apollogoo

タロット占い師アポロの goo ブログ。

「ホーリー・マウンテン」を観ました

2016-07-23 01:01:19 | エンタメ
しょこたんが溜池Nowっていう番組で「ホーリー・マウンテン」という映画を紹介していて、なんとなくツタヤでレンタルしていたような覚えがあって気になっていました。でも、現在は絶版とかで入手困難だとか言っていたので、まさかツタヤに置いてあるわけないよなと思ったのですが、ツタヤに行って確かめてみると普通に置いてありました。どうやら最近になってデジタルリマスター版が出ていたみたいです。

私が生まれたのとほぼ同じ1973年制作のかなり古い映画です。ツタヤで見かけたときは某宗教団体が好きそうな胡散臭そうなカルト映画だと感じて手が出なかったのですが、しょこたんが好きだっていうくらいなんだから試しに観てみようかと思って借りてきました。

観始めると、最初はなんとなく予想していた通り意味不明な映像が続き、正直退屈ではありました。退屈すぎて、一人で観ているのに「つまらん」と口に出して独り言を連発してしまうほどでした。

奇抜な表現は多用されているものの、表現が多様化した現代人の目から見ればどうということはなく、古臭さは否めません。芸術性という点でもいまいち中途半端な感じです。当時はモダンだったのかもしれませんけどね。

やっぱり某宗教団体が布教のために作ったような胡散臭い映画と同じレベルにしか見えませんでした。

多少なりともオカルトの知識がある人が見れば、それなりの情報は詰め込まれているので面白いと思えるところもあるかもしれませんが、その知識も表面的になめている程度に過ぎず、だから何だとしか思えません。

例えば、ほぼ最初のシーンでいきなりタロットカードの「0 愚者」が映り込みます。一瞬何気なく映る程度なので、それに意味があると気付ける人はほとんどいないでしょうが、実は重要な意味があったりします。それ以外にタロットカードはほとんど出てきませんが、タロットの四つのシンボル、棒、カップ、剣、ペンタクルスが露骨に出てきたりします。あまりにもわかりやすすぎる表現でした。

本編ではなく、特典映像としてタロットカードの大アルカナ22枚すべての解説が収録されています。これは非常にわかりやすくてよい特典でした。

占星学も冥王星を含む形で表現されていて、当時としては画期的だったかもしれませんね。その冥王星も今や惑星から除外されてしまいましたが。

物語は映像から何となく何をしたいのか、どんなメッセージを伝えたいのか理解はできるのですが、最近でも若手の作家がウケを狙って作るような深みのない表現が続きます。とにかく「浅い」のです。

それでもこれを高く評価する人もいるからには、何か救いがあるんじゃないかと思って我慢して最後まで見続けたのですが、ほとんど最後まで満足できるような映像はありませんでした。こんな馬鹿気た映画を人に勧めるような人は頭がどうかしているとしか思えませんでした。とにかく「つまらない」のです。

多分、意味が分からなすぎるので、その意味不明なところが「なんかすごい」と錯覚してしまうのかもしれません。もしかしたらそれが映画を作った人の狙いだったのかもしれませんが……。

しょこたんは自分の親に勧められて観たと言っていました。しかも、何度も繰り返し観たと言っていたので、そんなにすごいのかと期待してしまったのです。期待が大きかっただけに、余計につまらなく感じてしまったのですね。

こんな馬鹿げた映画を子供に勧める親も正気の沙汰ではないとしか言いようがありません。少なくとも、映像のセンスは最悪だと思います。こんなものを子供のころに観たら感性がくるってしまいますよ。

とにかく「ひどい」としか言いようのない映画ですが、実は私はそれでも最低というような評価にはしません。最後の最後で、ちょっと面白いどんでん返しがあります。ある意味禁じ手ともいうあることが行われ、「ああそうか」と、ちょっとヤラレタ感じもしましたが、だからこその「ばかばかしい映像表現」だったのかと、ちょっとだけ納得できてしまいました。

作っている方も確信犯的にひどい映像を作っていたわけで、そんなものを「素晴らしい」などと食いついて知ったかぶりで高く評価する方がおかしいのです。むしろ「ひどい」という感想を抱いたのは正常な評価だったわけです。

その最後の「あれ」があったからこその救いだったのですが、それがなければ本当にひどい映画としか言いようがない。で、それが最後のほんのワンシーンで終わる。うーん……ですよ。ウーン……。結局、「騙された」って感じで納得できなかったりして、そこまでの1時間半余りの無駄な時間を返してくれとも言いたくなる。

そうね、「騙された!」というだけの話で、結局ひどいものはひどい。詐欺にあったようなものです。こんな映画は観る価値なしです。人にはとても勧められません。それは間違いありません。

でもね、話のネタに一度は観てもいいかもね。いや、「観るべき!」ですよ。馬鹿にするのでも何でも、観た人とじゃなきゃ語りようがありませんから。そして、一度観れば十分。何度も観るようなものじゃありません。

占いが好きだとかいうようなオカルトを志す者としては教養の一つとして観ておくべき映画だとは思います。こんなものを観るより本を一冊読んだ方がよっぽどましですけどね。

面白い映画ですよ。実は、嫌いじゃないです。ひどいからこそ、意味があるのかもしれません。その意味は、ぜひ自分の目で確かめてもらえればと思います。

13日の金曜日 Part V

2016-07-06 16:51:58 | エンタメ
暇つぶしに「13日の金曜日 Part V」を観た。

パート4まではずいぶん前に観ていた。その続きということになる。

過去4回ともすべてワンパターンで、ジェイソンがなぜだかただただ人を殺していくというだけの単純明快な古典的ホラー映画だった。どうせ今回もそうだろうと思っていたら、過去作以上にシンプルでむしろ意外だった。ひねりも何もない、素晴らしく潔い作りの作品だった。

いや、それがこのシリーズの魅力なんだろうなぁ。

人を殺していくという最低最悪のテーマ。それだけを考えたらとても観る価値なんてないとしか思えないのに、でもなぜか、不思議な安心感がある。

理屈で語るべきではない単なるB級ホラーに過ぎないのかもしれないけど、その単純さなのかな? むしろ健全とすら言ってもいいくらいの不思議な魅力だ。

今どきの映画はどれもこれも「ひねり」が効きすぎていて、観ていて疲れるものが多い。すべてのシーンに何らかの意味を考えなければならないような、ホラーとは別の意味の強迫観念にとらわれてしまう「えげつない映画」ばかりのような気がする。

「13日の金曜日」の残酷描写は今ではとても無理だと思えるほどのグロさがあるが、現代の映画の心理的残酷さや不気味さに比べるとまだましなような気がする。現代の映画はどれもこれもあまりにも病的だと感じる。

健全な残酷さの枠の中に納まる範囲で描き続けていたのが「13日の金曜日」だったのかもしれない。