ファンタジー・オン・アイス2023の千秋楽。ライビュ会場で浴びてきた。素晴らしいパフォーマンスに夢心地になりつつ、いつものショーの熱狂とは違った気持ちを抱いた特別な時間だった。またまた、思考の海に潜って語ってみる。あくまでも、私の個人的な気持ちの話。
羽生くんを見ていると、大切に拾い集めたキレイな石を瞳輝かせて眺めているような、子供の頃の純粋な気持ちを思い出す。好きだと思う気持ちが、嬉しい、楽しいと思う気持ちが、ただ大切だったあの頃を。
人は、大人の階段を登るたびに、他者のさまざまな感情に翻弄され、濁流のようなに流れこむ知恵や情報に押し流されていく。そして、まばゆい光を放っていた純粋な気持ちは輝きを失い、意識の底に沈んでしまう。
彼も、その過程を辿らなかったはずはない。感受性が強く聡明な彼は、人一倍いろいろなことを悟ってきただろう。それでも失われることのなかった純粋な輝きが、人を惹きつけてやまないのだと思う。
きっと、彼は大局を見ている。心や身体にバイオリズムがあるように、物事の流れにも浮き沈みがある。そんなものたちにヒラヒラと翻弄されようとも、胸の奥に変わらぬ真実を秘めていたなら、そっと優しく抱き締めて、幼い頃に抱いた純粋な気持ちのまま、真っ直ぐな愛を注ぎ続けられる人なのかもしれない。
なんて美しい人。
その美しい瞳からこぼれ落ちる宝石のような涙に、世界が浄化されていくような気がした。
そして、彼の夢が、憧れが、愛と友情が、苦悩や葛藤を超えてなお抱き続けた尊い想いがいっぱいに詰まった、あの日だけの特別なOtonal。一点の染みもない美しい魂が、寂しい、悲しいと震えている。そのアンバランスが愛しくてしかたなかった。
素晴らしい歌声や演技の数々に胸を踊らせた瞬間もたくさんあったのに、最後のOtonalに全てさらわれてしまった。そんな私の千秋楽。大好きなGLAMOROUS SKYについてもカタチに残したいと思いつつ、胸のざわめきがまだおさまらない。