投資家の目線

投資家の目線507(年金資産の配分とプルーデント・インベスター・ルール)

 プルーデント・インベスター・ルールとは、プルーデント・マン(慎重な人間)・ルールを発展させたものである。プルーデント・マン・ルールは、1830年にハーバード大学の理事会の資産運用に関する訴訟に由来する信託の受託者の投資行動に関する原則である。


 もともとプルーデント・マン・ルールは柔軟な資産運用を行なえるようにするものであった。しかし、実際には信託財産の名目元本の維持が最重視され、リスクの高い投機的な投資対象への投資が認められない傾向にあったため、

・投資評価はポートフォリオ全体のリターンとリスクで行うべき
・リスク回避の観点から、安全とされる投資対象だけでなく広く分散投資することが適当
・インフレーションを考慮すれば、元本の名目的価値でなく実質的価値の保全が必要

との批判がなされた。その批判を取り入れて発展させたものがプルーデント・インベスター・ルールで、ポートフォリオ理論にしたがっていれば適法とされる。


 最近、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で投資対象を国債のような安全資産を中心としたものから、株式などリスク資産に広げようとする動きがある。2%の物価上昇率を目標とする政策が行われている中で、プルーデント・インベスター・ルールの観点からすればこの資産配分の変更は支持される。しかし、株価指数上昇率より物価上昇率が高かったイスラエルの例(日経平均63,000,000円 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり 2010年12月7日)からすると、それでも十分とは言えない。

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・先週の円安を要因とする値上げ発表等記事
地方の景況感「円安で厳しい」、景気ウオッチャーら。2015/3/14 日本経済新聞 朝刊

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