むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 「透明人間」

2019-05-27 13:26:57 | 小説


 おれは朝起きると透明人間になった。おれは銀行強盗と強姦以外でやることを考えたっ。腕に小麦粉をつけると、小麦粉が腕の形になる。このままじゃ買い物に不便だ。おれは服を着て手と、顔と首に小麦粉をつけて、帽子をかぶって近所の日用品店に、化粧品と黒サングラスを買いに行く。鏡で顔を見ると目の部ぶんに、帽子の裏地が見えたけど、目の錯覚でごまかせる。おれは小麦粉を落とさないように注意しながら外へ出て日用品店へ向かう。おれは昨晩透明人間になる薬が出てくる小説を書いていた。不老不死の研究をする研究所で、擬態昆虫を使った薬で透明人間になった話だ。研究所の運営が行き詰まっていたからおれは透明人間に銀行強盗をやらせて、資産家の女性を強姦させる。問題はそのあとに見た夢だ。夢におれの先祖が出てきて「僕がこの薬を飲めば本当に、透明人間になるよ」と言う。そして朝起きると手足が見えなくなっていた。不老不死は他人よりも時間の進行を遅くすることが主題だ。深海魚を捕獲したり、高地に生息する動物の糞を採取したりしてばく大な費用がかかる。研究所のまわりに、「そういう研究ならもっと少ない予算でできます」と言わんばかりに類似した研究所が建ち並んで、出資者が近づかなくなった。おれは古代魚の、目の細胞に時間を、遅らせる効果があることをつきとめて、古代魚の購入資金を集めようとする。しかし誰も信用してくれない。おれは飲んだくれる。そしてやけくそでつくった薬を試したら透明人間になった。つまり古代魚の話が本当だろう。おれは小説で書いただけの透明人間になる薬を、本当に開発して、成功したことにしようと思った。おれは日用品店を中止にして近所の、大学の化学教授に会う。化学教授は「朝起きてたまたまそうなったことをうちの大学で共同研究してそういう薬が完成したことにするわけだね」と言ってすぐ承諾してくれた。とりあえず一〇億円借りよう。古代魚は一億円あれば買えるはずだ。化学教授と二人で、銀行の融資窓口に行くと、銀行の融資担当者は帽子を、とったおれの顔をまざまざとながめて、「透明人間になる薬の、開発に成功して不老不死の薬を、開発する資金を必要としてるのですか」と言う。無事に、一〇億円手に入った。化学教授にわけ前を少しやる。しかし古代魚を購入して、薬をつくったが効果は、なかった。食事をとると少しずつもとに戻ってゆく。

  おわり