(1966/ジョージ・ロイ・ヒル監督/ジュリー・アンドリュース、メアリー・タイラー・ムーア、キャロル・チャニング、ジェームズ・フォックス、ジョン・ギャヴィン、アンソニー・デクスター、ノリユキ・パット・モリタ /138分)
ジョージ・ロイ・ヒルが「明日に向って撃て!」の3年前に作ったコメディ&ミュージカル。ジュリーとは前年の「ハワイ」に続いての作品で、二人の接点が二つもあったなんて初めて気付きました。
お金持ちの上司の秘書になって、ゆくゆくは彼と結婚するというのが夢の田舎娘が、ニューヨークに出てきて理想以上の素敵な彼氏をゲットするまでの話。
第一次世界大戦終了後のいわゆるジャズエイジの頃で、冒頭のタイトルバックで田舎娘のミリーが街を歩いている都会の女性達に刺激されて、いかにもチャールストンが似合いそうな“モダン”なスタイルに変身していくシーンが洒落ております。ロングの巻き毛はボブカットに、膝下丈のスカートは膝が見えるモノに、そしてボインちゃんではネックレスが乱れるのでペチャパイになるような下着を着ける。その後のミュージカルシーンの振り付けも格好良かったけど、リズミカルなカメラワークもスマートでした。
彼女のサクセスストーリーと別にもう一つ話があって、それは最近NYで一人暮らしの若い女性が忽然と消えているという事件。売春宿に売られているのではないかとの新聞記事も出るが、実はミリーが宿泊している独身女性専用ホテルの中国人女性支配人が絡んでいて、ミリーがどう巻き込まれるのかというところも興味を惹くところです。
序盤で、女優を目指して西海岸からやって来たという“ミス”ドロシー(ムーア)という娘がミリーの前の部屋に入ることになり、天涯孤独だという彼女が次に狙われることになる。
ミリーは理想的な独身社長(ギャヴィン)の秘書になることに成功するが、同時にホテルのダンス・パーティーでトミー(フォックス)という青年とも知り合う。トミーは歌が上手くてダンスも上手くて、お喋りも楽しいが、いかんせん事務用品のセールスマンでしかない。最初のデートでトミーが結婚には拘ってないという事も分かるので、社長との玉の輿婚を諦めるわけにはいかない。
トミーが連れて行ってくれた金持ちの未亡人のパーティーで、トミーがドロシーと一つ部屋に入るのをみたミリーは、社長オンリーにかける。そんな時、ミリーと一緒のドロシーを見かけた社長はいっぺんに彼女に参ってしまう。ドロシーも社長に一目惚れするのだが、ついにドロシーに中国人の魔の手が襲いかかる・・・。
富豪の未亡人を演じているのがブロードウェイの大女優キャロル・チャニングで、彼女がミリーの人生指南的な役どころなんですが、彼女の豪邸でのパーティーのシーンや彼女がショーに飛び入りしているシーンなどにも唄や踊りがあり、ジミーがミリーの勤める会社のビルをよじ登ったりするハロルド・ロイドまがいのシーンもあり、その他、終盤では人さらい事件の結末のドタバタがあり、全体としては長すぎる嫌いがあります。(途中で4分弱のインターミッションが入ります)
前半の唄と踊りは好きだし、ミリーを中心にした語り口なので筋書きは分かり易いんですけどね。
ラストではどんでん返しがお得意のロイ・ヒルさんらしい展開も見せてくれます。場面展開にアイリス・ショットが使われたり、紙芝居風のショットの挿入、サイレント風の字幕の挿入などなど、監督が楽しんでいるのが分かります。複葉飛行機のシーンも後年の「華麗なるヒコーキ野郎(1975)」を思い出させましたね。
トリビアとしては、聞き覚えのある「♪ベイビー・フェイス」がこの映画の楽曲だったこと。それと、音楽担当に、ミア・ファローのずっと前の旦那さん、アンドレ・プレヴィンの名前があったこと。
