サブロー日記

随筆やエッセイを随時発信する

雪のある日

2012年01月29日 | Weblog
過疎化のはげしいこの田舎町 まるでゴースト.タウン 今日は久しぶりの雪 店の前の道路に真新しい雪が積もり始めた ふだんでも人通りの少ない此の街 この雪ではお客さんは今日は一人も来ないだろう 店番もたいくつそのもの パソコンするしかないと思いきや 「ごめん下さい」と若い 年の頃なら十五.六 若者の少ないこの町 こんな娘さん見たことない 色白でスリムなそれはそれはのべっぴんさん「風邪薬を下さい」という はいはいと錠剤の風邪薬を出すと早速箱を開け そして「お湯を下さい」 という この人都会育ちだなと想像 ここらの人なら遠慮勝ちに「すみませんがお水をもらえんろうか」と恐縮しながらいうのである 台所から温水器のお湯を汲み さしあげる 彼女はくるりと後ろ向きになって薬を口に入れる なるほどこの人は礼儀 教養のある人だな おおきな口を開ける様を他人に見せるのは失礼と考えているのだろう そしておもむろにお湯を飲んでいる その飲む音がなんだか変わっている 水をなめるような音がする 変わった人だなとは思ったが御代を払ってもらい「有難うとございました」とお礼をいうと 彼女もかるく頭をさげ店を出た ちょつと不審に思ったので外に出ると真新しい雪にケモノ の足跡がぽっぽっと小森の山の方へ続いていた……….