まだ十分食べられるのに、賞味期限切れのために食べ物が大量に廃棄される。日本でも問題になっているが、米国でこの問題の解明に「身をもって」挑戦した男性の試みに注目が集まっている。
米紙ワシントンポスト(6月17日付電子版)などによると、この男性はメリーランド州のスーパーマーケットチェーン「マムズ・オーガニック・マーケット」創業CEOのスコット・ナッシュさん。
1年ほど前から「賞味期限(expiration date)切れ」の食品ばかりを毎日食べ、その記録をブログで発表。今のところナッシュさんも家族も完全に健康だという。
こんな挑戦を始めたきっかけは、3年前に別荘に行った際に、冷蔵庫の中に賞味期限が6カ月前に切れたヨーグルトを見つけたこと。匂いをかいでみたところ、悪くなっていないみたいだった。
スコットさんはそのヨーグルトでスムージーを作って飲んでみたところ、味はおかしくないし、その後も、体の調子はまったく変わらなかった。
この経験から、スコットさんは「そもそも『賞味期限』って何だよ?」と疑問に思い、様々な賞味期限切れの食品を食べる実験を始めた。
賞味期限が1年前に切れたトルティーヤ、10週間前に切れたヘビークリーム(乳脂肪分36~40%のクリーム)、1カ月前に切れた冷凍肉などなど…。どれも問題なく食べられたという。
「もちろん、消費期限を過ぎたら食べないほうが良い食品もあります」とスコットさんは指摘する。加工肉製品や殺菌処理されていない牛乳やチーズ、再加熱していないポテトサラダのような調理済みの食べ物などだ。
しかしその場合も、ただラベルの日付を見ただけで捨てるのではなく、匂いをかぎ、色を見て、ちょっと味見をするなど、自分の五感を使って確認すべきだという。
スコットさんの実験の結論は次の通りだ。
食品のラベルに記された日付は、食品の安全性にはさほど関係がない。多くの場合、賞味期限の日付は、それを食べたら危険だということは意味していない。「製造サイドが、見た目や味が最上の状態ではなくなる」日付に過ぎない。
スコットさんは、米国における賞味期限の表記にはいくつも種類があって一貫性がないことを批判したうえで、統一規格が必要だとも指摘している。
また、こうした賞味期限の表記は、製造サイドが、消費者に食べても全く問題のない食品を捨てさせ、新しいものを買わせようとする戦略だと指摘し、「計画的劣化(Planned Obsolescence)」と呼んで批判している。
「まったく手が負えない状態になっています。製造サイドの誠実さを疑わないわけにはいかないよ。最近じゃどんなものにでも日付を張り付ければいいと思ってる。食品業界による『計画的劣化』は現実です。消費者が食べ物を捨てれば、企業は儲かるんです」
さて、スコットさんのわが身を実験台にしたうえでの指摘は、食品の賞味期限問題に一石を投じるか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190630-00000012-nkgendai-life
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