六月投稿句
6/1
したり顔梅雨入り報せるタチアオイ
自粛明けなぜか高見へ行きたがり
巣籠りや手の伸び縮み菓子袋
6/2
初キウリ愛し愛しの眼あり
たまにいる鞍馬天狗のマスクぶり
花殻を摘んで今年の花納め
6/3
レインボー庁舎も燃える知事の怨
いちゃつけば１１０番に仲割かれ
古枝を除ければ大輪エリザベス
6/4
休校を終えてやんちゃの目が光る
えいやっと大ナタ振るわれ夏休み
捕り物帖一枚上手の野生かな
6/5
ウイルスの災いよそに民嬲る
腰屈め橋桁くぐる御老人
夜の街魚心あり水心
6/6
本人は除くと民度但し書き
子を狙うカラスに剣呑ヒヨ夫婦
ヘッドフォン付ければ二重の家籠もり
6/7
自粛して世間に倣う酒の量
白寿まで音は身の内ピアニスト
バッテリー上がって知ったその重さ
6/8
二十匹メダカの群れにもボスがいる
ミニだった筈のヒマワリ当て外れ
垂直の壁いと易く大毛虫
6/9
坊主刈り先祖返りの進化論
特選は月の向こうに雲が見え
青梅を漬けてウイルスお呪い
6/10
オンラインベルリンの壁また崩れ
新世界どんな世界になるのやら
ソクラテス言った通りの無知の君
6/11
ご新造尺玉あじさい頬を染め
日本発マスク花咲くシャンゼリゼ
二部授業土曜の半ドン蘇り
6/12
コロナ禍でTOKIO抜け出す術覚え
メリハリはこういうことだと梅雨が入り
夜の街男が見る目女が見る目
6/13
縦縞にスマホかざして初スイカ
あのマスク支持者と思われ恥ずかしく
すんなりと遠隔授業ゲーム好き
6/14
カタカナで身を立て名を上げ都知事選
胡蝶ラン二度のお勤めさらによし
額あじさい秘密の花園抱え込み
6/15
日曜日夕刊二度も取りに行き
八ツ橋も生なら争う事もなく
ゼラニウムのっぺらぼうと思いきや
6/16
前のめりバギーの幼子タクト振り
タクシーで来るらし江戸前お出迎え
バラ一輪明日明後日の句も浮かび
6/17
上着決め下はパジャマのテレワーク
十万円三億円が当たる夢
団塊となれば見栄えのタチアオイ
6/18
マスクして評判上がる下がる方
鉢砕くシンビの気迫腰砕け
卵かけご飯のレシピ鍵掛かり
6/19
本州の西に憂き世の湧き処
体温と住所を形に夜の街
梅雨最中せめて万灯つけ放つ
6/20
昼カラやコロナも聴いてるのど自慢
生まれたて小さな鎌を振り回し
あちこちに玩具散らかし邪気払い
6/21
スマホ好き接触アプリに待ったかけ
県境い越えて野となり山となり
抗体を持ってうれしや花一匁
6/22
小憎らし隣へいい顔クレマチス
県境い溶けた途端の大渋滞
抗体を現世の土産に川渡る
6/23
父の日に草鞋のような揚げ届き
スリムでは生きてはいけぬ 2 億年
鈴成りの三蜜抗うミニトマト
6/24
スパコンも富嶽と名乗りしぶき描き
絶叫を封じて味わうロンリネス
顔元に小蠅千匹ビラ風船
6/25
ホームラン飛ぶたび気になるその行方
解除後も自粛そのまま後を継ぎ
今時は酒など飲まぬスマートさ
6/26
マスクして言わずもがなの票を入れ
コロナ禍で内なる差別目を覚まし
梅雨晴れ間とんぼに習う日向干し
6/27
出処を辿れば胴元さもありなん
梅雨晴れ間紫陽花ぬっくと頭上げ
起きがけに水をがぶりと鉢キウリ
6/28
丸めても丸くならない蟠り
三蜜も老いの習いで飼い慣らし
風流や蛍を語る天声人語
6/29
真昼間どこだここだとミョウガの子
信じれば駄句も秀句と我田めき
給湯器換える換えぬも人次第
6/30
コロナ禍で寂しさ募るサユリスト
交付金憶え微かにお年玉
オンライン途中で降りる途もあり
