(2000/スティーヴン・ソダーバーグ監督/マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ドン・チードル、ベニチオ・デル・トロ、ルイス・ガスマン、デニス・クエイド)
ソダーバーグ監督については人によって評価がマチマチですな。実は私もどう評価していいか迷っている監督です。“乾いたタッチ”とよくいいますが、確かにそんな表現が合う作風ですな。最初に見た「セックスと嘘とビデオテープ(1989)」からそんな感じだった。「エリン・ブロコビッチ(2000)」は主人公がポジティブな人間だったのでそういうイメージは薄かったが、今回の「トラフィック」は麻薬にまつわる話だったので、そういう風に感じることが多かった。だから、そういうのが好きな人には受けるし、嫌いな人には『何も感じない』なんて言われてしまう。
“乾いたタッチ”ってなんだろう?<ハードボイルド>の事をそういう風に言い換えることもあるが、ジョン・ヒューストンやハワード・ホークスとも違うしなあ。“喜怒哀楽の表現がクール”なんて言い方もするが、裏を返せば感情の表現が乏しいとも言える。が、やっぱり昔の<ハードボイルド>とは違う。
昔は、“感情を抑えた演技”なんていう言い方があった。そう。かつての<ハードボイルド映画>は、抑えていたが、ちゃんと感情表現はあったのでジワツとくるものがあったんだ。
ソダー・バーグの作風は抑えているのではなく、やはり、乏しいとか薄いという表現をしたくなる。
「パルプ・フィクション」なんかのタランティーノについてもそんな印象を持っているので、あれ以降の作品は「キルビル」も未だに観てない。
それと、率直に言って、あの手持ちカメラの映像は好きじゃない。未見の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト(←ソダーバーグ作品ではない)」についてのブログを読むと、アレは手持ちカメラの映像が多くて船酔いのような気分になるらしいですな。「トラフィック」ではそこまでの映像はないが、どうも落ち着かない。安っぽい感じがして、途中のいくつかのシーンでは、昔のTV映画を見ているような気分にもなりましたな。
なんだか、監督の話ばかりになりました。なにせ、この映画でアカデミー監督賞をとったので、ちょいと言ってみたくなりました。
さてストーリーは、麻薬にまつわるエピソードが三つ平行して語られます。一つは麻薬の供給サイドのメキシコのエピソード、二つ目は需要サイドというか、麻薬をばらまき使用する側のアメリカ西海岸のサンディエゴのエピソード、そして三つ目は、アメリカ合衆国政府の麻薬対策本部長に就任したマイケル・ダグラスに関するエピソード。
話は面白いです。ある程度この手の作品を見ている人には先が読めはしますが、気になるところがしっかり追われているので不満は残りません。
メキシコとサンディエゴの話は、麻薬を取り締まる側とヤクザとの攻防で、どちらにも警察と悪者達がいて、更にどちらにも裏切り者が出てくるという二重三重の構成になっております。
麻薬対策本部長の話は、先の二つとは直接的な関わりが少ないです。法律家から政府の要人に抜擢されたダグラスだが、実は成績優秀な一人娘の女子高生が麻薬の常習者だったという設定で、仕事と娘のことで散々悩むという話です。但し、娘の方にフォーカスすると、メキシコで生産され、サンディエゴで中継された麻薬の行き着く先の悲惨な状況を描いているわけで、この作品のテーマ(麻薬汚染問題)を考えると一番重要なシークエンスかも知れません。
メキシコの話の時には黄色っぽく、ダグラスに関するところはブルーを基調とした映像にして区分してますが、これも良かったのか、悪かったのか・・・。最初の印象は、無造作というか、無頓着という感じでしたな。
▼(ネタバレ注意)
マイケル・ダグラスのかかわるエピソードは、TVシリーズ(この映画には事前にシリーズ化されて放送されたTV番組があったようです)では悲劇的な結末だったようですが、映画では楽観的な終わり方だった。
オイオイッ!それでイイのかよ?って感じでした。
▲(解除)
キャサゼタは妊婦姿で出てきますが、マイケルと結婚した後で、実際に妊娠していたそうです。
デニス・クエイドはサンディエゴのヤクザの一人を演じていますが、「オールド・ルーキー」とは違うイメージがちゃんと出てました。
メキシコサイドの警官をやってた役者。名前は知らないんですが(多分ベニチオ・デル・トロ)、ドキュメントタッチの雰囲気に合ってましたな。
サンディエゴのヤクザの一人、裁判の証人になったのが「ロボコップ(1987)」のミゲル・ファーラー。データを調べてて知りましたが、彼はホセ・ファーラーの息子なんですなあ。
ソダーバーグ監督については人によって評価がマチマチですな。実は私もどう評価していいか迷っている監督です。“乾いたタッチ”とよくいいますが、確かにそんな表現が合う作風ですな。最初に見た「セックスと嘘とビデオテープ(1989)」からそんな感じだった。「エリン・ブロコビッチ(2000)」は主人公がポジティブな人間だったのでそういうイメージは薄かったが、今回の「トラフィック」は麻薬にまつわる話だったので、そういう風に感じることが多かった。だから、そういうのが好きな人には受けるし、嫌いな人には『何も感じない』なんて言われてしまう。
