::: テアトル十瑠 :::

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

『映画の学校』

2007-06-06 | 『独り言』
 仕事が忙しかったり、体調不良があったりと、映画がなかなか見れずに、鑑賞記事も半月以上ご無沙汰してます。実際は70年代の作品と30年代の作品を一本ずつ見たんですが、片方は2回に分けて一度しか見てなくて記事にする気持ちが起きず、片方は半分しか見れてません。
 ということで、今回は映画の本の話。

 我が家にある映画の紹介本は6冊。
 随分前にブックオフで買った文庫本が3冊と、一昨年にアマゾンで買った双葉さんの「外国映画ぼくの500本」と「日本映画ぼくの300本」。
 文庫本は、田山力也さんと山根祥敬さんが書かれた講談社文庫「決定版 名作外国映画コレクション1001」。そして、同じく田山さんの書かれた、「アメリカン・ニューシネマ名作全史」と「現代アメリカ映画の監督たち」。田山ファンではないんですが、たまたま古本屋に行ったら見つけたので買った次第。田山さんというと、フランス映画が専門と思ってましたので、アメリカ映画の話が意外だったので買ったのかも知れません。あまり、読んでないですがね。
 「名作外国映画コレクション1001」は、その膨大な数のために簡単な紹介文しか出ていませんが、所々ストーリーの間違いも目にしましたネ。

 ン? 6冊なのに、まだ5冊しか紹介してない?
 そうですね。あと一つありました。それは・・・「映画の学校」です。
 著者は双葉十三郎さん。実は、一昨年双葉さんの本を買ったのは、この「映画の学校」が行方不明になったからだったのですが、その後見つかりまして、以後時々読みなおしたりしてます。

 発行は1973年。50年代、60年代の作品と共に、ジョン・スタージェス(6作)やヒッチコック(12作)の特集もあり、この本で紹介された一番新しい映画は「フレンジー」でしょう。双葉さんのヒッチコック好きは有名ですが、特に「疑惑の影」については、カットの流れを図で示しながら説明される程の熱の入れようで、一つ一つのショットに双葉さんと同じ印象を受けることは無いにしても、“映画の見方”については実に勉強になる本でした。

 高校生の頃に読んでいた「SCREEN」と「映画の学校」が私の映画の先生ですね。

 あんまり、オタクっぽくないですか?

 それでは・・・・

 上記以外に一冊だけ、オタクっぽいのもあるんですわ。

 「映画とは何か」。

 映画オタクならご存じでしょうが、ヌーベル・ヴァーグの母体をなした“カイエ・デ・シネマ”誌を創刊したアンドレ・バザンの論文ですね。原本は4巻から成っているらしいのですが、私が持っているのは第3巻で、副題として“その社会学的考察”となっているものです。30年以上前に、神保町の古本屋で買いました。
 A5版の大きさで、240頁程の厚さ。入れ物の薄い箱があるので、中の紙はあんまり黄ばんでいません。美術出版社 ¥680。表表紙は「禁じられた遊び」のミシェルとポーレットがお墓を作っているシーン、裏表紙は「シェーン」の広大な荒野をバックにお葬式が行われているシーンの写真となっています。

 フランスの本とはいいながら、チャップリンや西部劇も紹介されているのですが、実はこれがなかなか読むのが難しい。
 ナニが難しいかというと、バザンの言い回し。一つ一つのセンテンスが長くて、読んでいる内に最初の方を忘れてしまうくらいで、しかも訳者は正確を期しておられるのでしょうが、表現が堅くて私のボンクラ頭にはなかなかスーッと入ってこない代物なんです。知っている映画の部分の拾い読みしかしてなくて、全体の2~3割くらいしか読んでないでしょうね。
 30年の間に数回しか読む努力をした事が無く、かといって捨てる気にもならず今までとっておきました。ブログで映画のことを書き始めてから、しばらくぶりに開く機会が増えてきましたが、相変わらず頭に入ってきません。
 “その社会学的考察”という副題からも分かるように、基本的に映画の見方を書いたものではありません。チャップリンの創作の裏話などは面白かったです。

