(1950/ヴィンセント・ミネリ監督/スペンサー・トレイシー、ジョーン・ベネット、エリザベス・テイラー、ドン・テイラー、レオ・G・キャロル、ラスティ・タンブリン/93分)
allcinemaの解説氏も触れていますが、1971年に作られたボグダノヴィッチの「ラスト・ショー」の冒頭の映画館のシーンで流れている映画ですね。四十数年前の「ラスト・ショー」を観る前から知ってはいたものの未見だったし、それ以降もずっと食指の動かない作品でした。最近ちょっと訳がありまして観てみることにしました。
愛娘が彼氏にプロポーズされたと告白してから嫁に出すまでの、凡そ3か月間の父親の苦労話を人情味を交えながら面白おかしく描いたコメディであります。
観てて驚いたのが、半世紀以上前のアメリカでは結婚式や披露宴の費用は花嫁側の負担だという事。式場選びや披露宴の段取りも全て花嫁側の裁量で行われる。最近はそうでもないらしいですが、当時はそういう事らしいです。嫁取り婿取りの儀式ではなく、嫁に送り出すお祝いという意味なんでしょうか。前提条件としてこれは頭に入れておいた方が話はすんなり入って来るでしょう。
映画の前年度にベストセラーになったエドワード・ストリーターの小説が原作。ストリーターは軍隊物のユーモア小説で有名なのだそうです。
舞台はハッキリしないが東地区のニューヨークに近い町でしょう。緑の芝生が美しい住宅街の一家のお話です。
スペンサー・トレイシー扮する父親の名はスタンリー・バンクス。自身の事務所を構えている弁護士ですがベラボーに裕福というわけではなく、一戸建ての家のローンも少しだがまだ残っている状況です。
母親はジョーン・ベネット扮するエリー・バンクス。良妻賢母を絵にかいたような奥さんであります。
そして夫婦には三人の子供がいて、長女にして唯一の女の子がキャサリン。扮するは当時18歳のエリザベス・テイラー。
キャサリンは愛称ケイ。20歳という設定でしたが、リズさんの違和感ない色気がかえって初々しさを損なってる感じがしないでもないです。勿論これは個人的感想ですが。
あと男の子は工学部の学生という長男と中学生くらいの次男坊。次男坊トミーを演じていたのは「ウエストサイド物語」等のラス・タンブリンで、当時はラスティと云っていたようです。この男の子たちはそんなに出番がありませんがね。
さて、もう一人の重要な役ケイのフィアンセはというと、偶然にもエリザベスさんと同じ姓のドン・テイラー扮するどこにでもいる(多分)金髪碧眼の青年バックリー・ダンストン。序盤でスタンリーが今までケイが連れてきたボーイフレンド達を回想するシーンがありますが、“オツムの軽い筋肉マン”として紹介された青年でした。
そうそう、この作品は結婚披露宴が終わって散らかり放題の我が家で (この頃は披露宴は自宅でするのが普通の様です) スタンリーが回想している所から始まるのですが、途中途中にも彼のモノローグが入るスタイルになっています。
彼氏の品定めから、彼の実家を訪れての両親への挨拶 (当然、家庭環境の調査も兼ねております) 、そして冒頭にも書いたように結婚式を何処でやるかとか、招待客の選定とか、披露宴の準備とか、花嫁の親としてやるべき事柄をこなしていく。
小津安二郎作品のような肉親間の人情の襞を味わおうとすると物足りないけれど、あちらにはあちらなりの苦労があるんだなぁという事は分かるようになっていますね。それをユーモアを交えながら、さもありなんと思わせるエピソードにしています。経費を抑えるために20年前に作ったモーニングを無理やり着たら破けちゃったとかネ。
あちらには婚約披露パーティなんちゅうのもあるみたいで、これもスタンリーの自宅でやっていて、この時は父親がお客の飲み物をサービスする係となるのですが、本人はスピーチを用意していたのに結局お酒作りばかりに縛られて、気が付いたら殆どの客が帰ってしまっていたというオチがあったりします。
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脚本を書いたのは、アルバート・ハケットとフランセス・グッドリッチの夫婦。この夫婦は「素晴らしき哉、人生! (1946)」や「略奪された七人の花嫁 (1954)」、「アンネの日記 (1959)」等を書いた名コンビです。
お勧め度は★三つ。
父親と娘との思い違いや言葉不足の為の葛藤が殆ど口喧嘩で始っていて、収まり方も形式的で、親子の情愛というのが表面的な感じがしたこと等もマイナス要因でしょうか。
アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、脚色賞にノミネート。
因みにバックリー役のドン・テイラーは後に演出家になったそうですが、「新・猿の惑星 (1971)」の監督ドン・テイラーが彼だったとは・・・。
allcinemaの解説氏も触れていますが、1971年に作られたボグダノヴィッチの「ラスト・ショー」の冒頭の映画館のシーンで流れている映画ですね。四十数年前の「ラスト・ショー」を観る前から知ってはいたものの未見だったし、それ以降もずっと食指の動かない作品でした。最近ちょっと訳がありまして観てみることにしました。
