昨日、県議会立憲民主連合から提案した「健康保険証を存続を求める意見書」の提出者説明の原稿です
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立憲民主連合の鎌田聡です。
議員提出議案第3号「健康保険証の存続を求める意見書」の提出者説明を行います。
先の通常国会で、来年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナカードに一本化する関連法が成立しました。
政府は、行政のデジタル化を進めるため、マイナカードの普及を図っており、保険証の機能を持たせるのもその一環です。しかし、マイナカードをめぐるトラブルは後を絶ちません。
・同姓同名の別人にマイナカードを交付
・別人の障害者手帳情報をひも付け
・年金情報を他人が閲覧
・公金受取口座に他人の口座を登録
・公金受取口座に家族名義口座を登録
・別人にマイナポイント付与
・コンビニで別人の住民票の写しを発行
などなど、たぶんこれ以外にもあったと思いますが、列挙するだけでかなりの時間を要しますので、もうやめときますが、まさに底なしの状況です。
共同通信の世論調査では、72%の皆さんがマイナカードに保険証をひも付けして現行の保険証を廃止することについて延期・撤回すべきと回答されています。こんなトラブルが多いマイナカードに、命と健康を守るために最も重要で不可欠なものである健康保険証をひも付けることに不安を覚えることは当然のことだと思います。
そこで、健康保険証を巡ってのトラブルを申し上げます。
マイナ保険証に別人の医療情報がひもづけられたり、システム不具合によって医療機関で本人の加入資格が確認できない事態が多発しています。全国保険医団体連合会(保団連)の集計によりますと加入資格が確認できず、患者が窓口で10割請求されたケースは1291件発生しています。
岸田首相は、国会で「加入資格を確認できなくても生年月日で個人情報を確認できれば医療費を10割請求せずに済むようマニュアルを改定(6月2日付)した」と答弁されていますが、医療関係者からは不安の声が出されています。
加入資格を確認できずに3割を支払った患者が、後で無保険者だったと分かった場合、残りの7割分を誰が払うのか、どのような手続きが必要なのかなど、資格確認を行えない場合の取り扱いについて、『医療関係者と調整している』と厚労省は言っていますが、医療機関からは未収金のリスクを医療機関が負わせられるのではないか、と懸念の声が出されています。
10割負担問題だけでなく、誤った登録による誤診療、誤投薬が行われたり、他人から自分の医療情報が見えてしまうということが起こりかねません。医療に関する手違いは国民の健康や生命に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
そして、介護の現場も大変になります。介護施設の入所者・利用者はマイナ保険証はほとんど持っていないと聞いています。なぜかというと本人の意思確認ができないのが、その大きな理由のようです。現在、介護施設では、約8割の利用者・入所者の健康保険証を管理していますが、健康保険証がなくなってしまえば、施設は、マイナ保険証と暗証番号を預かることになりますが、94%の施設がとても管理できない、と言われています。それではどうするのか、その対策は施設任せになっています。施設からは、時間も手間もかかる割には介護報酬の対象にもなっていないので、たまったもんじゃないと悲鳴が上がっています。
そして、自治体職員の負担について申し上げます。
マイナカードを持たない人には健康保険組合などが「資格確認書」を発行することになりますが、その確認書を取得するためには本人の申請が必要です。1年ごとに更新しなければなりません。これまで健康保険証は、申請せずに送られてきていましたので、相当な手間であり、申請忘れも多く出てくるのでは、と懸念されます。
ウッカリして更新を忘れると、「資格確認書」が発行されるまでの間、無保険状態になってしまいます。いちいち申請・更新を迫られるのも面倒ですが、申請を受け付ける自治体は大変な作業を強いられます。行政の手間を省くことがデジタル化の目的の一つであるはずなのに、逆に手間を増やしかねない事態になれば、本末転倒だと言わざるを得ません。
そもそも政府は昨年6月の段階では、現行の保険証とマイナ保険証の「選択制」を打ち出していました。希望すればカードだけで受診を可能とする構想でした。しかし、河野デジタル大臣が昨年10月に、マイナカードを全国民に作らせたいがためか、唐突に来年秋の保険証廃止を表明しました。
その河野大臣の唐突な方針変更によって、患者も医療機関も自治体職員も介護の現場も大変な不安や負担を抱えることになりました。
これまで何の問題もなく運用してきた健康保険証を廃止して、問題が懸念されるマイナ保険証になぜ、切り替えていかなければならないのでしょうか。
政府は、マイナンバー制度のトラブルが相次ぐため、関係省庁による「総点検本部」を立ち上げ、行政サイト「マイナポータル」で閲覧できる全データを点検し、秋までに総点検を終える方針を示しています。対象となる機関は約3600に及ぶと言われています。これまた唐突な総点検によって対象となる3600の機関の職員の皆さんは大変な作業に追われることになりますし、またぞろ点検漏れなどが起こり、誤登録が見過ごされる可能性さえ、あります。
マイナ保険証をめぐっては、これだけトラブルが明らかになり、国民、県民の不安が高まっているわけですので、ここは一度しっかりと立ち止まって、性急に現在の保険証を廃止するのではなく、当初方針どうりにマイナカードとの選択制にするか、もしくは併用制として健康保険証は存続させるべきだという声をこの県議会から上げていこうではありませんか。
議員各位におかれましては、多くの県民の思いを集約したこの意見書にご賛同いただきますようお願い申し上げ、提出者の説明を終わります。
↓昨日の街頭演説