(1966/リチャード・フライシャー監督/スティーヴン・ボイド、ラクエル・ウェルチ、アーサー・ケネディ、エドモンド・オブライエン、ドナルド・プレザンス、アーサー・オコンネル、ウィリアム・レッドフィールド、ジェームズ・ブローリン/100分)
“ドラえもん”の道具にスモールライトというのがあって、この懐中電灯のようなモノの光を浴びると、人も物もたちまちにして小さくなる。「ミクロの決死圏」は、このドラえもんと同じように、ミクロサイズに小さくなった人間が出てくる実写映画だ。
漫画みたい?
ミクロ化の技術についてのアレコレを語ると漫画みたいなお話になっちゃいそうだけど、これはミクロサイズになった科学者達のスリルとサスペンスに満ちた60分の冒険の旅を描いた作品であります。【原題:FANTASTIC VOYAGE】
東側の要人が貴重な情報を持ってアメリカに亡命してくるが、アメリカに到着したところで東側工作員の襲撃を受け、脳内に血塊を生じさせて重体に陥る。
外科手術では危険が大きすぎるということで、新しい技術によって血塊除去の措置を執ることになる。すなわち、特殊潜航艇と共に治療チームをミクロサイズにして患者の頸動脈に注射し、血管を通って脳の患部に近付き、レーザー光線で血塊を溶かそうというのだ。乗組員は、潜航艇のパイロット(レッドフィールド)、レーザー治療を行う脳外科医(ケネディ)とその女性助手(ウェルチ)、総合的な判断をする科学者(プレザンス)、そして東側からの亡命を手助けしたエージェントも急遽この旅の警護に当たることになる。
スティーヴン・ボイド扮するこのエージェントが映画の主人公だ。
まるで宇宙のような人間の体内。
ミクロ化した人や潜航艇は60分経つと元の大きさに戻るという特性があり、まずはこの制限時間内に事を終えなければならないという前提条件がアドレナリンの分泌を促す。そして、人間の体内に入り込むという新しい試みの為に、予期しないアクシデントにも見舞われる。
頸動脈から脳血管に向かうつもりが、途中で静脈と血管壁がくっついている所があって肺静脈に取り込まれてしまう。そこから脳に向かうには、一旦心臓を通過しなければいけないが、ミクロ化したモノには心臓の拍動はもの凄い衝撃となる。手術室では、エージェントの上官が指揮を執っており、潜航艇とは無線で連絡をとっている。ここで中止するわけにもいかず、上官の判断により患者の心臓を一時停止させて、蘇生に可能な時間内に心臓内を通過することとする。ここが一つの山場だ。
その後、時間のロスを挽回するために、内耳のリンパ管を通ることになるが、患者の耳に外部からの大きな物音が入ってくれば、これまたミクロ人間達には津波のような衝撃になる。患者が横たわる手術室のベッドの周りには、ノーマルサイズの医療チームがとり囲んでおり、『大きな声や音は出すなよ』と言われているにもかかわらず・・・なんていう、お約束ですがスリリングなシーンもあるわけです。
更に、人間の身体には、外部からの侵入物に対する抗体や白血球という防護機能もあり、これらも容赦なくミクロ化した彼らに迫ってくる。と、まさに人間の体内は危険な海か宇宙のようであります。
そしてそして、しっかりと固定していたレーザー光線銃が台座から落ちて不良ヶ所が発生したり、潜航艇の酸素が漏れたりと不測の事態が次々と起こり、乗組員の中に敵側のスパイがいるのでは、なんていうサスペンスも入ってくる。
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なんと言ってもこの映画の面白さはハリー・クライナー(「栄光のル・マン」、「ブリット」)の脚本によるものでしょう。オープニングクレジットでは、医学関連の情報提供者に対する感謝の言葉も流されておりましたが、特殊な状況下での一難去ってまた一難のストーリーはお見事でした。
リチャード・フライシャーは「海底二万哩(1954)」や「絞殺魔(1968)」、「トラ・トラ・トラ!(1970)」など、何でも屋の職人監督さんというイメージがある。こちらもまずは無難な演出だったというところでしょうか。
ナイスバディのラクエル・ウェルチさんは、当時のピンナップガールの代表格だった女優さんです。厚手のウェットスーツでも、お色気はしっかり出ておりましたな。
アカデミー賞を受賞した(美術監督・装置賞、特殊視覚効果賞)、人体内部の映像が“らしくて”しかも美しい! 大スクリーンで観れば、★がもう一つ付くかも知れませんね。
“ドラえもん”の道具にスモールライトというのがあって、この懐中電灯のようなモノの光を浴びると、人も物もたちまちにして小さくなる。「ミクロの決死圏」は、このドラえもんと同じように、ミクロサイズに小さくなった人間が出てくる実写映画だ。
漫画みたい?
