(1960/アルフレッド・ヒッチコック製作・監督/アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ジョン・ギャヴィン、ヴェラ・マイルズ、マーティン・バルサム、サイモン・オークランド、ジョン・マッキンタイア、パトリシア・ヒッチコック/109分)
原題も【Psycho(サイコ)】。正式には「Psychopath(サイコパス)」という医学用語ですね。日本語訳では精神病質(せいしんびょうしつ)と言うそうです。
<サイコパスは異常であるが病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、人格障害とされている>(ウィキペディアより)
「見知らぬ乗客」の記事にも書きましたが、「疑惑の影 (1942)」、「見知らぬ乗客 (1951)」、「サイコ (1960)」、「フレンジー (1972)」とヒッチコックは10年に1作ずつの割合でサイコパスの出てくる映画を作っています。その中でも「サイコ」はひと味違った印象があります。それは、他の作品が犯罪の加害者である彼らを正面から描いたのに対して、「サイコ」では彼(或いは彼女)の裏の顔を最後の最後まで隠し通しているからです。ストーリー的にも最後に事件の種明かしがされるという展開で、2度見しなければ全体を理解できない、そんな気分にさせられます。アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「悪魔のような女」のように、公開時には『結末はしゃべらないで下さい』というような注意がなされたのではないでしょうか。
こういう映画の場合、2度目の印象が初見とは違ったものになるのは当然ですが、「サイコ」はそのプロットが種明かしのサプライズを狙っているのも災いして(しかも加害者が特異な人物ということもあり)、2度目でも心理が掴みづらいという特徴があります。というわけで、お薦め度は★一つマイナスになりました。
アリゾナ州フェニックス。不動産会社で経理を担当して10年になるマリオン(リー)にはバツイチの恋人がいるが、彼サム(ギャヴィン)は父親の残した借金の返済や別れた妻への慰謝料の支払いなどの為にマリオンとの新生活に入っていくだけの余裕がなく、再婚を諦めている。
12月の暑い週末、出張でフェニックスにやってきたサムと昼休みのわずかな時間にホテルにしけ込んだマリオンだが、会社に戻ってみると、羽振りの良い客が物件の代金4万ドルを現金で支払った為、すぐに銀行に預けることとなった。午後の勤務に遅れた理由に体調不良を装っていたマリオンは、頭痛が治らないからと銀行へお金を預けた足でそのまま早退すると社長に告げて事務所を出る。無論、頭痛は仮病であり、マリオンは4万ドルを横領してサムの住む町へ車を走らせたのだ。
走らせながら本当に頭が痛くなるマリオン。
実は現金を銀行に預けずに、スーツケースに荷物(と4万ドル)を詰め込んで町を出ようとした時、赤信号で止まった彼女の車の前を社長と件の客が歩いていて、社長と目があったのだ。社長は怪訝な顔をしていたが、あの後、多分自分の横領に気付いたに違いない。
途中でパトカーの警官に不審に思われて尾行されたりもしたが、夜になり、土砂降りの雨の中、何とかハイウェイから横道に入った所で一軒のさびれたモーテルを見つけ、マリオンはそこに宿泊することにした。
宿のオーナーは、年老いた母親と暮らす青年ノーマン・ベイツ(パーキンス)。他に宿泊客はなく、お腹がすいたというマリオンの為に、ノーマンは夕食にサンドイッチを作ってくれた。
ノーマンが趣味で作っているという鳥の剥製が飾ってある異様な雰囲気の管理室。サンドイッチを頬張りながら、管理室でノーマンと話をする内にマリオンは冷静になり、横領したお金を返す気になり始める。
ノーマンはマリオンの為に新しいシーツや毛布を取りにモーテルの裏手にある母屋へ行く。すると、母屋からはノーマンの母親のヒステリックな声が聞こえてくる。それは、まるでマリオンをノーマンの彼女と勘違いしているようなもの言いだった・・・。
