ひとりの昼食は、朝の残りのお味噌汁に落とし卵の日が多い。お味噌汁に落とし卵をするのは、小さい頃からの憧れの食事だった。
母は南九州の独特の男尊の気風が残っている人で、洗濯桶も物干し竿も干す所も別にしていた。お風呂も男子全員が済まないと、女子は夜遅くなっても入れなかった。
毎朝のお味噌汁に落とし卵は男子だけで姉や私には無く、いつしかそれが当たり前のことで、美徳と思ったことさえあった。大人になったら、お味噌汁に落とし卵が食べられる家庭を作ることが、姉妹のささやかな夢だった。
今でも姉も覚えていて、姉の家に泊まった朝は、お味噌汁に落とし卵がちゃんと入れてあり、とても嬉しい。母も寝就いた時に、時代の風習と悔いている様子だったと、落とし卵の思い出話が食後暫く続く。
その反動からか、朝食のお味噌汁に落とし卵ばかり提供していたら、卵の入ってないお味噌汁に家族は憧れているのが最近分かった。 (>_<)