進撃の巨人というアニメを観たのですが、まるでゾンビ映画のようでした。
このアニメに出てくる巨人は人間の敵なのですが、人間を喰うことが行動原理の全てであり、知性や感情はまったくありません。しかも、人間を喰うといっても、自らの生命維持に必要な食料というわけではなく、巨人たちは何も食べなくても生きていけるのです。人間を喰うのは殺戮が目的だといわれています。
片やゾンビとして知られているものは、主にその原典とも言うべきアメリカ映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(ジョージ・A・ロメロ)などによってイメージが定着していますが、やはり人間を喰うことが行動原理となっています。ゾンビは元々が人間ですが、ゾンビ化すると知性や感情は失われます。彼らは死体なので、理屈的には人間を喰ったとしても消化吸収されることはないと思われますが、やはり生命維持に必要だから喰うというわけではなく、殺戮が目的だということになるでしょうか。
巨人は肉体を破壊されても瞬時に再生してしまいます。弱点である首の後ろの一部分を切断することで殺すことができます。
ゾンビには肉体の再生能力はありませんが、脳を破壊されるまでは活動し続けることができます。
いずれにしても弱点を突かれない限り、肉体を破壊されても不死身という点で共通しています。
進撃の巨人についてはアニメや原作が完結しているわけではなく、結末は不明で物語のテーマもよくわからないのですが、その生態がゾンビとよく似ているというのは面白いと思いました。
作者があえてゾンビをモチーフにして巨人のイメージを作り上げたのか、たまたま似てしまったのかはわかりません。
ただ、ゾンビの生態については最近ちょっと気になっていて(実は巨人の方にはあまり興味がない)、仮にそれがドラキュラやフランケンシュタインのようなフィクション(創作)の怪物に過ぎないとしても、なぜそのような怪物が作られ、多くの作品に登場するほどの人気を得て定着することになったのか、とても不思議に思います。
恐怖を演出するためのイメージを突き詰めた結果がゾンビだったのでしょうか。
ゾンビのモチーフとなったのは黒魔術の人体蘇生術によって蘇った死者ですよね。ヴードゥー教の儀式などが知られているようですが、実際に死者が蘇ったかどうかはともかく、宗教的には意味のあるものとして実在していると言ってもいいと思います。
バイオハザードという映画ではウィルスに感染することでゾンビ化するので人間だけでなく動物もゾンビとなって襲ってきますが、一般的にはゾンビとなるのは人間だけです。なぜなら、死んだ人間に襲われるのはとても恐ろしいことだからでしょうね。死んだ動物に襲われるのはそれほど恐怖を演出できません。死そのものに対する恐怖心も関係しているのかもしれません。
人間が怖い、死ぬことが怖い。そういう思いが、ゾンビという存在を生み出したのでしょうか。