「これがゲームならクソゲー認定」
舞台設定がゲームみたいな映画ってことで、けっこう評判が良いらしくてDVDを借りてみた。
デストラップ満載の密閉空間に閉じこめられた6人の男女による脱出サバイバル、言ってしまえばこれだけ。
セットはノペっと平坦な部屋だけ、俳優も無名の人ばかりで低予算なのは見え見えだけど……アイデアの勝利ってカンジの、なかなかに凄い映画だった。
まず、そもそも、なんでこんな部屋にいるのか、何の説明もない。
この部屋から脱出しなくちゃならないようだけど、操作方法は不明。っていうか、そもそも出口というかゴールの説明もない。
デストラップがあるけどルール説明はなし。ミスったら即死。
ゲームだったら、間違いなくクソゲー認定だけど、これが映画になると面白い。
説明がない状態で部屋に放り出されて、人々はただ不安におののき、やがて人間性をむき出しにしていく。
デストラップの問答無用な破壊力が、部屋から部屋への移動という何気ないシーンにさえも緊張感をもたらす。
化け物が登場するサスペンスやスリルは、迫りくる恐怖に耐えなければならないが、この映画はみずから進んで恐怖(デストラップ)に進んでいかなければならないってところもミソかも。
ただしデストラップも闇雲に凶悪なだけでなく、ルールブックはないが回避方法がきちんと存在している。これを知恵で回避するのも醍醐味だ。
っていうか、デストラップは表象的な恐怖でしかなく、本当の恐怖は極限化に晒された人間の心というのも皮肉が効いている。
90分程度にコンパクトにまとめられているので、観る側の緊張感も途切れず、これも面白さの要因の一つ。
『CUBE』(DVD)
監督: ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デ・ボア、デヴィッド・ヒューレット、ニッキー・グァダーニ、アンドリュー・ミラー、ウェイン・ロブソン、ジュリアン・リッチングス
評価:7点
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