 さて、皆さんの映画の学校は何ですか?
コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アチラでは人気者 【Portrai... | トップ | 情婦 »
最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観たい作品チョイスの・・・ (viva jiji)
2007-06-07 18:21:50
とっかかりとして今は読みますが若い時のように「この人の評は絶対読む」というような映画本は少なくなりましたわ。
あくまでも映画ガイド的な評はプロフェッサーがやってくれてるし(^^)、私はやはり「映画対その人」がにじみ出ている論評が楽しい。
そして一番気にするのはその映画に興味を持たせる書き方か否かですね~。
その点は確かに作家さんのものはさすがに巧い。
ハードボイルド作家、原僚(字があやふや)の「ミステリーオーソ」の「第三の男」ハリーライム評なんてヨダレもの。
ヒッチさんはトリフォーとの対談「ヒッチブック」が定番ですけど大好き植甚さんの「ヒッチコック万歳!」も味わいがあるわよ~。
田山さんの本、偶然ですわね~先日ブックオフで「映画事典」百円也で買いました。^^
あと川本三郎さん、池波の正ちゃん、沢木耕太郎・・・淀ジーちゃんの「映画館が学校だった」という本もあるよね。(^^)
返信する
双葉さんの名前が出てたので・・・ (mayumi)
2007-06-07 19:35:34
こんにちは。
私は双葉十三郎氏は大好きで、「ぼくの採点表」も2冊ほど持っています。膨大な量の映画を観ていらして、生き字引のような方ですよね。双葉氏の「ぼくの500本」シリーズでミュージカル版が出るとの噂もありますので、これも非常に楽しみです。
映画の評論本と少し違いますが、塩野七生さんの「人びとのかたち」という本も俳優や映画に対する思い入れが書かれてる本で、結構面白かったです。作家さんは見るところが違うわ~と感心しました。
返信する
viva jijiさん (十瑠)
2007-06-07 22:49:24
おーっ、色々出ましたね。

>映画ガイド的な評はプロフェッサーがやってくれてるし・・・

オカピーさんのは「ネタバレあり」ですから、本当は未見者のガイドにはならないんですよね。(笑)
私には、ガイド的というより、何が面白かったか、何処がつまらなかったかを自分の言葉で語られているので非常に参考になります。

作家さんの映画に関するモノは、雑誌なんかで読むことがありますが、オカピーさん風に言うと“文学的な興味”からどうしても抜けきらない(まさに編集者からはそこを要求されているのでしょうが)ものが多いので、映画評としてはあまり参考にしません。
映画評としてではなく全くの別物、エッセイの様なものとして読むことはありましたが、最近は全く読まなくなりましたねぇ。

図書館に行っても、映画本を借りようとしないのは、最近は皆さんのブログの方が面白いからかも・・・。
返信する
いらっしゃいませ、mayumiさん (十瑠)
2007-06-07 23:07:04
「ぼくの採点表」をお持ちですか。それは羨ましい。
一昨年くらいに、図書館で5、6冊続けて借りて読んだことがありましたが、いつでも読めるってのは、いいなぁ♪

>塩野七生さんの「人びとのかたち」という本も俳優や映画に対する思い入れが書かれてる本

映画の嫌いな作家は居ないでしょうから、一人に一冊は出来ちゃうんでしょうねぇ。
「人びとのかたち」、気を付けておきます。
返信する
魔法のランプ (オカピー)
2007-06-12 01:56:37
あれっ、こんな記事がありましたか。全然気付きませんでした。^^;

「映画の学校」は私も大昔に買いましたが、興味深いのが日本映画月評です。とにかく遠慮なく切りまくっていて、双葉さんの実力が一番発揮されているのはこれではないかと思うくらいですね。
今では殆ど観られない作品が多いのですが、だからばんばん読める。皆さんが絶賛するイデオロギー映画を腰巻映画と酷評し(そのせいで映画評を担当していた新聞社から干されたらしい)、氏自身が高く評価している黒澤も小津も凡人の如く扱う。それは映画の観方に絶対的バランスがあるから。今(多分当時も)こんな映画評はどこにもないですし、非常に勉強になります。ブログを始めてから再びこれを精読中。

