『リサっ 何度言ったらわかるんですか やりなおし。』
『はっ はいっ…』
『違う!やりなおし』
『はい』
これで今日20回目のやりなおし
才能があるわけでもなくアンリさんの推薦でモデルになったあたし…。
知識も技能も才能も ナイナイナイなんにもない♪
こんなレッスンとかあるって思わんかった
突っ立って適当にポーズして衣裳着るって思ってたのに…
しかも バリコレ
まさかの春・夏パリコレに出演って
4月1日(エイプリールフール)なん???
ウォーキングすらままならん素人のあたし
毎日毎日…特訓を受けそして今日も怒られている。
『リサ 視線の先を前方に定めるの。そして軽くアゴを引き背筋を伸ばして歩く。
腕は自然に振れるように肩の力を抜いく…さぁリサやってみて』
『はい・・・。』
理屈は分かってる。
ポイントは腰を支点とする重心(体重)を前へ前へ送りだすようにしながら
上体を前に移動させ接地している(体重のかかっている)方の脚の膝を
絶対に曲げずに ぽーんっと足を踏み出す
分かっとるんやけど・・・
教科書通りにできひん。
ヨタヨタと歩くあたしを周りの本場モデルさんは指差して笑ってる。
『リサ…Je suis parqueté(お手上げよ)』
先生はお手上げのポーズの後
『あとは各自 自習してください』と教室を出て行った。
周りの別のモデルさんの視線が痛い。
『Je déteste un amateur』
(あぁーこれだから素人って嫌なのよ)
『Since it was Henry's favorite model, it expected.』
(アンリのお気に入りのモデルってゆうから期待したのに)
『키가 큰 것 만큼의 【데쿠노보】이네요』
(背が高いだけのデクノボーよね)
『Es gibt die Person, die keine Sache machen kann』
(こんなのも出来ないのもいるのね。)
アンリが集めたモデルはバイリンガルで日本語も堪能。
あたしにわからんと思って母国語で話してる。
笑い声とその表情から読み取れるいぢわるな言葉。
もう嫌や…日本に帰る
あたしは スタイリストになりたいだけやねん
モデルのレッスンしても相沢社長のゆう勉強になる事なんて一つもない。
こんなモデルさんの気持ちなんかわからんでもええもん。
レッスンを放棄して 荷物をまとめようとした時
金髪の綺麗な女の子に声掛けられた
『リサ。歩幅を大きくしてちょっと肩を大きく揺らして歩いてみて?』
日本語?
『騙されたと思ってやってみて こうゆうふうにね…。』
『えっ…こう?』
ぎくしゃくしながらもアドバイスしてくれた方法で歩いてみた
そしたら さっきより真っ直ぐ歩けた
『そうそうその調子よ。リサ あのね…』
ステージ上でウォーキングする時にはストライド(歩幅)を大きくして
腕を振ることでバランスをとってまっすぐ歩くことが出来るのよとその子は笑った。
(もちろん同じ側の足と腕を一緒に出してはまっすぐ歩けん)
モデルがウォーキングする時に肩が前後に少しオーバーぎみなんはそういう理由やねんて
『今までまっすぐ歩けんかったのに…教えてくれてありがとう…えっと』
『わたしはMIO。あなたの会社の真咲さんの知り合いって言ったらわかるかしら?』
『MIOって!あのMIOで真咲先輩のお知り合い?』
『そうMIO(笑)でまさちんのお友達♪』
MIOとは今一番ホットなモデルさん。
世界を股にけてか活躍してるカリスマモデルさんやねん
あんな日本を代表するモデルのMIOがあたしに教えてくれてんで
そして真咲先輩の知り合いというから驚いた。
(まさちんってあだ名にもびっくりした)
『まさちんからリサちゃんの事聞いてたよ。仲良くしようね なんでも聞いてね』
『はいっ…こ…こちらこそ なかよーしたってください。』
『あとそこのモデル達!Quälen Sie dieses Kind nicht』
(この子に手をだすなっ)
なんてゆったかわからんけど…
今まで悪口(多分)ゆってた人らも『ソーリー』なんて言いながら握手求めてきた
MIO登場でなんとかモデル修行頑張れる気がする。