(1968/フランク・ペリー監督・製作/バート・ランカスター、ジャネット・ランドガード、ジャニス・ルール、マージ・チャンピオン、キム・ハンター/94分)
バート・ランカスター扮する筋骨たくましい中年男性ネッド・メリルが、友人邸宅のプールで泳いでいるシーンから映画は始まる。
友人夫婦は昨夜はパーティー三昧だったらしく、二日酔いでプールサイドのデッキチェアでのんびりとしている。プールから上がってきたネッドに御亭主は飲み物を差し出し、『お久しぶりネ』と声を掛ける奥方にネッドは相変わらず綺麗なおみ足だねとざっくばらんな挨拶を返す。彼等が高級住宅地の友人同士であることが察せられる。
そこに更に来客が現れ、夫婦連れの彼等もネッドを見て親しげにハグをして久しぶりの再会を楽しみながら近況を尋ね合うのだ。
二組の夫婦は新しいプールが出来た隣人宅にこれから向かうところだが、それを聞いたネッドは、ご近所の友人達のプールを泳ぎ次いで行けば自分の家に辿り着くことに気が付く。
『これは一つの冒険だ』
季節は夏。水泳パンツ一つのネッドは、裸足で森を抜け、かつて知ったる知人の庭のプールを泳いで涼みながら自宅までの帰路を楽しもうとするのだった・・・。
原題はそのまんま、【The Swimmer】。
日本では1969年に公開されて、映画雑誌SCREENの翌年の批評家が選ぶベストテンでは確か20位以内に入っていたと記憶しています。そして、ラムの大通りさんからの情報では「キネマ旬報」で第6位だったそうです。僕は未見で、しかし後から映画の紹介記事を読んでとても観たくなった映画。監督のフランク・ペリーの名前はこの時に覚えて、次回作の「去年の夏(1969)」は劇場で観ました。
水着一つで全篇通したオスカー俳優バート・ランカスターは当時55歳。
まさか彼がこんな役を演じるとはと、古くからの映画ファンには驚きだったのではないでしょうか。ホントに衣装は海パン一つだけなんすから!
半日をかけたロード・ムーヴィーであり、再会を重ねる友人達の反応から、段々とネッドの正体が明らかになっていく構成で、観客にとってはサスペンス・ドラマ、一種のスリラーのような展開にも思えてくる映画です。
種明かしをしてしまえばありきたりの内容なのに、見せ方 によって面白くなった映画の一つといえましょう。なのであんまり詳しくはご紹介できないのです。
ジョン・チーバーという作家の書いた短編小説が原作。脚色をしたのは、監督フランク・ペリーの奥方エレノア。そういえば「去年の夏」もこの夫婦の作品でした。
馬場の横を通る時に馬とかけっこをしたり、かつてネッド家のベイビー・シッターをしていた少女と再会した時にもネッドと少女とのかけっこをスローモーションで描いたりと、奇妙なシーンもありますが、その異様なプロットを纏め上げた手腕は大したもんだと思います。アメリカンニューシネマの異色作の一つ。
特に終盤の元愛人との再会エピソードなどは、全ての謎が明かされたような強烈な印象が残りました。ジャニス・ルールの演技とお色気だけではなく、カメラワークも含めて。
お薦め度は★三つ半程度ですが、個性的な構成を上手く纏め上げてるので少しおまけです。
尚、映画サイトの情報によると、ノンクレジットですがシドニー・ポラックが共同監督として協力しているそうです。
▼(ネタバレ注意)
家庭崩壊したかつてのお金持ち男性が、療養所を抜け出したみたいな話ですね。かつて元気に羽振り良く暮らしていた時代の記憶しかないようなネッドは完全に心神喪失状態。都合の悪いここ数年の記憶は抹消しているようでした。
奥さんには全財産持っていかれ、娘達も見向きもしない。原因は彼の浮気だが、もともと鼻持ちならないスノッビーな夫婦だったみたいで、改めてこのベトナム戦争時代には、こういう家庭崩壊のドラマが多かったような気がします。
自宅に辿り着く直前のプールは老若男女でごった返す公営プール。入場料の50セントも払えず、やっとこさ入った後も、やれ身体を洗え、足を洗えと命令される。借金を踏み倒していた知人夫婦等に再会して、冷笑を浴びせられながら、逃げるように崖を這い上がって辿り着いた我が家は・・・・。
ネッドがしきりに空や水の美しさを称えるのは、療養所でそういうものとの縁が薄まっているからではないかと、二度目にはそんな事も感じながら観ていました。
療養所の話は私の勝手な想像ですがネ。
▲(解除)
