4月
リサとはすれ違いの日々を繰り返しながら オレは大学3回生になった。
という事は…教員試験が待っとる
ここでちびっとその大変さを紹介しとく。
教員採用試験の願書の出し方には3種類。
1.ネットで出す。
2.郵送
3.指定日に直接行く。
この中でオレは2番郵送を選んだ。
1の場合万が一があったら怖い。3の場合は万が一寝坊したらアウト
郵便はめったな事ない限り事故は起こらんはず。
それより…これどうやって書いたらええねん。
頭抱えたんは 面接 自己アピールシートっちゅうもん。
一応コレについての説明の用紙はある。
1.別紙への転記や資料の添付は認めてません。指定された欄に収まるよう
2.すべて自筆で書いてください。
3.書き損じたら二本線で訂正しても結構です。
4…5.6.7.8.9…
『あ゛ーーーーーいらちくる!!!』
細かい決まりとコピーと合わせて3部そして試験当日に忘れずに持ってこい…
めんどい限りなくめんどい。
(けど そんな事ゆうてられんのはオレもわかってる。)
♪マジはんぱない電話だぜ…
タイミングよく川島から電話が入った。
彼女もオレと同じ堺市の教員試験受けるらしい
『大谷くん アピールシートの書き方わかる?』
『あ゛ーオレも今それで悩んでたとこや(笑)』
『ほんまわかりづらいとおもわん?』
『思う。』
『そうや。私と今から図書館で一緒に悩まん?』
『おぅ ええな(笑)』
★★★
『わかる?大谷くん…』
『…あかん。無理』
アピールシートを目の前にして二人で唸ってみる。
けど唸ってもソレが埋まるハズもない。
1枚目のんはええねん。
履歴書と同じようなもんやから書くのは簡単。
問題は2枚目。
『えっと…まずあなたが教員を志望した理由は?か 川島は?』
『私は両親が先生だからかな?大谷君は?』
『ガキ相手に毎日バスケやれたらおもろいかなーって』
『なにそれ?もっと真剣な理由じゃないとだめと思うよ。』
サクっと心にちっこい棘が刺さった気がする。
志望動機は至って真剣なお話やんやけど…
そりゃ ダレかさんみたいに聞いた瞬間に笑うんも失礼やけど…
『志望動機はまた後で真剣に考えといてね…えっと大谷くん次 堺市を志望した理由は?』
『地元やから…川島は。』
『あたしは大谷くんが受けるから♪』
『はぁ?』
『なんてね♪』
嘘か本気か川島はそう言いながらも『そんな理由ここには書けないね』と
別のもっともらしい理由を記入した。
『次 あなたの夢はなんですかって…オレはやっぱ小学校の先生。』
『私は 大谷くんのお嫁さん…は置いといて(笑) やっばり無難な所で教師』
サクっ…とまたなにかが刺さる
やっぱり川島とオレは何かが違う気がする。
『えっと…あなたのよさ はなんですか? よさ…なぁ。んーオレのよさ…』
『大谷くんのよさは人にやさしいとか?』
『別にオレそんなんとちゃうし あ゛ーわからん』
頭をぐしゃくしゃっと掻きむしっても的確な答えは出えへん。
他 部活動とか特技…そんで学校内で取り組んでみたい事をそれなりに考えた。
★★★
4月
あたしは大谷と離れて毎日頑張ってます(泣)
忙しすぎてメールも電話もする暇なんねん。
もう何日しゃべってへんのかなぁ…
時差なかったらええのに…
ごめんな…。
大谷 そろそろ教員試験の準備に入るんかなぁ…。
そしたら大谷も忙し…
『リサちゃん そろそろレッスン始めるよ。』
『はいっ 今行きます。』
今打ちかけたメールを破棄して
<大谷 あたしは元気です。>と書いて送った。