大阪市立中学校の吹奏楽部に部活動指導員として在籍していた60代男性が指導の一環として、女子生徒らの楽器や手鏡をくわえていた問題で、当時の教頭が生徒からの相談について約4カ月間にわたって校長に伝えず、対応を求めた教員には「セクハラでも何でもない」と拒否していたことが8日、分かった。

同日の市議会委員会で、市議が市教育委員会に指摘した。

市教委によると、令和2年6月、同校の教員が複数の女子生徒から「指導員に楽器をくわえられた」などと相談を受けて教頭に報告。教頭はこうした指導方法をやめさせたが、同年10月まで校長に報告していなかった。

また関係者によると、教員が3年2月、男性の行為について保護者からの問い合わせに備えるため、教頭に職場内で周知するよう要求。しかし教頭は「セクハラでも何でもない」「部内で話し合ったらいい」「こっちに持ってこないで」−などと拒否したという。

市議会委員会で、教頭の発言について市議から「責任逃れ」と指摘された多田勝哉・市教育長は「確認した上で厳正に対応する」と述べた。

松井一郎市長は8日、市役所で記者団の取材に対し「生徒には嫌悪感があったと思う」と述べ、市教委を通じて学校の対応などを確認するとした。

市教委は4年12月に外部から指摘を受けて校長や教頭に事情を聴いた後、いったん調査を終えていたが、再開する方針。