“乾いたタッチ”ってなんだろう?<ハードボイルド>の事をそういう風に言い換えることもあるが、ジョン・ヒューストンやハワード・ホークスとも違うしなあ。“喜怒哀楽の表現がクール”なんて言い方もするが、裏を返せば感情の表現が乏しいとも言える。が、やっぱり昔の<ハードボイルド>とは違う。
昔は、“感情を抑えた演技”なんていう言い方があった。そう。かつての<ハードボイルド映画>は、抑えていたが、ちゃんと感情表現はあったのでジワツとくるものがあったんだ。
ソダー・バーグの作風は抑えているのではなく、やはり、乏しいとか薄いという表現をしたくなる。
「パルプ・フィクション」なんかのタランティーノについてもそんな印象を持っているので、あれ以降の作品は「キルビル」も未だに観てない。
それと、率直に言って、あの手持ちカメラの映像は好きじゃない。未見の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト(←ソダーバーグ作品ではない)」についてのブログを読むと、アレは手持ちカメラの映像が多くて船酔いのような気分になるらしいですな。「トラフィック」ではそこまでの映像はないが、どうも落ち着かない。安っぽい感じがして、途中のいくつかのシーンでは、昔のTV映画を見ているような気分にもなりましたな。
なんだか、監督の話ばかりになりました。なにせ、この映画でアカデミー監督賞をとったので、ちょいと言ってみたくなりました。
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話は面白いです。ある程度この手の作品を見ている人には先が読めはしますが、気になるところがしっかり追われているので不満は残りません。
メキシコとサンディエゴの話は、麻薬を取り締まる側とヤクザとの攻防で、どちらにも警察と悪者達がいて、更にどちらにも裏切り者が出てくるという二重三重の構成になっております。
麻薬対策本部長の話は、先の二つとは直接的な関わりが少ないです。法律家から政府の要人に抜擢されたダグラスだが、実は成績優秀な一人娘の女子高生が麻薬の常習者だったという設定で、仕事と娘のことで散々悩むという話です。但し、娘の方にフォーカスすると、メキシコで生産され、サンディエゴで中継された麻薬の行き着く先の悲惨な状況を描いているわけで、この作品のテーマ(麻薬汚染問題)を考えると一番重要なシークエンスかも知れません。
メキシコの話の時には黄色っぽく、ダグラスに関するところはブルーを基調とした映像にして区分してますが、これも良かったのか、悪かったのか・・・。最初の印象は、無造作というか、無頓着という感じでしたな。
▼(ネタバレ注意)
マイケル・ダグラスのかかわるエピソードは、TVシリーズ(この映画には事前にシリーズ化されて放送されたTV番組があったようです)では悲劇的な結末だったようですが、映画では楽観的な終わり方だった。
オイオイッ!それでイイのかよ?って感じでした。
▲(解除)
キャサゼタは妊婦姿で出てきますが、マイケルと結婚した後で、実際に妊娠していたそうです。
デニス・クエイドはサンディエゴのヤクザの一人を演じていますが、「オールド・ルーキー」とは違うイメージがちゃんと出てました。
メキシコサイドの警官をやってた役者。名前は知らないんですが(多分ベニチオ・デル・トロ)、ドキュメントタッチの雰囲気に合ってましたな。
サンディエゴのヤクザの一人、裁判の証人になったのが「ロボコップ(1987)」のミゲル・ファーラー。データを調べてて知りましたが、彼はホセ・ファーラーの息子なんですなあ。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】 
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ソダーバーグ監督の稀薄さが意図したものか、それが彼のセンスなのか見極めたいとは思っています。
「ツイン・ピークス」は話題になっていた時も、私はほとんど観ないままです。
お父さんは、堂々たる感じだったですけどねぇ。
miumiuさんのブログ、ちょっとだけお邪魔しました。新旧色々な作品が登場していて楽しそうでした。今度、ゆっくり読ませていただきますね。
わたしも十瑠さんと同じくこの映画には希薄さを感じています。ラストもハッピーエンドっぽくしたおかげでオスカーを獲得したと思わざるを得ない。
ただ、出演陣はよかったと思います。
マニアックなミゲル・ファラーなんかも…。
ちなみに彼は「ツイン・ピークス」にも出ていました。インパクトの強い顔をしていて一度見たら忘れない人だと思います。
ところで、「ミリオンダラー・ベイビー」にえらく感動されたみたいですねえ。久しぶりに劇場で観たい気もしてるんですが、切なさそうなラストらしいのでどうしようか迷ってます。
感情を抑制した表現である分、見終わってからズシンとくるものがありましたね。