セブン&アイ、ヨーカ堂を追加閉鎖 衣料品から撤退
2023/03/09 15:37
3月9日 セブン&アイ・ホールディングスは9日、傘下のスーパーマーケット「イトーヨーカ堂」の店舗数の大幅な削減を盛り込んだ新たな経営戦略を発表した。写真はセブン&アイのロゴ。2017年12月、都内で撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)
(ロイター)
[東京 9日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは9日、傘下のスーパーマーケット「イトーヨーカ堂」店舗の大幅な削減などを盛り込んだ新たな経営戦略を発表した。海外の物言う株主から求められていた戦略の見直しを行い、コンビニエンスストア事業に注力する一方、祖業の衣料品からは完全撤退する。同時に、中期経営計画の目標値を上方修正した。
ヨーカ堂は追加で14店舗を閉鎖し、構造改革の中でこれまでに発表していた目標と合わせ2月末時点で126だった店舗数を26年2月末には93店舗まで削減する。首都圏に注力し、食品スーパーマーケットを営むヨークなどとの統合も進める。
物言う株主として知られる投資ファンドの米バリューアクト・キャピタルは、コンビニ事業を分離し、赤字が続くヨーカ堂などスーパー事業からの事実上の撤退などを求めている。井阪隆一社長は、収益性が改善しない現在のスーパーストア事業単独ではなかなか難しいとし、「事業の立て直しが一丁目一番地」と述べた。目標値を達成した上で、新規株式公開(IPO)なども検討するという。
グループ全体では、総合小売業からの転換を加速し、「食」を軸に国内外コンビニエンスストア事業の成長に集中する。海外コンビニ事業では、買収した米スピードウェイとの相乗効果を増大し、M&A(企業の合併・買収)を通じたより大きな成長も検討する。また、総還元性向(累計)を50%以上とする方針も新たに示した。
独立社外取締役のみで構成される戦略委員会も設置し、最適なグループ事業構造やIPO、スピンオフなどの戦略的選択肢に関する分析・検証を行い、中計の進捗状況のモニタリングも実施する。
21―25年度の中期経営計画では、25年度のROE(株主資本利益率)の目標値を10%以上から11.5%へ、EPS(1株当たり純利益)の成長を年率15%以上から18%以上へと引き上げた。
バリューアクトはこれまで他の株主に対し、コンビニチェーンのセブン−イレブンのスピンオフ(分離・独立)案を支持するよう要請書を送付するなどしている。セブン&アイは戦略の見直し作業を行い、3月初めまでには決定内容を発表するとしていた。