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友人夫婦は昨夜はパーティー三昧だったらしく、二日酔いでプールサイドのデッキチェアでのんびりとしている。プールから上がってきたネッドに御亭主は飲み物を差し出し、『お久しぶりネ』と声を掛ける奥方にネッドは相変わらず綺麗なおみ足だねとざっくばらんな挨拶を返す。彼等が高級住宅地の友人同士であることが察せられる。
そこに更に来客が現れ、夫婦連れの彼等もネッドを見て親しげにハグをして久しぶりの再会を楽しみながら近況を尋ね合うのだ。
二組の夫婦は新しいプールが出来た隣人宅にこれから向かうところだが、それを聞いたネッドは、ご近所の友人達のプールを泳ぎ次いで行けば自分の家に辿り着くことに気が付く。
『これは一つの冒険だ』
季節は夏。水泳パンツ一つのネッドは、裸足で森を抜け、かつて知ったる知人の庭のプールを泳いで涼みながら自宅までの帰路を楽しもうとするのだった・・・。
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原題はそのまんま、【The Swimmer】。
日本では1969年に公開されて、映画雑誌SCREENの翌年の批評家が選ぶベストテンでは確か20位以内に入っていたと記憶しています。そして、ラムの大通りさんからの情報では「キネマ旬報」で第6位だったそうです。僕は未見で、しかし後から映画の紹介記事を読んでとても観たくなった映画。監督のフランク・ペリーの名前はこの時に覚えて、次回作の「去年の夏(1969)」は劇場で観ました。
水着一つで全篇通したオスカー俳優バート・ランカスターは当時55歳。
まさか彼がこんな役を演じるとはと、古くからの映画ファンには驚きだったのではないでしょうか。ホントに衣装は海パン一つだけなんすから!
半日をかけたロード・ムーヴィーであり、再会を重ねる友人達の反応から、段々とネッドの正体が明らかになっていく構成で、観客にとってはサスペンス・ドラマ、一種のスリラーのような展開にも思えてくる映画です。
種明かしをしてしまえばありきたりの内容なのに、見せ方 によって面白くなった映画の一つといえましょう。なのであんまり詳しくはご紹介できないのです。
ジョン・チーバーという作家の書いた短編小説が原作。脚色をしたのは、監督フランク・ペリーの奥方エレノア。そういえば「去年の夏」もこの夫婦の作品でした。
馬場の横を通る時に馬とかけっこをしたり、かつてネッド家のベイビー・シッターをしていた少女と再会した時にもネッドと少女とのかけっこをスローモーションで描いたりと、奇妙なシーンもありますが、その異様なプロットを纏め上げた手腕は大したもんだと思います。アメリカンニューシネマの異色作の一つ。
特に終盤の元愛人との再会エピソードなどは、全ての謎が明かされたような強烈な印象が残りました。ジャニス・ルールの演技とお色気だけではなく、カメラワークも含めて。
お薦め度は★三つ半程度ですが、個性的な構成を上手く纏め上げてるので少しおまけです。
尚、映画サイトの情報によると、ノンクレジットですがシドニー・ポラックが共同監督として協力しているそうです。
▼(ネタバレ注意)
家庭崩壊したかつてのお金持ち男性が、療養所を抜け出したみたいな話ですね。かつて元気に羽振り良く暮らしていた時代の記憶しかないようなネッドは完全に心神喪失状態。都合の悪いここ数年の記憶は抹消しているようでした。
奥さんには全財産持っていかれ、娘達も見向きもしない。原因は彼の浮気だが、もともと鼻持ちならないスノッビーな夫婦だったみたいで、改めてこのベトナム戦争時代には、こういう家庭崩壊のドラマが多かったような気がします。
自宅に辿り着く直前のプールは老若男女でごった返す公営プール。入場料の50セントも払えず、やっとこさ入った後も、やれ身体を洗え、足を洗えと命令される。借金を踏み倒していた知人夫婦等に再会して、冷笑を浴びせられながら、逃げるように崖を這い上がって辿り着いた我が家は・・・・。
ネッドがしきりに空や水の美しさを称えるのは、療養所でそういうものとの縁が薄まっているからではないかと、二度目にはそんな事も感じながら観ていました。
療養所の話は私の勝手な想像ですがネ。
▲(解除)
・お薦め度【★★★★=アメリカンニューシネマ好きの、友達にも薦めて】 
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