ベテランの映画ファンはともかく、若い映画ファンには観ていない方もいらっしゃるでしょうから、ネタバレは無しにしときます。一つだけ言えば、ノーマンの趣味が動物の剥製作りというのは、ラストまで観た後でハッと気付く伏線ですね。
異常心理を扱った草分け的作品で、サイコ・ホラー、サイコ・サスペンスのルーツ。
<その演出スタイルは恐怖感を煽るバーナード・ハーマンの音楽と共に数多くの模倣やパロディを生んだ>とのこと。(allcinemaの解説より)
原作はロバート・ブロック。
1960年のアカデミー賞で、助演女優賞(リー)、監督賞、白黒撮影賞(ジョン・L・ラッセル)などにノミネートされました。
ところで、98年にガス・ヴァン・サントがリメイクしたものは、脚本まで殆ど同じだったらしく、ベテランさんには散々な評価です。
原題も【Psycho(サイコ)】。正式には「Psychopath(サイコパス)」という医学用語ですね。日本語訳では精神病質(せいしんびょうしつ)と言うそうです。
<サイコパスは異常であるが病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、人格障害とされている>(ウィキペディアより)
「見知らぬ乗客」の記事にも書きましたが、「疑惑の影 (1942)」、「見知らぬ乗客 (1951)」、「サイコ (1960)」、「フレンジー (1972)」とヒッチコックは10年に1作ずつの割合でサイコパスの出てくる映画を作っています。その中でも「サイコ」はひと味違った印象があります。それは、他の作品が犯罪の加害者である彼らを正面から描いたのに対して、「サイコ」では彼(或いは彼女)の裏の顔を最後の最後まで隠し通しているからです。ストーリー的にも最後に事件の種明かしがされるという展開で、2度見しなければ全体を理解できない、そんな気分にさせられます。アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「悪魔のような女」のように、公開時には『結末はしゃべらないで下さい』というような注意がなされたのではないでしょうか。
こういう映画の場合、2度目の印象が初見とは違ったものになるのは当然ですが、「サイコ」はそのプロットが種明かしのサプライズを狙っているのも災いして(しかも加害者が特異な人物ということもあり)、2度目でも心理が掴みづらいという特徴があります。というわけで、お薦め度は★一つマイナスになりました。
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アリゾナ州フェニックス。不動産会社で経理を担当して10年になるマリオン(リー)にはバツイチの恋人がいるが、彼サム(ギャヴィン)は父親の残した借金の返済や別れた妻への慰謝料の支払いなどの為にマリオンとの新生活に入っていくだけの余裕がなく、再婚を諦めている。
12月の暑い週末、出張でフェニックスにやってきたサムと昼休みのわずかな時間にホテルにしけ込んだマリオンだが、会社に戻ってみると、羽振りの良い客が物件の代金4万ドルを現金で支払った為、すぐに銀行に預けることとなった。午後の勤務に遅れた理由に体調不良を装っていたマリオンは、頭痛が治らないからと銀行へお金を預けた足でそのまま早退すると社長に告げて事務所を出る。無論、頭痛は仮病であり、マリオンは4万ドルを横領してサムの住む町へ車を走らせたのだ。
走らせながら本当に頭が痛くなるマリオン。
実は現金を銀行に預けずに、スーツケースに荷物(と4万ドル)を詰め込んで町を出ようとした時、赤信号で止まった彼女の車の前を社長と件の客が歩いていて、社長と目があったのだ。社長は怪訝な顔をしていたが、あの後、多分自分の横領に気付いたに違いない。