愛娘が彼氏にプロポーズされたと告白してから嫁に出すまでの、凡そ3か月間の父親の苦労話を人情味を交えながら面白おかしく描いたコメディであります。
観てて驚いたのが、半世紀以上前のアメリカでは結婚式や披露宴の費用は花嫁側の負担だという事。式場選びや披露宴の段取りも全て花嫁側の裁量で行われる。最近はそうでもないらしいですが、当時はそういう事らしいです。嫁取り婿取りの儀式ではなく、嫁に送り出すお祝いという意味なんでしょうか。前提条件としてこれは頭に入れておいた方が話はすんなり入って来るでしょう。
映画の前年度にベストセラーになったエドワード・ストリーターの小説が原作。ストリーターは軍隊物のユーモア小説で有名なのだそうです。
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スペンサー・トレイシー扮する父親の名はスタンリー・バンクス。自身の事務所を構えている弁護士ですがベラボーに裕福というわけではなく、一戸建ての家のローンも少しだがまだ残っている状況です。
母親はジョーン・ベネット扮するエリー・バンクス。良妻賢母を絵にかいたような奥さんであります。
そして夫婦には三人の子供がいて、長女にして唯一の女の子がキャサリン。扮するは当時18歳のエリザベス・テイラー。
キャサリンは愛称ケイ。20歳という設定でしたが、リズさんの違和感ない色気がかえって初々しさを損なってる感じがしないでもないです。勿論これは個人的感想ですが。
あと男の子は工学部の学生という長男と中学生くらいの次男坊。次男坊トミーを演じていたのは「ウエストサイド物語」等のラス・タンブリンで、当時はラスティと云っていたようです。この男の子たちはそんなに出番がありませんがね。
さて、もう一人の重要な役ケイのフィアンセはというと、偶然にもエリザベスさんと同じ姓のドン・テイラー扮するどこにでもいる(多分)金髪碧眼の青年バックリー・ダンストン。序盤でスタンリーが今までケイが連れてきたボーイフレンド達を回想するシーンがありますが、“オツムの軽い筋肉マン”として紹介された青年でした。
そうそう、この作品は結婚披露宴が終わって散らかり放題の我が家で (この頃は披露宴は自宅でするのが普通の様です) スタンリーが回想している所から始まるのですが、途中途中にも彼のモノローグが入るスタイルになっています。
彼氏の品定めから、彼の実家を訪れての両親への挨拶 (当然、家庭環境の調査も兼ねております) 、そして冒頭にも書いたように結婚式を何処でやるかとか、招待客の選定とか、披露宴の準備とか、花嫁の親としてやるべき事柄をこなしていく。
小津安二郎作品のような肉親間の人情の襞を味わおうとすると物足りないけれど、あちらにはあちらなりの苦労があるんだなぁという事は分かるようになっていますね。それをユーモアを交えながら、さもありなんと思わせるエピソードにしています。経費を抑えるために20年前に作ったモーニングを無理やり着たら破けちゃったとかネ。
あちらには婚約披露パーティなんちゅうのもあるみたいで、これもスタンリーの自宅でやっていて、この時は父親がお客の飲み物をサービスする係となるのですが、本人はスピーチを用意していたのに結局お酒作りばかりに縛られて、気が付いたら殆どの客が帰ってしまっていたというオチがあったりします。
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脚本を書いたのは、アルバート・ハケットとフランセス・グッドリッチの夫婦。この夫婦は「素晴らしき哉、人生! (1946)」や「略奪された七人の花嫁 (1954)」、「アンネの日記 (1959)」等を書いた名コンビです。
お勧め度は★三つ。
父親と娘との思い違いや言葉不足の為の葛藤が殆ど口喧嘩で始っていて、収まり方も形式的で、親子の情愛というのが表面的な感じがしたこと等もマイナス要因でしょうか。
アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、脚色賞にノミネート。
因みにバックリー役のドン・テイラーは後に演出家になったそうですが、「新・猿の惑星 (1971)」の監督ドン・テイラーが彼だったとは・・・。
・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 
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昔の服を着て破けちゃうシーンと、披露宴が終わってぐったりしつつも感慨深げにしてるシーンは印象に残ってます。
娘を持つ父親の苦悩する様子が微笑ましかったです。
配役は軽めの俳優みたいなので、コメディっぽさが増したんじゃないでしょうか。
ラストで、新婚旅行中の娘から電話がかかってくるところが一番好きかなぁ。
それと結婚式の最後で両親と娘が交わす視線とか・・。