
乾くるみが理系男子という事で、かの『イニシエーションラブ』が作られた訳も得出来た。
あれ程性を冷静に分析出来るのって理系であり、性と日常をあっさり分離出来るのは男子だからこそと思う。
という事だが、『五つのプレゼント』は、イニシエーションラブの主人公とかけ離れた純真な女学生が出てくる。
ちょっと北村薫を彷彿とさせるサラリとした文章である。
私が勉強したいのは事件をどういう展開で描くかという事だが、ここでは過去に起こった事件を描く形だ。
つまり殺人事件が起きて疑わしい人がいてこの様な行動をした。
さて犯人は誰でしょう?という形。
これだと探偵役の登場人物と共に考えられて面白い。
こういう感じのが自分に作れるかなと思う。
多分もっと情絡みになるだろうが、推理ゲームは興味を持たれるだろう。
読者が推理ゲームを楽しめて、あまり残酷でないのがいい。
などと作品と関係ない事を考えていたが、読み進む内に引き込まれた。

美しい女子大生の誕生日に彼女を好きな男子学生5人からプレゼントが届く。
ところがそのプレゼントの一つが爆発して彼女は命を落とすのだ。
果たして爆発物を仕掛けた犯人は誰かという事である。
実はこの女子大生は非常に残酷な事を5人に告げた。
「私の誕生日に一番気に入ったプレゼントをくれた人と付き合う」と。
まるでかぐや姫ではないか。
しかしこの自惚れた言葉の裏に納得出来る事情があった。
この辺の謎解きも面白い。
事件そのものは悲劇だが、小説の結末は和やかである。
アイデアの秀抜さにおいて、乾くるみって頭の良い人だと思う。
推理小説を書くのも読むのも頭の体操になるかも知れない。
2017年は頭の訓練に謎解きの創作に何度か挑戦したいと思います。
皆様どうか明るく良いお年をお迎えください!