(2005/荻上直子:監督・脚本/小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミ、タリア・マルクス、マルック・ペルトラ/102分)
レンタルした途端に忙しくなって、今回は1回限りの鑑賞。久しぶりの邦画です。とはいっても、舞台は北欧フィンランド。
30代の日本女性が、ヘルシンキに食堂を開店。旅行者の日本人女性と知り合いになったり、店を手伝ってもらったり、又、店に訪れるフィンランド人たちと徐々に親しくなっていく様子などが、淡々と描かれています。
ご贔屓ブログで結構評価が高かったので期待していたのですが、期待が高かった分、不満な部分も目立ってしまいました。
ドラマチックな展開もなく、アップショットや激しい切り返しなどもなく、演技は自然体、全体として誇張のない演出に監督の狙いはよ~く分かるのですが、その中に所々ユーモアを狙った映像(ミドリとサチエの初対面のシーンで挿入された、アラスカやタヒチに居るミドリの空想ショットなど)が入ったりして、トータルの味わいが淡くなってしまった感がありました。
マサコに関するエピソードも中途半端な扱いに感じましたね。
全身ショットやミドルショットで登場人物を捉えた画には、先日見た「ウィスキー」を思い出しました。決定的に違うのは、アレの主人公が寡黙なのに比べて、コチラの登場人物は普通にお喋りすること。「ウィスキー」の沈黙のショットには、登場人物の内面に関して見る側の想像力をかき立てる力があったのですが、コチラは会話の普通ぶりが登場人物の内面へのアプローチを妨げているようで、逆に物足りません。接客のシーンとか、固定カメラでジッと写していたりするんですが、ああいうシーンは無言でもとり立てて内面へのアプローチをしているわけではないしね。
主人公のサチエ(小林)にしても、店を手伝うミドリ(片桐)にしても、人生の訳有りぶりはなんとなく感じられるのに、クロースアップのない画は、人物描写が物足りない印象を残します。食材や料理のアップは結構あったけど・・。
映画のために書き下ろしたという群ようこさんの原作を事前に読んでおれば、もう少し楽しめたのかも知れませんな。
マサコを演じたもたいまさこは、この作品で2006年日本アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされたそうです。私には、謎が多すぎる人物で、いまいち現実味が感じられなかったのですがねぇ。
小林聡美ちゃんは昔っからお気に入りの女優で、すっとぼけた味は昔と変わらないけれど、ミセスになってお色気も感じられるようになったし、今作品では、ふとした表情に“美しい”と感じることもありました。これからますますイイ女になっていきそうですな。
オープニングのナレーションは、誰に向かって話しているのか分からなくて、なんとなく本を読んでいるような感じでつまらなかったですけど。
フィンランド観光協会がバックアップしているようで、風景は美しいです。なにせ、全編現地ロケですから。カメラはトゥオモ・ヴィルタネンという人。勿論、フィンランド人でしょうね。
おっと、書き忘れるところでした。エンドクレジットに懐かしい歌が流れました。『♪クレージーラブ』by井上陽水。そして、その直前のラスト・シーンからクレジットに切り変わるタイミングもgoodでした。♪
でも・・・、何故に陽水・・・?
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30代の日本女性が、ヘルシンキに食堂を開店。旅行者の日本人女性と知り合いになったり、店を手伝ってもらったり、又、店に訪れるフィンランド人たちと徐々に親しくなっていく様子などが、淡々と描かれています。
ご贔屓ブログで結構評価が高かったので期待していたのですが、期待が高かった分、不満な部分も目立ってしまいました。
ドラマチックな展開もなく、アップショットや激しい切り返しなどもなく、演技は自然体、全体として誇張のない演出に監督の狙いはよ~く分かるのですが、その中に所々ユーモアを狙った映像(ミドリとサチエの初対面のシーンで挿入された、アラスカやタヒチに居るミドリの空想ショットなど)が入ったりして、トータルの味わいが淡くなってしまった感がありました。
マサコに関するエピソードも中途半端な扱いに感じましたね。
全身ショットやミドルショットで登場人物を捉えた画には、先日見た「ウィスキー」を思い出しました。決定的に違うのは、アレの主人公が寡黙なのに比べて、コチラの登場人物は普通にお喋りすること。「ウィスキー」の沈黙のショットには、登場人物の内面に関して見る側の想像力をかき立てる力があったのですが、コチラは会話の普通ぶりが登場人物の内面へのアプローチを妨げているようで、逆に物足りません。接客のシーンとか、固定カメラでジッと写していたりするんですが、ああいうシーンは無言でもとり立てて内面へのアプローチをしているわけではないしね。
主人公のサチエ(小林)にしても、店を手伝うミドリ(片桐)にしても、人生の訳有りぶりはなんとなく感じられるのに、クロースアップのない画は、人物描写が物足りない印象を残します。食材や料理のアップは結構あったけど・・。
映画のために書き下ろしたという群ようこさんの原作を事前に読んでおれば、もう少し楽しめたのかも知れませんな。
マサコを演じたもたいまさこは、この作品で2006年日本アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされたそうです。私には、謎が多すぎる人物で、いまいち現実味が感じられなかったのですがねぇ。
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オープニングのナレーションは、誰に向かって話しているのか分からなくて、なんとなく本を読んでいるような感じでつまらなかったですけど。
フィンランド観光協会がバックアップしているようで、風景は美しいです。なにせ、全編現地ロケですから。カメラはトゥオモ・ヴィルタネンという人。勿論、フィンランド人でしょうね。
おっと、書き忘れるところでした。エンドクレジットに懐かしい歌が流れました。『♪クレージーラブ』by井上陽水。そして、その直前のラスト・シーンからクレジットに切り変わるタイミングもgoodでした。♪
でも・・・、何故に陽水・・・?
