千葉県松戸市・新井税理士事務所のブログ

千葉県松戸市・新井税理士事務所のブログです

「年収の壁」対策?

2023-12-04 07:39:54 | 税理士
おはようございます。
所長税理士の新井でございます。

Yahoo!JAPANをスマホで開いたら、
岸田総理による「年収の壁」対策の動画
が出てきました。
にこやかにメッセージを語る総理…。
安心してください、と仰いますが、どうも信用できない。
首相官邸のHPによると…。

◎106万円の壁
パート・アルバイトで働く方の厚生年金保険や健康保険の加入に合わせて、
手取り収入を減らさないための取組を実施する企業に対し、
労働者一人当たり最大50万円の支援をする、とのことです。

手取り収入を減らさないための取組とは以下のとおりです。
・社会保険適用促進手当の支給(社会保険料の算定対象外)
・賃上げによる基本給の増額
・所定労働時間の延長

◎130万円の壁
パート・アルバイトの方が、繁忙期に労働時間を延長したことなどにより、
収入が一時的に上がっても、事業者(会社など)が「一時的に収入が上がった」ことを証明すれば、
引き続き配偶者の扶養に入ることが可能となる仕組みを作る、とのことです。

さらに働きやすい社会へ、ということで…。

◎企業の配偶者手当の見直しの促進
企業が支給する配偶者手当も、収入要件がある場合、
社会保障制度とともに、働き控えの一因になっており、
配偶者手当の見直しの必要性・メリット・手順などの理解を深めていただくため、
分かりやすい資料を作成・公表し、企業等へ働きかける、とのことです。

これ、突っ込みどころ満載です。

106万円も130万円も「社会保険の加入条件」であって、
103万円を超えれば「税金が発生」することになるのです。

106万円の壁の50万円も企業に支払われるものです。
社会保険適用促進手当の支給というのも、
106万円の壁のためだから仕方がないのでしょうが、
「標準報酬月額が10.4万円以下の者」に限られるうえに、
「税金は課税」され、「労働保険」の算定には含まれます。

130万円の「一時的収入を支払い側が証明」と言いますが、
家計を支えるために働く人が「一時的な収入」であることはほぼありませんよねぇ…。

結局、壁を超えてしまえば、負担が待っていることには変わりありません。
総理の、にこやかに笑いながらのメッセージとは裏腹に安心できないように思います。

103万円の人が150万円まで働いたら、手取りがどうなるかを計算してみました。
社会保険控除と基礎控除だけの前提です。

103万円未満の場合、手取りは給与の支給額です。

150万円の場合、社会保険が約225,000円、税金が約37,000円、
合計262,000円、税金と社会保険の負担となり、
手取りは1,238,000円となります。

50万円多く働いても、手元には20万円少々しか残らないのです…。
何かのニュースで確か総理だったと思うのですが、
「将来の年金が増えるから負担増にはならない」と断言されていました。
40代後半の方が、今から社会保険を負担して、年金がいくら増えるというのでしょうか…。
子どもの教育費など、「今」お金が必要だから働くという人が多いのではないでしょうか。
時間を割いて50万円多く働いて、半分以上が国に取られるなんて…。
こんなひどい制度あってよいのかどうか…。

おそらく、ギリギリ調整している人にもう少し働いてもらって…、くらいの考えなのでしょうが、
そんな「せこいこと」だから支持率も上がらないのではないでしょうか。
思い切って!
150万円までは税金も社会保険もかからない、
ただし、103万円を超えたら段階的に配偶者控除はなし、
くらいのことができないのでしょうか…。

異次元の改革…。
なんかむなしく響きます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山田太一氏、逝く… | トップ | 高校生の扶養控除、縮小へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

税理士」カテゴリの最新記事