テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ビッグ・ガン

2011-06-07 | サスペンス・ミステリー
(1972/ドゥッチオ・テッサリ監督/アラン・ドロン、リチャード・コンテ、カルラ・グラヴィーナ、マルク・ポレル/110分)


 懐かしいタイトルですねぇ。でも封切り当時は雑誌で知ってただけで、未見ですけどネ。
 昨日のお昼、NHK-BSで放送していたのを観ました。開始には間に合わず、15分から20分辺りからです。全編きちんと観てなくて、しかも1回切りですが、感想は揺るがないと思います。

 ドロン主演なのでフランス映画と思っていたら、どうもフランス語の感覚が耳に残ってないのでイタリア語だったのでしょう。イタリアとフランスの合作だし、ドロンはシチリア島出身のマフィアの殺し屋役ですしね。

 寡黙な殺し屋という点では「サムライ」のドロンさんを彷彿とさせるが、実は「サムライ」も未見なので、そこは想像の範囲。嫁と一粒種を同時に亡くし、葬式で瞳をウルウルとさせたドロンさん。女性ファンにはたまらない映像でしょうな。内心は復讐の鬼となっても二枚目なのでクールに見えるのが良いです。

*

 奥さんと幼い息子がいるマフィアの殺し屋トニー(ドロン)が足を洗おうとするが、組織は内部情報を知りすぎている彼を抹殺しようと車に爆弾を仕掛ける。誤って、旦那の車に乗ろうとした奥さんと子供が爆殺され、その葬式の場所にも組織の手の者がやって来るに及んで、トニーは組織への復讐を決行する、というお話。

 組織の直属のボスだった親分は、足を洗いたくても他の親分が許さないぞと忠告をしていたんだが、結局そのボスもトニーの復讐の相手になっている。トニーは親分がちゃんと他の親分連中を説得してくれると思っていたのか、どうもその辺りは曖昧です。
 組織と言っても誰かがワントップでいる形態ではなく、各シマのボス連中が寄り合い所帯を作っているだけで、トニーの対応策についての話し合いもするが、取り立てて案は無く、ただ殺し屋を差し向けるだけ。

 任侠映画ですから、トニーに味方する連中も出てくる。
 かつてトニーに助けられた過去のある女(グラヴィーナ)が今はある親分の情婦になっていて、彼女は親分の居所をトニーに漏らしたためにトニーと同じく追われる身となり、トニーの隠れ家に身を寄せるようになる。
 組織に属していない地方の組長は怪我をしたトニーを匿ったりする。

 トニーの潜伏先を聞き出すためにトニーの弟分(ボレル)がリンチをされたり、裏切り者の情婦が見つかって殴られる所は、残虐性を売り物にしているような妙な描き方で、データを見てみるとテッサリ監督はマカロニ・ウェスタン出身とのことで納得しました。

 車の追っかけシーンでは「栄光のル・マン」のような疾走感を狙ったアングルもあるけれど、全体の雰囲気からいえば少し逸脱している。
 逆にトニーがボス達を殺すシーンはあっさりしていて、トニーの感情が込められたような粘りも無くありきたり。
 そして、娯楽サスペンスではないので、結末はアンハッピーエンドです。
 健さんの任侠映画、(殆ど見てないので、多分)あちらはラストは気分良く映画館を出ていけるモノも沢山あると思いますが、コチラはスッキリしません。僕ならこういう映画にお金は払いたくないですネ。


・お薦め度【★★=ギャング映画好きには、悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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トムさん、いらっしゃいませ (十瑠)
2011-06-12 12:36:41
>なかなか、きびしい評価ですね。

オカピーさんは7点を付けられていますが、★★をオカピーさん流に換算しますと6点なので、実はそう変わりはないんですよ。
オカピーさんも書かれたように、文法はしっかりしてますからね。観ても損はない映画だと思っています。
但し、題材とか監督の狙いには好き嫌いが出ますので、これは好きではないで、“お金は払いたくない”と書きました。^^
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お久しぶりです (トム(Tom5k))
2011-06-12 10:56:13
十瑠さん、ごぶさたしております。こんにちわ。
なかなか、きびしい評価ですね。
おっしゃるように、女性ファンは多い作品です。前から何故かな?と疑問だったんですが、十瑠さんの記事で、なるほどなあ、と納得できたところです。
ドロン・ファンとしては嫌いな作品なんて無いんですが、実は本音をいうと、ドロン作品でなければ、好きなほうの作品ではないんですよね。
一番見ないDVDです。
少し美しさに欠け、洗練されていないような気がするものですから・・・。情が厚い分、残酷な印象も強いし・・・。

オカピーさんもアップしてらっしゃますね。

http://okapi.at.webry.info/201102/article_9.html

では、また。
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