bon voyage!

ボディボーダー・ママののんびりオーストラリアライフ

the simple life

2004-09-17 | Weblog
WWOOF: Willing Workers on Organic Farms

オーストラリアやヨーロッパで人気のファームステイ派遣制度、ウーフ。
一日数時間のお手伝いをする代わりに、無料で宿とご飯、そして
家族の一員としての貴重な経験を提供してもらうという、
ギブ・アンド・テイクのファームステイ。

WWOOF団体が発行するWWOOF BOOKを入手し、
それに紹介されている全国各地のファームの紹介文を参考に、
自分が興味を持った所に連絡し受け入れてもらえるかどうかを交渉。
宿泊期間や労働条件、そして相性が合えば見事ファームステイが確定だ。

私は馬が好きなので、最初は乗馬ファームに絞って調べていたのだが、
馬場は人気が集中しているみたいで、残念ながらどこも返事はNOだった。
ついにOKをこじつけた所は、ファームというよりは普通の民家。
サーファーズ・パラダイスを内陸に1時間ほど入った
タンバリン・マウンテンという山奥に、家族4人で仲良く
静かなナチュラル・ライフを送っているヒッピー家族だった。
お父さんは、タンバリン・マウンテンのネイチャー・ガイドの
仕事と、パートタイムで娘の学校で仏教を教えていた。
お母さんは専業主婦。
毎日夫と小学生の子供を送り出してからは、一人でのんびり
庭で野菜を育てたり、鶏の世話をしたり、手作りパンを焼いたり…。
時折チリンチリンと鳴る風鈴の音を聞きながら、
青々とした山脈風景を眺めて、土に触れていると、
あまりの平和さに自分は一体どこにいるのだか
分からなくなってしまうほどだ。
当時はちょうどイラク戦争が勃発した頃だったのだが、
テレビを殆ど見ない家族だったので、それももはや遠い世界の出来事だった。

ある日、お母さんに連れられタンバリン・マウンテンに行き、
熱帯雨林のマイナス・イオンを吸い込みながら、
2時間くらいのブッシュ・ウォーク(いわゆるハイキング)を楽しんだ。
虹色の鳥やワラビー、コアラ(超カワイイ)、へび、
ゴアーナ(巨大なトカゲみたいな…)などレアな生物に多数
遭遇しながら、ついにたどり着いたのが、この写真の滝。
ここでお母さんは「お昼にしよう」といい、持ってきたお弁当を広げた。
そして、なんと空のペットボトルを取り出し、この滝の水を採ると言い出した。

家では、屋根からの雨水をろ過させて使っているのだが、
それよりも滝の水の方が新鮮な酸素を含んでいて美味しいとのこと。
早速採りに滝の麓に降りたものの、これが意外と大変な作業だった。
何十メートル上から叩きつける水のしぶきにびしょ濡れになりながら、
ペットボトルの小さな口に水を入れる。 もう我慢できない!と思って
ボトルを見ると、まだ数センチしか入ってなかったり・・・。
でもずぶ濡れになった甲斐あって、水はとても冷たくて美味しかった。

この家族には本当に色々なことを学んだ気がする。
社会に流されずに自分の理想の生き方を追求することの
大切さ、市販品に頼らず自分の食べ物を育てる大切さなど。
もともとはシドニーの大都会で、バリバリのキャリア路線を
突進していた二人。パーマカルチャー(持続可能な農業)の
コースを受講したのをきっかけに、自然の中での静かな生活の
大切さに気付いたそうだ。
思い切って全てを捨てて、タンバリン・マウンテンに移住。
家、野菜畑、庭に生い茂る様々な樹木など、自分たちの手で
全てを一から築き上げた。その努力の結晶である家と庭を見れば、
二人の人生の選択がいかに正しかったかが一目瞭然だった。


日本でもWWOOF体験ができます☆↓
http://www.wwoofjapan.com/japanese/index-j.shtml

photo: tambourine mountain, australia

fashion victim

2004-09-13 | Weblog
欧米のセレブリティの人気にあやかり、今年大ブレークが
予想されるファー・コート。ゴージャスな、りアル・ファー …
確かにファッション的にはかわいいし、暖かいし、
今年は驚くような破格で売り出されている。
一昔前までは、マダムのイメージだったファーコートも、
最近は10代の女の子でも手軽に手が出せるようなお店の
ショーウィンドウを飾っている。一年着ては飽きられ、
捨ててしまわれるような服を売っているお店で。

流行に敏感で、ファッショナブルな洋服に身をまとうのが大好きな女性たち。
でもその女性の美しさのために、いったいどれだけの動物が、
醜い残虐な行為の犠牲にあってきたのだろう。 
私は女性として、このことに責任を感じた。なぜなら、これらの動物が
殺されるのは、他ではない、自分のような女性が「欲しい!」と望むからなのだ。

ひとつ、印象的なエッセーを見つけたので紹介したいと思う。
****

「私はイングランドでファッションモデルとして働いており、
自分が着た洋服を安く買えるチャンスがたびたびありました。
私はハーベイ・ニコルズでモデルとして着た美しいオオヤマネコの
ジャケットをとても気に入り、心を奪われたので、アルプスへスキー
旅行に行くのにそれを買ったのです。私はそのジャケットを三年間、
心から楽しんで着ていて、この服のためにどんなにたくさんの動物
が犠牲になったか全然気がつきませんでした。

ある日の午後、私は応接室でお茶を飲んでいました。
テレビをつけ、座ってお茶をつぎました。そのときテレビには一匹の
美しいオオヤマネコが雪のなかを優雅に歩いているところが写っ
ていたのです。なんと素晴らしい、堂々とした動物なのでしょう!

