投資家の目線

投資家の目線508(おじちゃんの里帰り)

 「おじいちゃんの里帰り」はドイツのトルコ系移民二世のヤセミン・セムデレリ監督の映画である。トルコで、家族で食べていくのに精一杯の稼ぎだった「おじいちゃん」は、当時労働力の足りなかったドイツに「ゲスト労働者」として単身赴任で出稼ぎにきた。「おじいちゃん」はトルコいる家族に生活費を送金していたが、子供のしつけも考えて家族でドイツに移住した。はじめは生活習慣が異なり、言葉が通じないため買い物もできなかったが、子供たちから言葉を理解し始め、しだいにドイツの生活に順応し、トルコ時代の暮らしができなくなった。ついには、最初はドイツの生活に不慣れだった妻のほうがドイツ国籍をとることに熱心になったほどである。


 「ゲスト労働者」の記念行事として、100万1人目の「ゲスト労働者」だった「おじいちゃん」はメルケル首相の前でスピーチすることになる。ただしこの映画にはなかったが、岩上安身著「あらかじめ裏切られた革命」にはドイツでのトルコ系移民に対するレイシズムについても記されている。


 「労働力としてよんだが、来たのは人間だった」というスイスの作家マックス・フリッシュの言葉が出て来るが、現在の日本の移民労働者賛成は労働力の側面だけで議論されていると思う。映画を見て、移民について考える機会にしてはどうでしょう。
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