今日で9月定例県議会が閉会しました。
本会議に、明日に迫った「消費税率10%への増税に反対する意見書」を提出して、提出者説明を行いましたが、自公議員の反対多数で否決されました。
消費税導入時からほぼ半減されている法人税をあげることやアメリカからの兵器購入などを抑制すれば消費税増税の必要はありません。税金はとるべきところからとり、その使途を見直せば、ややこしい消費税増税は不必要、そのようなことを訴えましたが、、残念です。
熊本県議会インターネット中継録画 ※1時間13分頃に登場します。
以下が提出者説明の全文です。
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くまもと民主連合の鎌田聡です。
議員提出議案第7号「消費税率10%への増税に反対する意見書」の提出者説明を行います。
明日10月1日から消費税が10%に引き上げられます。この意見書は、今さらながらの感もありますが、明日以降の増税後も国会で「消費税増税遡求中止法」を成立させれば10%増税を止めることができますので、そのことを求めて国に意見書を提出するものです。
明日からの消費税増税をめぐっては大変な混乱が予想されます。
ポイント還元に軽減税率、低所得者や子育て世代への商品券と、あまりにも複雑になりすぎます。食料品以外を大手スーパーで買うと10%、コンビニでキャッシュレスで買うと8%、中小商店でキャッシュレスで買うと5%、食料品を大手スーパーで買うと8%、コンビニでキャッシュレスで買うと6%、中小商店でキャッシュレスで買うと3%と、負担する税率は5種類になります。こんなややこしいことが理解できるでしょうか。
まずは、ややこしいの1点目である「ポイント還元事業」ですが、中小小売店・飲食店などでキャッシュカードや電子マネーなど非現金払いをした場合は、5%が還元されます。コンビニなどフランチャイズなら2%です。
この事業の対象となる中小企業は、小売店やサービス業であれば資本金5000万円以下あるいは従業員50人以下の企業ですが、参加申請した店舗は全国で73万弱で、200万店舗あるとされる対象事業者の3割強にすぎません。
一方で、中小企業が還元を受ける規定をめぐり奇妙な現象が起きています。規模の大きいスーパーなどがポイント還元策に参加しようと資本金を減らし中小企業になっているとのことです。帝国データバンクによりますと今年1~8月に資本金を減らした小売業は471社にのぼり、すでに昨年1年分を上回っているそうです。完全に公平な競争をゆがめています。
そして、ややこしいの2点目が軽減税率で、食料品や日刊新聞を増税後も税率8%に据え置くものです。ただし、外食と酒類は10%ですので、8%か10%かの線引きで混乱は必至です。コンビニやスーパーで総菜を購入して持ち帰れば8%ですが、飲食スペースで食べれば10%です。ただ、持ち帰るつもりで8%支払ったのに知り合いにあって飲食スペースで食べることになっても追徴はされないでしょう。この他、おもちゃ付きのお菓子など食品と食品以外を一体に販売する場合に何%で売るのかも問題になっています。おもちゃの割合などでその%が変動するとのことですが、非常にわかりずらいです。
このややこしい軽減税率とややこしいポイント還元が組み合わさることで、さらにややこしくなり、先ほど述べた通り、税率は、10%、8%、6%、5%、3%の5種類となります。
同じ商品で税率が異なるケースもでてきます。コンビニでパンを現金で購入し、店内で食べた場合は10%ですが、クレジットカードで購入した場合は店内で食べても8%です。同じパンを中小の小売店でクレジットカードで購入し、持ち帰る場合は3%です。購入場所と購入方法で税負担が変わり、不公平が生じます。
このややこしい税率に対応する中小商店は4分の1しか、その準備できていないと聞いています。複数税率に対応するレジは品薄で間に合わない、20万円もするレジは導入できない、クレジットカード決済の手数料を負担する体力はないので、この際、廃業しようという商店が出てきています。
また、現在の消費者マインドを示す消費者態度指数は8月まで11カ月連続で低下しています。そして、7カ月連続、実質賃金は低下しています。今回は前回の増税時ほど駆け込み需要が起こっていません。駆け込む体力すらなくなっているのが今の消費者の実態だと言えます。
そんな消費者の厳しいふところ事情と裏腹に、企業の内部留保は463兆円と増え続けています。そして、法人税の基本税率も消費税導入前の1988年度には42%でしたが、現在は半減に近い23・2%と低くなっています。1989年の消費税導入以降、現在まで消費税による税収額は397兆円ですが、法人税は298兆円、所得税は275兆円減額されています。消費税が富裕層と大企業の減税の穴埋めに使われているとの指摘もその通りだと言えます。
加えて、大手輸出企業は、「輸出免税制度」で優遇されています。輸出企業は輸出先の海外で消費税を徴収できないので、国内の仕入れ時に支払った税額分が「利息」付きで戻されています。2017年度の還付金額は約4兆1千億円で消費税収の約2割の金額となっています。今後、税率が10%となりますと、還付金もさらに増えることになります。
中小企業は複数税率に対応する負担が強いられている一方で、大手輸出企業は還付金が増えるというのもおかしな話です。このような点も見直すべきです。
そもそも消費税増税は、社会保障のためと言いながら、安倍政権の6年間で、生活保護、医療、介護、年金などの社会保障費は3.9兆円カットされています。一方で、軍事費は過去最高の5兆3千億円と膨れ上がり、F35戦闘機の爆買い、イージスアショアの配備などアメリカからの兵器購入などに多額の税金が使われています。
税金は、とるべきところからとる、そして、その使途を見直せば消費増税は必要ありません。今回の増税は、民主党も合意した増税と言われる方もいらっしゃいますが、安倍政権はその合意の前提であった身を切る改革をやっていません。身を切るどころか、国会議員の定数を増やしています。そして、低所得者対策ではなく富裕層にもばらまくことになる複数税率導入など、その前提条件が完全に変わっています。したがって、今回の増税はやめるべきです。
議員各位におかれましては、消費者の生活を圧迫し経済を混乱させることになる消費増税の凍結について、なにとぞご賛同いただきますようお願い申し上げ、提出者の説明を終わります。