そう、作家の方々は(当然ですが)映画的側面については余り言及しないんですよね。大概の方は内容についての深くて鋭い考察なんです。良くも悪くも映画評とは言えないものが多いですね。

ついでに私について。
viva jiii姐さんが「ガイド的」と言ったのは、多分私が自称しているからです。^^;
十瑠さんも「未見者のガイドにならない」とつい本当のことを言っていますが、後のフォローが完璧でした(笑)。
一応星を付けていますので、そんなことを言わず是非参考にしてください(あっ、参考にされているとおっしゃっていますね、失礼しました)。

ご清聴、有難うございました。(__)
返信する
日本映画月評 (十瑠)
2007-06-12 16:02:30
その部分だけ文字が小さくなっていまして読みづらく、放置しておりましたが、そんなに面白いんなら読まねば! 情報ありがとうございます♪

ところで、コメントタイトルの「魔法のランプ」とは?
返信する
ええと (オカピー)
2007-06-14 03:06:59
>魔法のランプ
全く意味がありません。
何だか呼ばれているような、即ち、アラジンに呼ばれるランプの精のような心境という意味を滲ませたのですが、その説明すらもしないで終ったのでした。
紛らわしくてすんません。^^;

双葉さんがお好きというmayumiさんともお友達になりたいです。^^)/~
NHK-BS2で映画の紹介をしているアナ氏も双葉さんを尊敬していると仰っていたので、嬉しく思いましたよ。
返信する
バザンばんざい(苦笑) (豆酢)
2007-06-15 17:08:43
私も昔、バザンの「映画とは何か」を読みましたが、読んだだけで頭に入っていません(笑)。確かに、内容を把握するのに時間がかかりますよね。読み返す気力があるかはちょっと微妙…。

双葉さんの著作では、「愛をめぐる洋画ぼくの500本」と「外国映画 ハラハラドキドキぼくの500本」を持っています。とにかくこれが面白くて。
シンプルでわかりやすい言い回し、作品の重要なポイントがどこにあるかを鋭く突く目線。これは天地がひっくり返っても真似できることじゃありません(笑)。ひたすら尊敬するばかりですわ。
返信する
双葉さんは双葉より芳し (十瑠)
2007-06-15 20:12:50
か、どうかは知りませんが、どの本を読んでも面白そうですね。
「ハラハラドキドキ・・・」は市民図書館で少し前に借りて読みました。「愛をめぐる・・・」なんてのもあるとは知りませんでした。
さすが、女性は“愛”に敏感なんですね。^^
返信する
コメントのメンバーすっげえ (トム(Tom5k))
2009-02-04 01:51:37
十瑠さん、おじゃましまあす。
しかし、凄いひとたちがコメントしておりますですねえ。いやあ、ごっついですわ。
双葉先生は、わたしもスクリーン派でしたので、鑑賞の手引きにしてました。わたしは、双葉先生の評に影響を受けないようにがんばっていたかな。説得力がありすぎて自分の見方ができなくなっちゃう怖さがあったんですよ。
でも、今は逆に素直にオカピー評を参考にしてますけど(笑)。
アンドレ・バザンは、ヌーヴェル・ヴァーグだけあって、ちんぷんかんぷんのところはあるんでしょうね。良くも悪くも極端なのもわかりにくい要素なんでしょうね。
わたしは目下、ブレッソンの「シネマトグラフ覚書」を購入したいと思ってるんですよ。
これシュエットさんも用心棒さん(十瑠さんは用心棒さんご存知ですか?)も絶賛してますんで。
わたしは基本的にはドロンの関連がありそうなものばっかりなんで、やはり彼の映画の監督や共演者の書いた自伝が中心になります。
そういう観点で読むと、また新しいドロンが見えてくるんですよね。
そうだ、十瑠さんのブログへのリンク、出来れば、ご許可いただきたいんですけど。
では、また。
返信する

コメントを投稿

『独り言』」カテゴリの最新記事