ミクロ化の技術についてのアレコレを語ると漫画みたいなお話になっちゃいそうだけど、これはミクロサイズになった科学者達のスリルとサスペンスに満ちた60分の冒険の旅を描いた作品であります。【原題:FANTASTIC VOYAGE】
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外科手術では危険が大きすぎるということで、新しい技術によって血塊除去の措置を執ることになる。すなわち、特殊潜航艇と共に治療チームをミクロサイズにして患者の頸動脈に注射し、血管を通って脳の患部に近付き、レーザー光線で血塊を溶かそうというのだ。乗組員は、潜航艇のパイロット(レッドフィールド)、レーザー治療を行う脳外科医(ケネディ)とその女性助手(ウェルチ)、総合的な判断をする科学者(プレザンス)、そして東側からの亡命を手助けしたエージェントも急遽この旅の警護に当たることになる。
スティーヴン・ボイド扮するこのエージェントが映画の主人公だ。
まるで宇宙のような人間の体内。
ミクロ化した人や潜航艇は60分経つと元の大きさに戻るという特性があり、まずはこの制限時間内に事を終えなければならないという前提条件がアドレナリンの分泌を促す。そして、人間の体内に入り込むという新しい試みの為に、予期しないアクシデントにも見舞われる。
頸動脈から脳血管に向かうつもりが、途中で静脈と血管壁がくっついている所があって肺静脈に取り込まれてしまう。そこから脳に向かうには、一旦心臓を通過しなければいけないが、ミクロ化したモノには心臓の拍動はもの凄い衝撃となる。手術室では、エージェントの上官が指揮を執っており、潜航艇とは無線で連絡をとっている。ここで中止するわけにもいかず、上官の判断により患者の心臓を一時停止させて、蘇生に可能な時間内に心臓内を通過することとする。ここが一つの山場だ。
その後、時間のロスを挽回するために、内耳のリンパ管を通ることになるが、患者の耳に外部からの大きな物音が入ってくれば、これまたミクロ人間達には津波のような衝撃になる。患者が横たわる手術室のベッドの周りには、ノーマルサイズの医療チームがとり囲んでおり、『大きな声や音は出すなよ』と言われているにもかかわらず・・・なんていう、お約束ですがスリリングなシーンもあるわけです。
更に、人間の身体には、外部からの侵入物に対する抗体や白血球という防護機能もあり、これらも容赦なくミクロ化した彼らに迫ってくる。と、まさに人間の体内は危険な海か宇宙のようであります。
そしてそして、しっかりと固定していたレーザー光線銃が台座から落ちて不良ヶ所が発生したり、潜航艇の酸素が漏れたりと不測の事態が次々と起こり、乗組員の中に敵側のスパイがいるのでは、なんていうサスペンスも入ってくる。
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なんと言ってもこの映画の面白さはハリー・クライナー(「栄光のル・マン」、「ブリット」)の脚本によるものでしょう。オープニングクレジットでは、医学関連の情報提供者に対する感謝の言葉も流されておりましたが、特殊な状況下での一難去ってまた一難のストーリーはお見事でした。
リチャード・フライシャーは「海底二万哩(1954)」や「絞殺魔(1968)」、「トラ・トラ・トラ!(1970)」など、何でも屋の職人監督さんというイメージがある。こちらもまずは無難な演出だったというところでしょうか。
ナイスバディのラクエル・ウェルチさんは、当時のピンナップガールの代表格だった女優さんです。厚手のウェットスーツでも、お色気はしっかり出ておりましたな。
アカデミー賞を受賞した(美術監督・装置賞、特殊視覚効果賞)、人体内部の映像が“らしくて”しかも美しい! 大スクリーンで観れば、★がもう一つ付くかも知れませんね。
・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 
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これ好きでした。掲載している写真みたら思い出す。
記事読んでると、やっぱり面白い。私も観なければ…です。人体の不思議などもよくわかって、子供たちの理科の授業もこうやって教えたら赤血球とか白血球とかの働きなどもよくわかるのにね。
脳に入っては、神経がピカピカと光を点滅させているのも不思議というか、『あぁ、そうなっているのか』なんて感心したり。面白い映画でした。
何回か見た記憶があるんですが、断片的なの。
おそらく最初から最後まできちんと見ていないのかも。
こういうのって今の技術でやるよりも、当時の技術でがんばってやってくれているものの方が「愛すべき映画」って感じに仕上がっていますよね。
ウエルチ姉さん、恐竜100万年の「マスカラメイク」の原始人もよかったですが、ピッチリスーツもよさそうですね。
CG時代の今はCGを見せる為に場面を案出する傾向があるので、どうしてもストーリーが弱くなりますね。
数日前に観たモニカ・ベルッチのあれもでかいですが、ラクェル姐さんもでかい。彼女から襲われた抗体を取り去る場面が嫌らしい目で見ると嫌らしい。^^;
ウェルチさんの身体を抗体が襲って締め付ける。4人の男共が、必死で助けようとピッチリスーツにくっついたそれを素手で引きちぎっていくのですが、なんともレトロな雰囲気のサービスカットでした
まさしく、<CGを見せる為に場面を案出する傾向>は、本末転倒です。
原案者が別におられるようですが、この映画は、その発想とシチュエーションの組立てが抜群の面白さでした。
モニカ・ベルッチ、ラクエル・ウェルチ、なんか音が似てる
SFは宇宙ものが多いですが、それとは反対のミクロの世界に眼を向けて、且つ、「宇宙と同じだ」という発想に新鮮味を感じます。
ほんとうに、色彩が夢のように綺麗ですね。
SFって往々にして冒険アクションを伴っていて、そこが惹かれるところです。
確かに、美しい人体内部でした。
最近のCG映像見るたびにこの作品を思い出していて、子どもの頃に見てから数十年ぶり。やっと観れました。
子どもの頃みていた感覚が甦って、最近のリアルなCG映像に比べたら本作の方が見る側の想像力を引き出してくれる映像だわって、改めて本作は素晴らしいと、再鑑賞しての再認識を嬉しく思いました。
宇宙のような海中のような人体内部の映像は、まさしく想像力を刺激してくれました。
小難しい背景など無くとも、面白い映画は作れる、そんな見本のような作品でしたね。