ドロシー役のメアリー・タイラー・ムーアは、レッドフォードの初監督作品「普通の人々」で息子に冷たいお母さんを演じた人ですね。元々はコメディがお得意の女優さんです。
「ベスト・キッド」で空手の先生を演じたノリユキ・パット・モリタの、これが映画デビュー作。人さらいの中国人の1人でした。
NHK-BSのアカデミー賞特集で観たんですが、該当者は作曲賞のエルマー・バーンスタイン。その他、助演女優賞(チャニング)、音楽(編曲賞)、歌曲賞、美術監督・装置、衣裳デザイン賞、音響賞等にもノミネートされたそうです。
尚、プロデューサーは「夜を楽しく」と同じロス・ハンターでした。
[2008.12.23 追記]
・Youtubeで動画を見つけましたので、好きなシーンを二つアップしました。
ジョージ・ロイ・ヒルが「明日に向って撃て!」の3年前に作ったコメディ&ミュージカル。ジュリーとは前年の「ハワイ」に続いての作品で、二人の接点が二つもあったなんて初めて気付きました。
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お金持ちの上司の秘書になって、ゆくゆくは彼と結婚するというのが夢の田舎娘が、ニューヨークに出てきて理想以上の素敵な彼氏をゲットするまでの話。
第一次世界大戦終了後のいわゆるジャズエイジの頃で、冒頭のタイトルバックで田舎娘のミリーが街を歩いている都会の女性達に刺激されて、いかにもチャールストンが似合いそうな“モダン”なスタイルに変身していくシーンが洒落ております。ロングの巻き毛はボブカットに、膝下丈のスカートは膝が見えるモノに、そしてボインちゃんではネックレスが乱れるのでペチャパイになるような下着を着ける。その後のミュージカルシーンの振り付けも格好良かったけど、リズミカルなカメラワークもスマートでした。
彼女のサクセスストーリーと別にもう一つ話があって、それは最近NYで一人暮らしの若い女性が忽然と消えているという事件。売春宿に売られているのではないかとの新聞記事も出るが、実はミリーが宿泊している独身女性専用ホテルの中国人女性支配人が絡んでいて、ミリーがどう巻き込まれるのかというところも興味を惹くところです。
序盤で、女優を目指して西海岸からやって来たという“ミス”ドロシー(ムーア)という娘がミリーの前の部屋に入ることになり、天涯孤独だという彼女が次に狙われることになる。
ミリーは理想的な独身社長(ギャヴィン)の秘書になることに成功するが、同時にホテルのダンス・パーティーでトミー(フォックス)という青年とも知り合う。トミーは歌が上手くてダンスも上手くて、お喋りも楽しいが、いかんせん事務用品のセールスマンでしかない。最初のデートでトミーが結婚には拘ってないという事も分かるので、社長との玉の輿婚を諦めるわけにはいかない。
トミーが連れて行ってくれた金持ちの未亡人のパーティーで、トミーがドロシーと一つ部屋に入るのをみたミリーは、社長オンリーにかける。そんな時、ミリーと一緒のドロシーを見かけた社長はいっぺんに彼女に参ってしまう。ドロシーも社長に一目惚れするのだが、ついにドロシーに中国人の魔の手が襲いかかる・・・。
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富豪の未亡人を演じているのがブロードウェイの大女優キャロル・チャニングで、彼女がミリーの人生指南的な役どころなんですが、彼女の豪邸でのパーティーのシーンや彼女がショーに飛び入りしているシーンなどにも唄や踊りがあり、ジミーがミリーの勤める会社のビルをよじ登ったりするハロルド・ロイドまがいのシーンもあり、その他、終盤では人さらい事件の結末のドタバタがあり、全体としては長すぎる嫌いがあります。(途中で4分弱のインターミッションが入ります)
