循環無端~cycle endless~

土を耕し野菜を栽培する。栽培した野菜を発酵作用等で加工し、食す生活を夢見ています。

創作・短歌

2018年01月10日 17時40分39秒 | ETUDE
・手弁当妻は好みを知りており我の気に入るおかずぎっしり

・矢のごとき棘ある言葉裡にあり放てる人は忘れおりしも

・親友の懐かしき声電話にて聞きつつ昔よみがえりおる

・失敗と悔恨を着て成長すそろそろ脱皮を決行するか

・幼少の己が裡に住みておる変わらぬ自分を栄養にして

・この次の生まれ変わりは蓑虫だ風に揺られて右に左に

・あるようで無いものばかり人の世は生まれてこの方夢のよな日々

・愛憎は紙一重とかいうけれど目覚めた末の枯れ尾花

・昔より地球は丸いとわかってて自国以外は見えない怖さ

・酸味ある漬物だとかマッコリは飲みやすきかな飲みすぎ注意


・便利さの裏に潜むはパソコンの半日分が一瞬でパー

・雪室のリンゴのごとく我もまた雪に埋もれて甘みを増すや

・ちくちくと時折とげを刺す妻は心の内にマグマありせば

・誕生日酸化速度が速まった六十六才我早生まれ

・亡き父に嘘つきは泥棒の始まりと言われ直らずにまだ

・散髪で妻の持つ手にバリカンがたった五分よ髪の少なき

創作・詩「借りたら返す」Part2

2018年01月10日 07時28分19秒 | ETUDE
啓作さん(82歳)農業
一人暮らしの老人
足が不自由になって
民生委員さんが
ヘルパーを紹介した
啓作さんは
今まで自分で
できることは何でもやった
米を作り
野菜を作り
そして
包丁を砥ぎ
藁を編んで
山菜取りの時に使うバッグを作った
藁のスリッパや
ご飯が冷めにくいようにと
お櫃(ひつ)のカバーも藁で編んだ
近所の神社の草刈りも
頼まれなくてもやったし
しめ縄も
村の人がやらないので
自分で作って飾った
啓作さんの自慢は
登山囃子の太鼓を叩くこと
町の企画でフランスにも行ってきたと
アルバムを見せてくれた
その彼が続けたことは
ヘルパーさんに世話になるからと
いつもヘルパーさんの帰り際には
白菜やほうれんそうジャガイモなどの野菜を
お礼にと手渡した
「人から借りたら返すのが礼儀だ」
そう啓作さんはつぶやいた
借りるということは
自分のマイナス
気持ちが重たくなる
その重たさを軽くするために
自分のできることで返す
啓作さんの思想だ
立ち位置だ
もし人の親切を受けて
借りっぱなしだったら
貸した人は借りた人を
どう思うだろうか
あんなにしてやったのに
何にもお返しが
来ないと思うだろうか
困ったらお互いさまが
昔は隣組同士
結いというつながりもあったのだ
返せない人は
どう思うだろうか
申し訳ないと
思わない人はいないだろう
何にも返せない人は
何を返したらよいのだろうか
感謝という気持ちの表明だけで
良いのだろうか