。地位に上下がなく、上に立つ者がいなかったからです。首長はいましたが、特権的な権力はなかったとされています。集団の意志決定は、全体の合議で決められていました。社会には、平等化するプロセスが働いており、常に横並びの社会が維持されていたとされています。


【平等】

 狩猟採集民族は、全員が狩りなどに出かける狩猟採集者だったとされています。ただし、性別による役割の区別はありました。男が、動物をとらえる狩猟で、女が、植物を集める採集を担当したからです。獲物の取り分は、とった人もとらなかった人も、なんでも、平等に分けられました。何も獲れなかった人が、獲物をもらっても特に感謝もしなかったとされています。なぜなら、分け合うのが当然だったからです。この平等に分けるという価値観は、社会的な知恵だったとされています。その方が、結果的に生き残れる可能性が高まるからです。狩猟採集民族は、集団で狩りをしていました。そのために、必要になるのが仲間同士の団結力です。その和を乱さないように、獲物を独占することは禁止されました。ただし、どうしても狩りの腕には、個人の力量の差が出てしまいます。しかし、狩猟採集民族の間では、たとえ優秀なハンターでも、特別扱いされることがありませんでした。


【自然】

 狩猟採集民族は、仕事と生活の区別がなく、それらが一体化していた未分化な社会だったとされています。その仕事も、分業化されておらず、現在のように長時間労働ではありませんでした。狩りや採集というものは、食糧というエネルギー源を獲得すると同時に、自分のエネルギーも消費する行為です。そのため、うまく休息をとりながやった方が効率的だとされています。それは、動物も同じす。また、集団の全員が一斉に仕事を行うわけではありません。働いているのは、全体の65%だったとされています。

 狩猟採集民族は、生態系の一つの要素として、自然と完全に調和していました。狩りでも、必要以上に殺生することがなく、剰余食物が出ることがなかったとされています。狩猟採集民族には、食糧を貯蔵するという習慣がありませんでした。大昔は、獲物がたくさん生息しており、人口も少なかったので、蓄える必要がなかったからです。そのため、その日暮らしの不安定な生活だったとされています。


ネアンデルタール人について

2025-01-04 11:10:00 | 世界史

【ネアンデルタール人】

 ネアンデルタール人は、ホモサピエンスの亜種で、旧人とも呼ばれています。ホモサピエンスとは、今の人類のことです。ネアンデルタール人は、約4万年前の氷河期時代、ユーラシア大陸のヨーロッパを中心に繁栄していました。そのため、はじめに発見された場所もドイツです。ホモサピエンスの全DNAのうち、約2%は、ネアンデルタール人由来だとされています。ただし、ネアンデルタールのDNAを持つのは、アフリカ系以外のアジア、ヨーロッパの人たちだけです。ホモサピエンスは、ネアンデルタール人と中東の森で出会い、混血したとされています。


 ネアンデルタール人は、筋肉質なレスラーのような体つきでした。成人男性で、平均身長が約165センチ、平均体重80キログラムだったとされています。ネアンデルタール人が生きていた時代は氷河期でした。その寒さに適応するため、アレンの法則で、胴長短足になったとされています。なぜなら、胴長短足の方が、熱の放散を防ぎやすいからです。また、寒い時、筋肉を震わせると熱が出るので、筋肉質なことも寒冷地向きでした。ネアンデルタールは、白い肌だったとされています。それは、日射量が少ない地域への適応でした。

【道具と狩り】

 ネアンデルタール人が、初めて人工的に火を起こしたとされています。また、優れた工人だったので「ペンダント」「ブレスレット」「動物の毛皮の服」「石器」「握斧」などの道具を作ることが出来ました。 

 また、ネアンデルタールは、狩の名人だったとされています。力が強かったので、3mの重い槍で、大型哺乳類を狙うという肉弾戦の狩りをしていました。ちなみに、飛び道具は、使わなかったとされています。ネアンデルタールは、優れたハンターだったので、新たに道具を作り出す必要性がありませんでした。そのため、道具は、あまり進化しなかったとされています。逆にホモサピエンスは、弱かったので、道具を進化させていきました。最終的に、ホモサピエンスが生存競争に勝ったのは、技術力の差が要因だったとされています。ネアンデルタールの狩りは、リスクが高く、30代までに、ほとんどの者が命を落としました。


【ホモサピエンスとの関係】

 ネアンデルタールは、人類「ホモサピエンス」とライバル関係にありましたが、直接は戦わなったとされています。当時は、まだ戦争という発想がなかったからです。ネアンデルタール人は、血縁関係のある20人くらいで集団を作り、それらが個別に生活をしていました。遊牧民族のように、小さな家族単位の集団で、各地を彷徨っていたとされています。総人口も、少なかったので、長距離ネットワークが築かれることがありませんでした。

 ネアンデルタールの脳容量は、ホモサピエンスより、10%以上大きく、知能は同等だったとされています。そのため、ホモサピエンスほど複雑ではないが、生きる上で必要な言葉は話すことは出来ました。また、記号を使ってコミュニケーションをとることが出来き、抽象的に考える能力はあったとされています。高い精神性を持ち、死者を埋葬する風習もありました。