更衣を忘れてゐたる余生かな
季語 更衣 陰暦四月一日をもって衣服や室内調度などを夏のものにあらためること。もともとは宮中の行事。「更衣 こうい」とは、帝の側にあって身辺の世話をした女御更衣という官職からの言葉。四月からは袷(あわせ)五月から八月までは帷子(かたびら)、九月には袷というような貴族社会の約束事が民間につちわり日を決めて学生や職員などが制服を夏ものにかえるようになった。今では地域の寒暖・個人の事情に応じて行っているので厳密な日付は意味をなさなくなったが、季節に応じて衣服を替えるときの軽やかな気分にかわりはない。
歳時記抜粋。
例句 妻たちの羽化おそろしき更衣 中島あきら