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・お薦め度【★★★=小林聡美ファンなら、一度は見ましょう】 
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あの、その、去年の5月に書いたヤツ・・・ですけども、
・・・・ここに置いておきますから~・・
・・・・んでも、ワ・ダ・スは
ステキな作品と思いまっす~~!!
すんご~~く、思いまぁあああああすっ!!
五寸釘のエピソードも、ホントはヤメテ欲しいんだけど、ああいうゆるい雰囲気が好きな方がおられるのも知っておりますので、書きませなんだ。
さて、そろそろ姐さん宿題の「トーク・ツゥ・ハー」みるかなぁ。
しかし、それ自体は事実と言って良いと思いますです。というのも、この作品には小津の子供と言って良いアキ・カウリスマキのムードや、ジム・ジャームシュのとぼけたユーモアの呼吸を明らかに取り込んでいますから。
二人とも固定カメラを基本としているのは小津と同じですが、小津よりはロング(セミロング、フルショット)中心でもっと醒めています。
孫になれば大分変わるということもありまして・・・。^^;
ただ、小津のセミクロースは固定の切り替えしですから、「ウィスキー」同様内面に迫ると言っても観照的な色彩が強いので、その意味では本作とそう離れたものではないのでは? 寧ろ「ウィスキー」はちりばめた謎により内面に迫ろうとしすぎて感心できないところもあったのですが。
好みの問題という気がします。
で、「ウィスキー」やアンゲロブロスなんかは、いわば“ゆる重”なリズムで、「かもめ」は“ゆる軽”とでも言いましょうか。そんな風に感じています。
>好みの問題という気がします。
ま、そう言うことでしょうか。
因みに、“鈍重”とか“軽薄”とかの表現をしたくなる映画もありますネ。
それと、カウリスマキやジャームシュは未だに見ていないので、コメント出来ません。
>誇張のない演出は良いが、ユーモアを狙った映像が入って、トータルの味わいが淡くなった。マサコのエピソードも中途半端。
おっしゃられること、すっごく良く解ります!
私が初見で受けた印象も、そういった感じでしたから。
確かにこれ「ゆる軽」ですよね。
でまあ、な~んか物足りない。どこか物足りない気がしちゃう。
でもきっと、監督の狙いは物足りないくらいの人間描写なんだろうなっていうのが最終的な私の感想です。
粘着質な友情にしないで、逢うは別れの始めなり、ちょっとだけ寂しいけど、それも人生。といった潔さを持った淡い関係。
小津が描く女同士の友情も、やっぱり似たような感じではないでしょうかね。メインテーマにはしてないですが。
「はにかみ」やら「遠慮」やら、奥ゆかしい関係をサラリと描いている。なにせ、外国で行きずりに知り合った日本人同士ですしね。
登場人物同士でさえ、互いの内面に上手くアプローチできない。そういったニュアンス表現が、返って面白くもありました。
で、ご指摘の通り、ストンと画面が暗転、アンドレカンドレの歌声が流れてきて、爽やか~な鑑賞観が残りました(笑)
TB持参しております。最初の評価を撤回しておりますが、ご笑覧くださいませ(汗)
実は、最初は★二つかなと思って見ていたら、締めくくりが良かったのと、思い返すに、美しい映像だったし、捨てがたい味もあるので『一度は見ましょう』に落ち着きました。^^)
フィンランドといえば、連想するのはラップ人とノキアとリナックスなんですが、この映画で街並みや自然の美しさをみせてもらって、新たなイメージが付いたのも収穫でした。
ちょうど自分もUPしましたので、TBさせていただきました。
おっしゃるように、アラスカやタヒチのシーンなど、いらないシーンもありますが、カウリスマキ好きにはど真ん中ストライクな映画でした。
なんといっても、“過去のない男”マルック・ペルトラの出演、しかも役名が、今は亡きカウリスマキ組の看板俳優マッティ・ペロンパーのマッティ。
これだけで、もう涙なしでは観れません。
>今は亡きマッティ・ペロンパーに捧げます。
micchiiさんが記事をアップされた時には分からなかったんですが、お馴染み俳優さんのお名前だったんですねぇ。
先日「過去のない男」はBSで放送されましたが、録画し忘れました。^^;
「浮き雲」と共に、是非とも見たい映画になりました。