お母さんのお腹の中にいた頃の記憶。
きっとはっきりとは覚えてないけれど、
深い潜在意識の中で、脳は記憶しているはずだ。
人生で最も安全で平和で暖かく、この世のすべてと
一体となっていたあの時代。
恐れを知らない、けがれのない心を持っている
赤ちゃんは、まだ何も学んでいないのに、
どんな博識な老人よりも素晴らしい知恵を
備えているように思える。
この頃の記憶を呼び起こすもの、それが水だ。
人は水に入ると何ともいえぬ安心感と心地良さを感じる。
これは羊水にプカプカ浮かんでいた頃の遠い記憶が
呼び覚まされるからなのだろうか。
実はこのような効果を利用した、水を使ったセラピーは
数多く存在する。中でも私が注目したのが、
Watsu (ワッツー)Therapyだ。
Watsu=Water Shiatsu の略語で、水圧を利用した
指圧マッサージに、東洋哲学を融合させたセラピーだ。
専用のプールの中でセラピストに抱きかかえられ、
呼吸に合わせてゆっくり揺らされたり、引っ張られたり、
体をストレッチしてもらったり…。
カリフォルニアで開発され、オーストラリアでも密かな
ブームとなっているこのWatsu。私はオーストラリアの
ファームステイ中に、watsuセラピストとして修行中の
スイス人女性と友達になり、なんと無料で体験させて
もらうことになった。
約束の時間の午後6時:ガラーンとしたWatsu専用のプールに
到着。セラピストと一緒に薄暗いプールの中に入ると、
水温が体温と同じ温度に設定されているのに驚いた。
少し体を慣らしてから、セラピストに抱きかかえられるように
仰向けになって水に浮かび、完全に力を抜いて
セラピストと水に体を委ねる。
目をつぶり、暗闇の無重力状態の中でのストレッチ。
水の中を動く際に感じるゆるい水圧が何とも心地良い。
もはや自分がどの方向に、どんな動きで動いているのか
分からない。右も左も上も下も、すべて感覚がなくなり、
宇宙の中を浮遊しているような不思議な感覚だった。
夢心地な1時間のセッションが終わった頃には、私の体は
完全にリラックスしきっていて、心もポカポカするくらい
幸せで充足していた。セラピストの手から離れた瞬間、
水中の無重力状態ですら足がフラフラして、ひとりで
立てなかったくらいだ。その時、完全に心が無防備になって
いたのだろう、ものすごく寂しい、不安な気持ちになって
泣きそうになったのを覚えている。
もっとあの無防備感、充足感に浸っていたい!と強く思った。
でも当たり前だが、人間はいつまでも赤ちゃんではいられない。
大人になるにつれ、世の中の色々なしがらみと立ち向かうための
鎧を身に着けなければいけない。
セラピストの手から離れて少ししたら、自分の理性(鎧)と
自立心が戻ってきて、私はいつも通りの自分に戻るのを感じた。
Go with the flow:流れに身を任す。私にとって、
好きだけれどなかなか実行できない言葉のひとつだ。
自分でコントロールしなければいけない範囲と、自然に
任せていい範囲の境目が分からなくなってくるのだ。
そんな私にとって、一瞬の心の休息を与えてくれた
watsu therapy。ふにゃ~っと運命の流れに流されるのも
悪くない。そう考えさせられた貴重な経験だった。
photo: byron bay, australia
きっとはっきりとは覚えてないけれど、
深い潜在意識の中で、脳は記憶しているはずだ。
人生で最も安全で平和で暖かく、この世のすべてと
一体となっていたあの時代。
恐れを知らない、けがれのない心を持っている
赤ちゃんは、まだ何も学んでいないのに、
どんな博識な老人よりも素晴らしい知恵を
備えているように思える。
この頃の記憶を呼び起こすもの、それが水だ。
人は水に入ると何ともいえぬ安心感と心地良さを感じる。
これは羊水にプカプカ浮かんでいた頃の遠い記憶が
呼び覚まされるからなのだろうか。
実はこのような効果を利用した、水を使ったセラピーは
数多く存在する。中でも私が注目したのが、
Watsu (ワッツー)Therapyだ。
Watsu=Water Shiatsu の略語で、水圧を利用した
指圧マッサージに、東洋哲学を融合させたセラピーだ。
専用のプールの中でセラピストに抱きかかえられ、
呼吸に合わせてゆっくり揺らされたり、引っ張られたり、
体をストレッチしてもらったり…。
カリフォルニアで開発され、オーストラリアでも密かな
ブームとなっているこのWatsu。私はオーストラリアの
ファームステイ中に、watsuセラピストとして修行中の
スイス人女性と友達になり、なんと無料で体験させて
もらうことになった。
約束の時間の午後6時:ガラーンとしたWatsu専用のプールに
到着。セラピストと一緒に薄暗いプールの中に入ると、
水温が体温と同じ温度に設定されているのに驚いた。
少し体を慣らしてから、セラピストに抱きかかえられるように
仰向けになって水に浮かび、完全に力を抜いて
セラピストと水に体を委ねる。
目をつぶり、暗闇の無重力状態の中でのストレッチ。
水の中を動く際に感じるゆるい水圧が何とも心地良い。
もはや自分がどの方向に、どんな動きで動いているのか
分からない。右も左も上も下も、すべて感覚がなくなり、
宇宙の中を浮遊しているような不思議な感覚だった。
夢心地な1時間のセッションが終わった頃には、私の体は
完全にリラックスしきっていて、心もポカポカするくらい
幸せで充足していた。セラピストの手から離れた瞬間、
水中の無重力状態ですら足がフラフラして、ひとりで
立てなかったくらいだ。その時、完全に心が無防備になって
いたのだろう、ものすごく寂しい、不安な気持ちになって
泣きそうになったのを覚えている。
もっとあの無防備感、充足感に浸っていたい!と強く思った。
でも当たり前だが、人間はいつまでも赤ちゃんではいられない。
大人になるにつれ、世の中の色々なしがらみと立ち向かうための
鎧を身に着けなければいけない。
セラピストの手から離れて少ししたら、自分の理性(鎧)と
自立心が戻ってきて、私はいつも通りの自分に戻るのを感じた。
Go with the flow:流れに身を任す。私にとって、
好きだけれどなかなか実行できない言葉のひとつだ。
自分でコントロールしなければいけない範囲と、自然に
任せていい範囲の境目が分からなくなってくるのだ。
そんな私にとって、一瞬の心の休息を与えてくれた
watsu therapy。ふにゃ~っと運命の流れに流されるのも
悪くない。そう考えさせられた貴重な経験だった。
photo: byron bay, australia