昨夜、日銀の円買い支え介入によるものと思われる、為替相場の大きな動きがあって…
円がドルに対して急に値上がりしました。
一部に、中国による介入では?などという声もありましたが…
普通にここは、日銀が膨大な量の買いを入れたことで動いたと見るべきでしょう。
何度も言っているように、日本ひとりが低金利政策を続けている状況では…
(もはや続けざるをえないのでしょう)
焼けた石に垂らした水のように、ジュッと…
というほどにあっという間かどうかは分かりませんが、時間の問題で、効果は消えて…
元の木阿弥に戻るのでしょうけど。
こういうこと、何度も何度も、ず―っと繰り返して大丈夫なのかな?
日銀さん、無限の介入資金が出せるのでしょうかね。MMT理論?
いくらお金を刷っても(紙ではなくバーチャルで)大丈夫なら…
もっとバンバン円を発行して、国民のために政府がいろいろ使えるようにすればいいのにね(笑)。
それはともかく…
今の経済的に富裕な層や、多くのビジネスエリートって…
為替とか株式とか暗号資産とか、さまざま投資して、短期的な、というかほとんど瞬間的な相場の動きに…
ネットを通じていつも目を光らせ、神経をとがらせる生活をしていますよね。
ちょっとコンビニ行って時間潰してるうちに、売り損ない買い損ないをして、利益を逃すということがある。
そういう生活をしていると…
生身の人間の脳でやっているわけですから、思考がどうしても短期的、もっといえば刹那的な傾向になるのでは…
という気がするのですよ。
「国家百年の計」というのは、もうすべての事象が移り変わるスピードが速すぎて、考えられないにしても…
せめて「国家十年の計」ぐらいの将来への見通しは持って、社会を動かさないといけないような気がしますよ。
でも、政治家も官僚も財界人も投資家も、目の前の損得や利害にばかり目を奪われていて…
長期的な視点に立って、物事を考えることができなくなっている気がします。
そして、経済的な観点が、それも「持てるもの」「勝者」の立場からの視点が何よりも優先されている。
この世は経済面での競争原理がすべて。成功も失敗も、生きるも死ぬも、カネ次第で…
そしてカネを手にできるもできないも、すべては個人個人の自己責任だと。
こうした現代の人心のありようを、簡単な言葉で表したものが…
「今だけ、カネだけ、自分だけ」
というものです。
でもそれだと、人間がわざわざ「社会」というものを形成して生きていることの意味や…
「国家」というものの存在意義までが、だんだん薄れていきます。
まあ、私らの前後世代から最近までの「ビジネスエリート」は、多かれ少なかれ…
アメリカ、シカゴ発の、新自由主義の洗礼を受けてきていますから…
政府や行政というのは、限りなく小さくあるのが「正義」だと考えている人が多いですからね。
それに関して、思い出すことがあります。
私の義弟は、ある時代に、文系の大学生が「就職したい企業」ナンバーワンになったりした…
日本人なら名前を知らない人はいない大企業の、執行役員を務める…
それも異例の若さでそこまで駆け上がった、押しも押されもせぬ、ビジネスエリートの成功者です。
彼がいるときに、SF映画『ロボコップ』の話題になって…
警察や消防や、しまいには軍隊まで、何もかも民営化されたら大変だという話になったとき、大真面目な顔で…
「何もかも全部民営化、営利企業化のどこが悪いんですか?僕は理想社会だと思いますけど」と言ったのです。
そこまで行くとある種の、無政府主義、アナーキズムのようなものになりますね。
そこまで徹底したネオリベラリスト、ゴリゴリの市場原理主義者なんだ、とびっくりしました。
でも極端で、徹底した考え方の持ち主だから、あそこまで出世したのでしょう。
徹底した「強者の論理」は、彼の場合、身内にも及びました。
息子には、小学校低学年から、高額の授業料で有名な進学教室に通わせ…
高学歴を身に着けるよう、遊ぶ間もなく勉強することを厳しく強制しました。
それがうまく行かず、模試の点が低かったり、塾で上のクラスに上がるのに失敗したりすると…
「お前は馬鹿だからな」「ダメなやつだ」と、人前でも構わず、身も蓋もなくけなしました。
その結果、甥は根がとても賢い上に、小さい頃はやんちゃなぐらい元気な子だったのに…
長じるにつれて、勉強嫌いで、暗く自信のなさそうな少年になって行きました。
一応大学には進みましたが、親が強制したような「高学歴」は手に入らず…
なんとなく暗い、元気のない青年になってしまいました。
目の前の一時的な「勝ち負け」、それもテストの点数だけを見てダメ出しばかりするのではなく…
我が子の人格や可能性を、総合的全体的に、長い目で見てあげればよかったのに。
私は、甥の豊かな可能性を、父親の極端で単純な競争至上主義、勝者礼賛が、潰してしまったように見えます。
(結局甥は、父親の会社の子会社に無事就職できましたけれど)
案外そういうタイプが、エリート層、富裕層には多いのかもしれない。
出世し、一時的に企業に大きな利潤をもたらしたり、自分自身が大金を得たりすることはできるでしょうけれど…
子どもや部下など、次世代の若い人は育ちにくいですね。
そういう人間が社会を牛耳っていれば、いずれ破綻するときがやってくる気がするのですが…
どうでしょうか。