北京オリンピックの羽生くんの姿を見ていて、透明だなって思った。すごく、透き通った人だなって。容姿も透明感のある人だけど、そういう意味ではなくて。
悔しさが渦巻くぐちゃぐちゃになった胸の内の負の部分も、少しずつ飲み込んで昇華していく過程も、純粋にスケートを楽しむキラキラした部分も、そこまで隠さず見せてくれるのかって、ちょっと切ないくらいに。
もちろん、まだまだ表に出さない部分はたくさんあるんだろうけど、普通の人であれば取り繕って見せたくないような、そんなところまでファンと共有してくれるんだなって。強い、というよりも、羽生結弦という人の不思議な透明な輝きを見た気がした。
そんな姿を見てしまったら、好きにならないわけないよね。
なんて真摯で誠実で、頑固な人なんだ。
今回報われなかった想いは、今後どんな幸福に巡り逢っても、彼の中から消えることなどないんだろう。きっと、そんな想いにフタをすることなく、大切に抱いたまま、彼は進んでいくんだろう。それが、羽生結弦という人なんだろう。
まるで殉教者のようだ、と思った。
痛々しくて、切ないけど、厳かで、美しい。