むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説㉝

2019-05-09 12:31:14 | 小説

 前回までのあらすじ。地球外の小惑星となった昭和二〇年三月の阿嘉島と伊江島。悪魔と一体化した場合に、超IQ状態になりますけど現在でもそうなるかは不明。

 

   阿嘉島の戦い 

 三月二四日。

 上陸海岸そばの高台に観戦席を造った。手前と奥の二か所だ。

 桜花に入っていた長さ一mほどの水道管を両翼へ、一m間隔で立たせることにした。

牛島 陸軍で放電フック弾(命中時にばねで高電圧コイルから放電)を開発したんだが。

M 放電じゃ命中が不正確でも死ぬから、顔が特定できなくなる。

林 そういう科学的な兵器は米国の死に神が成長するんじゃ。

牛島 そうだな。

 

 三月二五日朝。

 袋頭巾の見張り係二名が特攻機を放棄してパラシュートで来ている。

南雲 カデナより。今日はフランスからのナチス囚人兵。毎日一〇〇〇人だから。上はスペイン人。

M 南雲の声がわかるか。レセプト用紙を持ってきているな。一二七人を一四回だ。

 捕虜のポイントが、H.スミスと黒犬の空きだけだ。通訳がMP腕章を持ってきた。逆にしてつけろ。

南雲 開始時間まで穴の掃除をしていて。

 午前八時。戦車四〇台とナチス囚人兵一〇〇〇人が上陸。女たちが島唄を歌い始めた。

「そいやっさー、そいやっさーっ、そいやっさー」

M 機銃陣地が墓に見える。

 林とヘンリー少佐の三人で、手前の観戦席に行く。牛島がハンマーで水道管をまだらにへこませている。

米囚人パイロット 指揮官暗殺部隊が来ているぜ(阿嘉島そばの小島にある米軍飛行場で)。わざわざ姿を見せるなよ。

 戦車が全部被弾。

 竹田が「後ろに人がいる戦車は、機銃が使える」と言いながらもういちど被弾させた。竹田の二度撃ち。

 奥の観戦席に移動。機銃陣地の二〇mほど前に放電フック弾命中死体が点在。命中すると踊りながら倒れるらしい。

 ギリシャ人の小僧がときどき自動小銃を撃って、死んだふりがいないか確認している。

 四人でレセプト陣地に移動。

 小島から上陸艇でやってきたナチス囚人兵五人がNO RIGHT一二七人と合流する。

 ナチス囚人兵五人が片づいた。

 一二七人を袋頭巾にする。これから一番のファイルを読み解く。

四七四三の悪魔 シミュレーターの入力方法をやるわよ。

 スプールアンスが捕虜の見張り係に、腕章が逆だと注意する。H.スミスと黒犬が空きになった。

林 ヘンリー少佐のポイントがないです。

M 包帯を首に巻け。黒犬だ。

 アーニーパイルが撮影している。

 ヘンリー少佐が死体の頭側に立つ。

 ニミッツが小切手に金額を書いて、死体の口に入れる。

 スプールアンスが死体の上に置かれている絵はがきを拾い上げた。

 おれが死体の首を少し切る。五三三六人だ。

 林が血で死体の額に数字を書いてから、おれが死体の首に包帯を巻く。

M 放電フック弾を使ったな。

牛島 最新兵器の実験が先だ。

M 林君。空を飛ばそう。

 林と二人で死体を持ち上げて約五〇m先のトラックまで運ぶ。

北条政子 すでに、茶室におるわ。

四六三四のSS データロットを要約します。ファイル名。闘牛士。

 福生米軍基地のパソコンにトラックバック。

担当SS 大きなリターンを求めて、窓口に殺到する人々を彼が次々と撃つんです。

ナチス将校 死体は始末しないで窓をあけておけ。

五三三六 ナチスが進駐してきたときにおれもスペインからやってきた。おれはバルセロナの証券会社で働いていたっ。期末に金が足りないとき、ドイツ式会計を使うためにここへきたんだ。おれの仕ごとは人間が持っている株を下げて、悪魔が持っている株を上げることだっ。

スペイン銀行広報 ご自身の著作ではありませんから、表記の金額は関係ありません。

五三三六 聞こえたな。

五三三六 投資セミナーを毎日開催する。損金プールが増大すると株価はどうなるんだ。損金希望者が殺到したらどうなる。国が命を保証しなかったらどうなるか。

五三三六 電話がある家を先に始末する。電話がつながらないんだろ。指し値注文はあとまわしだ。

五三三六 ピストルを持ってるいな。射撃はおれの方が早い。参加者が多くなるまでの勝負だ。危険に見合う報酬なんてない。

五三三六 人殺し会社、幽霊会社、人間会社を区別しないことが証券会社の仕ごとだ(ヨーロッパ式のぶん類らしい)。なにも知らないやつが働いた気分になる。

五三三六 おれの食料と聖書はあるな。学費を、捻出できる商品のメモを書いてやる。人間会社にえさをやるとだ。

五三三六 ピストルの弾箱を受けとったあとに三〇人くらい続けて始末する。売り注文が殺倒しているんだ。誰か手伝ってくれ。

撃たれる人 もうすぐ連合軍がやってきて。

 スペイン軍なら目の前にいる。おれは祖国のためにやっているっ。

五三三六 路地で立ち話をしていると自動小銃のナチス機動隊がやってきて家へ帰るように言う。未来に投資するのは愚か者だ。

五三三六 路地が入り組んだ町の窓をひとつずつあける。水彩画のようだ。逆リスク(好業績銘柄で利ざや)が確定したらいつか二倍になる。生きていたらだ。

五三三六 町の外れが近づくと、機動隊が総出で手伝う。新規公開銘柄だ。日没までに二〇〇人は始末する。おれが撃たないと、意味がないだろ。

五三三六 お金のない人殺し会社は持っているだけで損切り手数料がかかる。

 終点。

南雲 捕虜のカウントを省略。

 ギリシャ人の小僧が黒犬を連れてやってくる。死体の頭蓋をなたで裂いて、黒犬に脳みそを食わせるっ。

紫式部 アたしがたべますウ。

 移送距離の関係でしょう油にできないそうだ。

M 猿の血だ。

紫式部 アタしがタべまシたア。

南雲 カデナより。作戦コード、ミラーボール。山の頂上にガラス玉を置くから。

米囚人パイロット ナパーム弾で焼くからな。

 山頂がナパーム弾で焼けている。特攻隊員がガラス玉と木の枠を持って特攻艇でやってきた。

 頂上に台座を固定する。

 ニミッツとスプールアンスが上がってきた。

 小銃使いも囚人トーチカも上がってくる。

 島唄の女たちが歌いながら上がってきた。

「そいやっさー、えいやっさー」島唄に合わせてガラス玉のまわりを踊りながら進む。右手と右足を同時に上げる。左手と左足。手をもう少し高く。照明弾を流れ星みたいに打ち上げる。

林 上空に巨大クラブがあるんですね。

五三三六 戦果をわからないようにして、おれを証券化しろ。

M 顔が特定できない。スーツを着た米国疫病神の男みたいだ。

牛島 やっぱり普通のフック弾にしよう。

 ナチス囚人兵の死体が戦車揚陸宇宙船に積まれた。船から黒い煙が出て沈んでいく。
 

     つづく