前半の唄と踊りは好きだし、ミリーを中心にした語り口なので筋書きは分かり易いんですけどね。
ラストではどんでん返しがお得意のロイ・ヒルさんらしい展開も見せてくれます。場面展開にアイリス・ショットが使われたり、紙芝居風のショットの挿入、サイレント風の字幕の挿入などなど、監督が楽しんでいるのが分かります。複葉飛行機のシーンも後年の「華麗なるヒコーキ野郎(1975)」を思い出させましたね。
トリビアとしては、聞き覚えのある「♪ベイビー・フェイス」がこの映画の楽曲だったこと。それと、音楽担当に、ミア・ファローのずっと前の旦那さん、アンドレ・プレヴィンの名前があったこと。
ドロシー役のメアリー・タイラー・ムーアは、レッドフォードの初監督作品「普通の人々」で息子に冷たいお母さんを演じた人ですね。元々はコメディがお得意の女優さんです。
「ベスト・キッド」で空手の先生を演じたノリユキ・パット・モリタの、これが映画デビュー作。人さらいの中国人の1人でした。
NHK-BSのアカデミー賞特集で観たんですが、該当者は作曲賞のエルマー・バーンスタイン。その他、助演女優賞(チャニング)、音楽(編曲賞)、歌曲賞、美術監督・装置、衣裳デザイン賞、音響賞等にもノミネートされたそうです。
尚、プロデューサーは「夜を楽しく」と同じロス・ハンターでした。
・お薦め度【★★=悪くはないけどネ、長いので★一つ減点】
[2008.12.23 追記]
・Youtubeで動画を見つけましたので、好きなシーンを二つアップしました。
この映画、中学1年生(!!!)の時に見ました。ジョン・ギャビン、なにそれ?ジャン・ギャバンを英語読みしちゃったんじゃないの、と思ったら全然違う人なのでした。
私はもう少し色彩が派手で、かつ『もたつき感』がなくなるといいと思ったんですよね。この監督にしてはおしゃれ度が足りないし。
でも「ハワイ」と「モダン・ミリー」のおかげでジョージ・ロイ・ヒル監督には何の期待も持っていなかったので、「明日に向って撃て!」を見たときは本当に驚きました。怪我の功名(?)というか…。ロイ・ヒル自身は「モダン・ミリーの時は製作会社の連中が色々口を出してきて、思うように作れなかった」と語っていますね。
この映画のミュージカル・シーンですが、オリジナルの曲は少なくて、多くはスタンダード・ナンバーになった大昔の曲を使用しています。「ベイビー・フェース」もそうですね。
主題歌の『モダン・ミリー』は、既にアカデミー賞を4回だか受賞していたサミー・カーンとジェイムズ・ヴァン・ヒューゼンのコンビによるオリジナルで、67年の主題歌賞はこの曲が取るべきでした。ミュージカル映画なのに、歌とは関係ない劇部分の音楽を担当したエルマー・バーンスタインが作曲賞を受賞なんて、おかしすぎ。
好き勝手にやってるように見えましたが、間延びしたところもあって、その辺が思うように切れなかったなんて所ですかね。僕の想像ですが^^
「♪ベイビー・フェース」は既製曲だったんですか。情報ありがとうございます。
そうそう。「♪モダン・ミリー」は軽快で楽しくてイイ曲でした
やはり私はジーン・ケリーやアステアを見てミュージカルにハマったクチなので、ひとつひとつの踊りがしっかりしてないとダメなんですよね・・・。群舞ではなく、ソロが好きなのかもしれませんが。
ジミーがビルをよじ登るシーン、私もロイドっぽいと思いました!ジョージ・ロイ・ヒル監督は絶対そこらへんは楽しんで撮ってたなと思います。
ということは、ジーン・ケリーやフレッド・アステアのって映画館では観てないんですよね。
僕は男だからでしょうか、男性のダンスにはそれ程魅力を感じないようです。