すると突然恐ろしいことに、彼の足は、残酷なわなに捕われ、
ずたずたにされました。その苦痛は地獄の責め苦に違いありません。
食べることも、飲むことも、動くこともできず、ハンターがわなを調べに
戻ってくるまで四日間苦しみながら、わなにはまったままでした。
彼は逃げるために必死になって自分の足を咬みはじめたのです。

ハンターが最後にこの猫に近づき銃を猫の頭に向けたとき、
私が見たものは、このかわいそうな動物の目に浮かんだ安堵の
表情でした。猫は、恐怖の苦痛が終わることを悟ったのでしょう。

私がこのオオヤマネコのジャケットを着るまでには、どんなにたくさんの
動物がこのように苦しんだか-その思いが雷のような力で私を
打ちのめしました。涙がとめどなく頬を流れ、私はジャケットを持って
庭へ行き、軽油を注ぎ、火をつけたのです。
この日から、私は動物の毛皮を着るのを絶対に止めました。」

「ペットからの不思議なメッセージ」より
ソーニア・フィツパトリック&パトリシア・バークハート・スミス共著
Catlovers より転載
For more info on animal abuse:
http://ray.cube-web.net/animal/animalhearts/NewFiles/index_main.html

~ watsu therapy ~

2004-09-03 | Weblog
お母さんのお腹の中にいた頃の記憶。

きっとはっきりとは覚えてないけれど、
深い潜在意識の中で、脳は記憶しているはずだ。
人生で最も安全で平和で暖かく、この世のすべてと
一体となっていたあの時代。
恐れを知らない、けがれのない心を持っている
赤ちゃんは、まだ何も学んでいないのに、
どんな博識な老人よりも素晴らしい知恵を
備えているように思える。

この頃の記憶を呼び起こすもの、それが水だ。
人は水に入ると何ともいえぬ安心感と心地良さを感じる。
これは羊水にプカプカ浮かんでいた頃の遠い記憶が
呼び覚まされるからなのだろうか。

実はこのような効果を利用した、水を使ったセラピーは
数多く存在する。中でも私が注目したのが、
Watsu (ワッツー)Therapyだ。 
Watsu=Water Shiatsu の略語で、水圧を利用した
指圧マッサージに、東洋哲学を融合させたセラピーだ。
専用のプールの中でセラピストに抱きかかえられ、
呼吸に合わせてゆっくり揺らされたり、引っ張られたり、
体をストレッチしてもらったり…。
カリフォルニアで開発され、オーストラリアでも密かな
ブームとなっているこのWatsu。私はオーストラリアの
ファームステイ中に、watsuセラピストとして修行中の
スイス人女性と友達になり、なんと無料で体験させて
もらうことになった。

約束の時間の午後6時:ガラーンとしたWatsu専用のプールに
到着。セラピストと一緒に薄暗いプールの中に入ると、
水温が体温と同じ温度に設定されているのに驚いた。
少し体を慣らしてから、セラピストに抱きかかえられるように
仰向けになって水に浮かび、完全に力を抜いて
セラピストと水に体を委ねる。

目をつぶり、暗闇の無重力状態の中でのストレッチ。
水の中を動く際に感じるゆるい水圧が何とも心地良い。
もはや自分がどの方向に、どんな動きで動いているのか
分からない。右も左も上も下も、すべて感覚がなくなり、
宇宙の中を浮遊しているような不思議な感覚だった。

夢心地な1時間のセッションが終わった頃には、私の体は
完全にリラックスしきっていて、心もポカポカするくらい
幸せで充足していた。セラピストの手から離れた瞬間、
水中の無重力状態ですら足がフラフラして、ひとりで
立てなかったくらいだ。その時、完全に心が無防備になって
いたのだろう、ものすごく寂しい、不安な気持ちになって
泣きそうになったのを覚えている。
もっとあの無防備感、充足感に浸っていたい!と強く思った。
でも当たり前だが、人間はいつまでも赤ちゃんではいられない。
大人になるにつれ、世の中の色々なしがらみと立ち向かうための
鎧を身に着けなければいけない。
セラピストの手から離れて少ししたら、自分の理性(鎧)と
自立心が戻ってきて、私はいつも通りの自分に戻るのを感じた。

Go with the flow:流れに身を任す。私にとって、
好きだけれどなかなか実行できない言葉のひとつだ。
自分でコントロールしなければいけない範囲と、自然に
任せていい範囲の境目が分からなくなってくるのだ。
そんな私にとって、一瞬の心の休息を与えてくれた
watsu therapy。ふにゃ~っと運命の流れに流されるのも
悪くない。そう考えさせられた貴重な経験だった。


photo: byron bay, australia