ヤマモモを見つけ、どうしても食べたくなったと、子どもが求め帰宅した。丸くて赤いヤマモモはいつ見ても可愛い。
今年の春先に他界した兄は、そう何にでも興味を示す人ではなかったが、友人の庭で採取したヤマモモをよく持って来てくれた。ヤマモモ酒やヤマモモジュースにすると美味しいよとにこやかに話しては、いっぱいのヤマモモを置いていった。
兄の老化は、笑顔が消えた頃から早くなっていた。どうして笑顔が無くなったか、もっと心配してあげていたらと、忙しさにまぎれていたことが悔やまれる。
きっとこれからもヤマモモの季節になると兄の笑顔を思い出すことだろう。