途中でパトカーの警官に不審に思われて尾行されたりもしたが、夜になり、土砂降りの雨の中、何とかハイウェイから横道に入った所で一軒のさびれたモーテルを見つけ、マリオンはそこに宿泊することにした。
宿のオーナーは、年老いた母親と暮らす青年ノーマン・ベイツ(パーキンス)。他に宿泊客はなく、お腹がすいたというマリオンの為に、ノーマンは夕食にサンドイッチを作ってくれた。
ノーマンが趣味で作っているという鳥の剥製が飾ってある異様な雰囲気の管理室。サンドイッチを頬張りながら、管理室でノーマンと話をする内にマリオンは冷静になり、横領したお金を返す気になり始める。
ノーマンはマリオンの為に新しいシーツや毛布を取りにモーテルの裏手にある母屋へ行く。すると、母屋からはノーマンの母親のヒステリックな声が聞こえてくる。それは、まるでマリオンをノーマンの彼女と勘違いしているようなもの言いだった・・・。
ベテランの映画ファンはともかく、若い映画ファンには観ていない方もいらっしゃるでしょうから、ネタバレは無しにしときます。一つだけ言えば、ノーマンの趣味が動物の剥製作りというのは、ラストまで観た後でハッと気付く伏線ですね。
異常心理を扱った草分け的作品で、サイコ・ホラー、サイコ・サスペンスのルーツ。
<その演出スタイルは恐怖感を煽るバーナード・ハーマンの音楽と共に数多くの模倣やパロディを生んだ>とのこと。(allcinemaの解説より)
原作はロバート・ブロック。
1960年のアカデミー賞で、助演女優賞(リー)、監督賞、白黒撮影賞(ジョン・L・ラッセル)などにノミネートされました。
ところで、98年にガス・ヴァン・サントがリメイクしたものは、脚本まで殆ど同じだったらしく、ベテランさんには散々な評価です。
(↓予告編ですが、未見の方はこれも観ない方がいいかなぁ)
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】
これをみた頃、スリラーに嵌っていて、テンポが速くて刺激の強いものばかり観ていたせいもあるでしょうね。
一度もった印象はなかなか拭い去れず、皆さん楽しんでおられて羨ましい・・・!
>テンポが速くて刺激の強いものばかり観ていたせいもあるでしょうね。
スリラーというよりはショッカーみたいな作品でしょうか?
僕はもともとそういうのが苦手なんで、ヒッチコックさんで十分です。
「サイコ」は、主人公の心理が掴み辛いので再見の楽しみが他の作品より少ないような気もします。
字幕訳は「サイコみたい!」ってなっていたけど、若い人には「????」だったよね、きっと。
逃げ込んだ歪んだ心理面を表す記述が
ところどころに出てきます。
ネタバレになるので書けませんが。
そうです、パーキンスのベイツ像が
全編ひとり歩き状態で根っこのところが
いまいちあやふやだったかもですね~
でもあれはあれでりっぱに映画的勝利だと。
原作、一度目を通してみてはどうでしょう。
私は映画版を近い内に再見しましょう。^^
ま、原作者が触発されたという現実の事件(エド・ゲイン)は、もっと複雑で極端な事例ですけどネ。
原作、ボックオフにでもあったら読んでみます。
これを大スクリーンで観れたら・・・、
幸せでしょうねえ(^^)
このモノクロというのも味があっていいです。
またヒッチコックの他の作品が見たくなりました。
クルーゾーの「悪魔のような女」はフシさんは未見とのことですが、こちらは★五つ。大いに観るべき傑作でございます。是非、この夏にもご覧下さいマシ
マリオンやノーマンの演技と見せ方、それに緊張感あおる音楽!
さすがに怖くはなかったけど、細部まで計算された映画を観る高揚感を味わえました。
>2度目でも心理が掴みづらいという特徴があります。
そうですね。三度目の正直でやっとでした(笑)
まあ、それも再見したいと思わせる作品だったからで、結果オーライかも?
そうですね。
前半はマリオンが主役のような描き方で、後半はノーマンが主役。全てが最後のあっと驚く種明かしに向かって巧妙に組み立てられた映画ですよね。
今回は楽しまれたようで、僕も嬉しいです。